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セキュリティエンジニアの年収はいくら? 仕事内容やキャリアパスも詳しく解説

厚生労働省が提供する職業情報サイト「jobtag」において、セキュリティエキスパートの平均年収は420万円~1086万円と紹介されています。

セキュリティエンジニアは、企業のシステムやネットワークを不正や悪意のあるアクセスなどから守る専門家です。高度で最新の技術が求められるため需要が増加しており、将来性のある有望な仕事としても注目を集めています。

そこで本記事では、セキュリティエンジニアの具体的な年収水準や仕事内容、キャリアパスなどについて詳しく解説します。

必要なスキルや役立つ資格も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
 

更新日: 2025/04/28
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セキュリティエンジニアの平均年収

まずは、セキュリティエンジニアの平均年収および年代別の平均年収から見ていきましょう。

 

一般的なエンジニアや会社員と比較したセキュリティエンジニアの平均年収

セキュリティエンジニアの平均年収は下表のとおりです。

 セキュリティエンジニア一般的なエンジニア一般的な会社員
年収約558万円約586万円約458万円

引用: 「jobtag セキュリティエキスパート(オペレーション)」「賃金構造基本統計調査 表番号7」「民間給与実態統計調査

セキュリティエンジニアの平均年収は、約558万円と一般的なエンジニアより年収が下がりますが、専門性や経験を高めていくことで、年収アップをはかることのできる職種です。以下でも解説していますが、40代を超えると平均年収は600万円を超えてくるため高年収が期待できる職種と言えます。

 

年代別セキュリティエンジニアの平均年収

セキュリティエンジニアの年代別平均年収は下表のとおりです。

年代平均年収
20~24339万円
25~29445万円
30~34533万円
35~39573万円
40~44621万円
45~49651万円
50~54666万円
55~59652万円

出典:「 求人ボックス セキュリティエンジニアの仕事の年収・時給・給料

25歳以上の年代では、平均年収が400万円を超えているため、生涯を通して比較的高い収入が期待できます。

また、下表では、セキュリティエンジニアの年収の伸び幅が他のITエンジニア職種より大きいことが分かります。経験を積みスキルを高めていくことで、給与水準が年々高くなる職種であることがうかがえます。

職種20代年収30代年収伸び額
セキュリティエンジニア409万円567万円158万円
サーバーエンジニア393万円517万円124万円
ネットワークエンジニア376万円525万円149万円

出典: 転職サービス「doda」、「ITエンジニアの平均年収」

 

転職時のセキュリティエンジニアの年収

セキュリティエンジニアは、ITエンジニアの中でも、転職により年収を上げることができる職種の一つです。転職サービス「doda」が2024年2月に発表した「IT職種の転職前後の平均年収レポート」によると、セキュリティエンジニアの転職前後の年収増加幅は、IT職種の中で最も高く、採用需要が大きいことが分かります。

出典: 転職サービス「doda」、「IT職種の転職前後の平均年収レポート」

 

セキュリティエンジニアの年収が高い理由

 

セキュリティエンジニアの年収が高い理由は、下記の3つです。

  • サイバーセキュリティ市場規模の拡大
  • 人材不足
  • 高い専門性が求められる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

サイバーセキュリティ市場規模の拡大

デジタル化の進展や、クラウド、IoTなどの新しいテクノロジーの普及に伴い、サイバー攻撃の脅威も高まっています。

企業や組織はサイバーセキュリティ対策を強化せざるを得ない状況にあり、その需要が後押しとなってサイバーセキュリティ市場も成長を続けているのです。

総務省が公開している令和4年度「情報通信白書」によると、2020年から2021年の1年間で、サイバーセキュリティ市場規模は前年比16.8%の伸びを示しています。

出典: 情報通信白書令和4年版「サイバーセキュリティの動向」

 

また、日本国内におけるサイバー攻撃関連のパケット数は、2018年から2021年の3年間で、2.4倍も増えています。

出典: 情報通信白書令和4年版「サイバーセキュリティの動向」

 

セキュリティ需要の高まりからセキュリティエンジニアの待遇も押し上げられ、高年収につながっています。

 

人材不足

ISC2の「How the Economy, Skills Gap and Artificial Intelligence are Challenging the Global Cybersecurity Workforce 2023」によると、日本国内のサイバーセキュリティ人材は約48万とされています。しかし、必要な人材は約59万であるため、約11万人が不足しています。前年比では97.6%増という大幅な人材不足です。

また、総務省が2016年に公開したデータにおいても、2020年には情報セキュリティ人材が19.3万人不足すると推計されています。

出典:総務省「我が国のサイバーセキュリティ人材の現状について」

 

DXの推進やランサムウェアの脅威などによって人材を必要とする業界は広がっているため、今後も人材不足は続くでしょう。

 

高い専門性が求められる

セキュリティは高度な専門知識とスキルが必要とされる分野です。

ネットワーク、OS、プログラミング、クラウド、暗号技術などに加えて、最新の脅威や攻撃手法に対する理解力と分析力も求められます。システムの脆弱性を見抜き、潜在的なリスクを発見・分析できるスキルも必要です。

このように、高度で多岐にわたる専門スキルを習得しなければならず、実践の機会や経験年数が必要不可欠となるため、その対価として年収水準が高くなります。

 

セキュリティエンジニアの仕事内容

 

セキュリティエンジニアの仕事内容は下記のとおりです。

  • セキュリティリスクの評価・分析
  • セキュリティ対策の立案
  • セキュリティ対策の実施・運用支援

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

セキュリティリスクの評価・分析

最初に、企業におけるシステムの現状を把握し、セキュリティリスクを評価・分析します。サイバー攻撃の懸念があるからと、いきなりシステムを抜本的に作り直すことはありません。通常業務への影響が大きい上に、その必要性も不明確なためです。

まずは、システムのどこに脆弱性があるのか、セキュリティ対策が必要なのかを明確にしなければなりません。具体的には、プログラムや設定ファイルの調査、システムへの疑似攻撃(ペネトレーションテスト)などを実施します。システムそのものだけでなく、運用体制(パスワードの管理方法など)の調査も欠かせません。

調査から浮き彫りになったセキュリティリスクに対して、評価・分析を行います。想定される被害をもとにした重大度の評価、類似リスク有無の分析など、具体的な内容はさまざまです。

 

セキュリティ対策の立案

明確化されたセキュリティリスクを踏まえて、適切なセキュリティ対策を立案します。脆弱なネットワーク通信の暗号化、不正アクセス検知システムの導入といった技術的なものに加え、社内ルールの見直しといった運用面の対策も検討します。

このとき、既存の運用フローやネットワーク構成などを十分に考慮しなければなりません。セキュリティ対策を施した結果、通常業務に支障をきたすのでは本末転倒です。通常業務への影響を最小限にしつつ、リスクをケアできる対策の立案が求められます。

技術的な対策が必要な場合は、ソフトウェアやハードウェアの選定、それらの接続方法や設定内容なども含めて設計します。セキュリティ性だけでなくコストや利便性の考慮も必要なため、経営陣や運用チームの意見を取り入れることが大切です。

 

セキュリティ対策の実施・運用支援

立案したセキュリティ対策が企業から承認されたうえで、システムやその運用現場に対して実際に適用を行います。通常業務への影響を防ぐため、社内の関係部門に情報共有し、事前に立てた実施計画に沿って進めることが一般的です。

運用面の対策としては、運用ルールを含むマニュアルの整備、担当者への教育などが挙げられます。技術的な対策としては、システムの改善やセキュリティツールの開発などが一例です。独自のツールやシステムを開発する場合、プログラミング言語のスキルも必要となるでしょう。市販のセキュリティソフトを採用するケースもあります。

セキュリティ対策の実施後は、疑似攻撃などによる検証テストが必要です。問題なければ、セキュリティ対策を含めた運用を開始します。テストや運用は社内のチームが行うことも多く、セキュリティエンジニアは技術的な指導や支援を行います。

 

セキュリティエンジニアに必要なスキル

 

セキュリティエンジニアには、以下のようなスキルが必要になります。

  • ネットワーク・サーバー関連の知識
  • 法律関連の知識
  • コミュニケーション能力

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

ネットワーク・サーバー関連の知識

サイバー攻撃の多くは、ネットワークを経由してシステムを狙います。そのため、ネットワークプロトコルやサーバーソフトウェアの仕組みを理解していないと、攻撃手法や脆弱性を把握できません。効果的な防御対策を講じるためにも必須の知識であるとともに、技術はアップデートされるため継続的な学習が求められます。

 

法律関連の知識

法律を遵守したセキュリティ構築と対策のために、関連法規を把握しておく必要があります。知っておきたい主な法律は下記のとおりです。

  • サイバーセキュリティ基本法
  • 個人情報保護法
  • 電子署名法
  • 不正アクセス禁止法
  • 電子契約法
  • 刑法(サイバー犯罪に関連する条文)

など

インシデント対応時の証拠収集と保全にも、各種法律の知識が役立ちます。

 

コミュニケーションスキル

セキュリティエンジニアには、コミュニケーションのスキルも欠かせません。

セキュリティインシデントが発生した際には、経営陣や関連部署、外部機関などさまざまなステークホルダーと連携し、適切な対応を行う必要があります。そのためには、状況を分かりやすく説明し、指示や要求を的確に伝える能力が不可欠です。

 

セキュリティエンジニアが年収を上げる方法

セキュリティエンジニアが年収を上げる方法は、「キャリアアップする」「資格を取得する」「外資系企業に転職する」の3つです。実力次第では年収1,000万超えも夢ではありません。それぞれ詳しく解説します。

 

キャリアアップする

まず、取り組みたいのは、セキュリティエンジニアとして自身のスキルを高め、経験を積むことです。継続的な学習と実務経験の積み重ねが鍵となるため、現在の職場での研鑽に取り組みましょう。

セキュリティ分野は日々進化しており、新しい脅威や対策技術が生まれているため、最新のトレンドやテクノロジーの継続的なキャッチアップも大切です。

専門書の購読やオンラインコースの受講、カンファレンスへの参加など、さまざまな方法で学習を続けましょう。

理論だけでなく、実際の業務を通して経験を積むことも大切です。自社製品やサービスのセキュリティ対策に関わったり、インシデント対応の実務を経験したりすることで、実践的なスキルを習得できます。

 

資格を取得する

セキュリティ関連資格の取得も重要なファクターです。セキュリティエンジニアは、他のエンジニア職種よりも信頼性がより重要であるため、実務経験が少ないときは資格が重要視される傾向にあります。

資格取得が最も役立つのは「自身のスキルを客観的に証明できる」という点です。新しいプロジェクトやキャリアップとして新たな出向先にアサインされるための武器になります。

難易度の高い資格ほど評価が上がり、セキュリティエンジニアとしての市場価値も向上します。

 

外資系企業に転職する

外資系のIT企業は、日本のIT企業に比べて給与水準が総じて高い傾向にあります。セキュリティ分野も同様で、優秀な人材を確保するために手厚い待遇を用意している企業も少なくありません。

能力主義に基づく公正な評価制度が整備されている企業が多く、勤続年数に関わらず実力次第で昇給・昇格のチャンスがあります。

総合人材サービス会社のヒューマンリソシアが独自集計の元、2024年1月に公表した「データで見る世界のITエンジニアレポートvol.10」によると、日本のITエンジニアの給与水準は72カ国中26位と諸外国に比べ低いことが分かります。

出典: ヒューマンソリシア「データで見る世界のITエンジニアレポートvol.10」

 

外資系企業は、日本支社であっても本国の評価制度や給与システムに基づき、報酬が決まるケースが多いため、このようなデータを見ても外資系企業への転職に年収アップのチャンスがあるといえるでしょう。

近年、エンジニアに特化した転職エージェントサービスも増えているため、これらを活用し外資系IT企業に転職、キャリアアップを図るという方法もあります。

 

セキュリティエンジニアの年収アップに役立つ資格

セキュリティエンジニアになるための必須資格はありませんが、下記のような資格を保有していると年収アップに役立ちます。

  • 情報セキュリティマネジメント試験
  • CompTIA Secuirity+
  • 情報処理安全確保支援士
  • 公認情報セキュリティマネージャー(CISM)
  • Cisco技術者認定(CCNA)

それぞれ詳しく解説します。

 

情報セキュリティマネジメント試験

情報セキュリティマネジメント試験」は、初級者から中級者向けの資格です。

セキュリティマネジメントの計画・運用・評価などを通して、サイバー攻撃の脅威から組織を守るための基本的なスキルを問われます。

試験に合格すれば、トラブル発生時のリスクを最小限に抑えられる人物と認定されます。試験は通年で開催されており、受験料は税込7,500円です。

 

CompTIA Secuirity+

CompTIA Secuirity+」は、サイバーセキュリティに関する国際資格です。合格すれば、脅威や脆弱性の分析、セキュリティを考慮したネットワークの設計、リスクマネジメントなどのスキルを示せます。

中級から上級者向けの資格なので、セキュリティにおけるキャリアアップを検討している方にもおすすめです。試験は毎日実施しています。受験料は税込52,192円です。

 

情報処理安全確保支援士

「情報処理安全確保支援士」は、情報処理技術者としての高い知識やスキルが認定される資格です。高難易度ですが、試験に合格して登録申請をすれば士業として活動できます。

情報系の資格では唯一の士業で、企業からの高い評価も期待できます。

試験の実施は4月と10月の年2回で、受験料は税込7,500円です。

 

公認情報セキュリティマネージャー(CISM)

公認情報セキュリティマネージャー(CISM)」は、情報セキュリティの国際的資格です。

試験に合格するだけではなく、情報セキュリティマネジメントに関する実務経験が5年以上なければ資格認定されません。5年の実務経験は試験合格後に積むことも可能です。

認定には時間がかかりますが、取得していれば即戦力として評価される可能性の高い資格です。試験は随時開催されており、受験料は760USドル(ISACA会員は575USドル)です。

 

Cisco技術者認定(CCNA)

Cisco技術者認定(CCNA)」は、ネットワーク機器の大手シスコシステムズが実施しているベンダー系資格です。世界共通基準の認定制度なので、自身のスキルを世界水準で示せます。

試験内容は、ネットワークやセキュリティの基礎を問われる初級レベルですが、合格難易度は高めです。試験は随時開催されており、受験料は760USドルです。

 

まとめ

 

セキュリティエンジニアは、ますます高度化・複雑化するサイバー攻撃から企業や組織を守る重要な役割を担う仕事です。

サイバー攻撃による被害は増加の一途をたどっており、セキュリティ対策は経営課題の一つとなっています。そのため、セキュリティエンジニアの需要は増加し、高年収になる傾向もあります。

慢性的な人材不足に陥っている現状を踏まえれば、将来性も高い職種です。幅広い知識を習得して実務経験を重ねれば、高い年収も期待できるため、キャリアの選択肢として検討してみてください。

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