情シス(情報システム部門)をキャリアパスとして選ぶメリット

情シス(情報システム部門)をキャリアパスとして選ぶメリットは、主に次の3つです。
- 安定した需要が見込める
- 幅広いスキルを養える
- キャリアの選択肢が増える
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
安定した需要が見込める
情シスをキャリアパスとして選ぶことで、安定した需要が見込めます。IT社会の昨今、ITシステムはビジネスの根幹をなす存在です。そのITシステムを支える立場である情シスは、今後も重要なポジションとして求められることが期待されます。
また昨今では、デジタル技術によりビジネスを変革する「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の重要性が高まっています。企業がDXを推進するうえでも、デジタル技術に強い情シスは欠かせません。情シスであれば、仕事がなくなることへの不安を払拭できるでしょう。
幅広いスキルを養える
情シスをキャリアパスとして選ぶことで、幅広いスキルを養えます。情シスは、ITシステムに関するさまざまなハードウェアやソフトウェアを扱う仕事です。たとえば、ネットワーク機器を設定したり、OSやデータベースを保守したりします。
また、ヘルプデスク業務を兼ねることが多く、部門内外とのコミュニケーションも多いです。こうした経験を通して、IT製品に関する知識、コミュニケーションスキル、社内調整スキルなど、幅広いスキルを養えます。
キャリアの選択肢が増える
情シスをキャリアパスとして選ぶことで、キャリアの選択肢が増えます。情シスの業務経験から得られる知識やスキルは汎用性が高く、IT職種を問わず活かしやすいためです。
たとえば、部門内外とのやり取りから培ったコミュニケーションスキルは、あらゆるIT職種において有用といえます。また、IT製品に関する知識の引き出しを増やしておけば、別のIT職種でも役立つ可能性が高いです。
情シスで得た知識やスキルを活かして、さらなるキャリアアップを図れます。
情シス(情報システム部門)に求められる主なスキル

情シス(情報システム部門)に求められる主なスキルは、次の3つです。
- IT全般の知識
- プログラミングスキル
- コミュニケーションスキル
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
IT全般の知識
幅広いIT製品を扱う情シスには、IT全般の幅広い知識が必要です。ハードウェアやソフトウェアの仕組み、ネットワーク、データベースなど、必要な知識は多岐にわたります。たとえばネットワーク機器を設定する際、ネットワークの知識がなければ正しい設定を行えません。具体的なIT製品の使い方は業務経験を通して習得できますが、基本概念レベルでは理解していることが求められます。
プログラミングスキル
プログラミングスキルは、情シスの仕事において有用です。たとえば、ITシステムの機能を追加・カスタマイズする場合、プログラミングスキルが求められます。また、ログ解析やデータ収集といった業務は、プログラムにより自動化・効率化が可能です。プログラミングスキルの重要性は職場にもよりますが、あったほうが活躍しやすいといえます。
コミュニケーションスキル
情シスにとって、コミュニケーションスキルも重要です。部門内のメンバーと業務で連携したり、部門外の社員からの問い合わせに応じたりする場面が多くあります。部門内外とのやり取りが頻繁に発生するため、円滑にコミュニケーションできないと業務効率が低下してしまいます。情シスの業務経験を通して養える面もありますが、最低限のコミュニケーションスキルがあればより安心です。
情シス(情報システム部門)の主な仕事内容

情シス(情報システム部門)の仕事内容は多岐にわたります。主な仕事内容は、次の4つです。
- ITシステムの企画・導入・開発
- ITシステムの運用・保守
- ヘルプデスク業務
- ITリソースの管理
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
ITシステムの企画・導入・開発
情シスの仕事では、ITシステムの企画・導入・開発を行います。情シスの存在意義は、ITを通して企業全体の生産性向上や負担軽減を図ることです。そのために、新たなITシステムを構築したり、既存のITシステムをカスタマイズしたりします。
企画や導入では、部門外の社員から不満や課題をヒアリングし、その解消につながるITシステムを検討します。既存のパッケージソフトを導入する場合は、必要なIT製品の選定や、既存ITシステムとの連携なども検討が必要です。パッケージソフトでカバーできない独自のITシステムを構築する場合は、自らプログラムのコードを書いて独自のITシステムを構築します。
ITシステムの運用・保守
情シスの仕事では、ITシステムの運用・保守も行います。導入・完成したITシステムを社員が快適に利用するためには、情シスが安定的に稼働させていかなければなりません。そのために、ITシステムの運用状況を監視したり、トラブルに対処したりします。
ネットワークの監視やデータのバックアップ、OSやデータベースの更新など、具体的な仕事内容はさまざまです。トラブル報告時や異常検出時には、原因調査や復旧作業なども行います。
ヘルプデスク業務
情シスの仕事では、ヘルプデスク業務も行います。ヘルプデスク業務とは、ITシステムに関する問い合わせやトラブルに対応する仕事のことです。部門内外からの問い合わせやトラブルに対して解決をサポートすることも、情シスの重要な役割といえます。
なお、情シス内にヘルプデスク専任の担当者を設けるケースも多いです。この場合、ヘルプデスク担当者が一次対応を行い、解決しなかった問題は技術に強いテクニカルサポート担当者が二次対応を行います。ただし、一次対応を行うヘルプデスク業務のみでは他のIT職種に転職しにくい傾向があります。転職を考える場合、一次対応のみでなくハードスキルも身につけておくとよいでしょう。
ITリソースの管理
情シスの仕事では、ITリソースの管理も行います。社内のハードウェアやソフトウェアといったIT資産の状況を正しく把握し、適切に追加・変更・削除しなければなりません。これは、コスト削減やセキュリティリスク低減などの意味でも重要です。
たとえば、不足しているソフトウェアの導入を手配したり、不要になったIT機器のリース契約を解除したりする作業も含まれます。ITリソースの配分を最適化するためには、台帳や管理ツールを活用して適切に利用者や有効期限、コストなどを管理することが必要になります。
情シス(情報システム部門)からのキャリアパスおすすめ6選

情シス(情報システム部門)からのキャリアアップを目指す場合の選択肢はさまざまです。ここでは、情シスからのキャリアパスにおすすめの選択肢を6つピックアップして紹介します。
- システムエンジニア
- インフラエンジニア
- マネージャー
- ITコンサルタント
- その他のエンジニア職
- CIO
各選択肢の概要やおすすめポイント、必要スキルについて、詳しく見ていきましょう。
システムエンジニア
システムエンジニアは、ITシステムの開発を専門にする職種です。顧客や社内のニーズをもとにITシステムの要件定義や設計を行います。チームによってはプログラムの実装や、完成後の運用や保守も行います。
システムエンジニアには次のような選択肢があり、さまざまな働き方を選べるのが魅力です。なお、社内SEは情シスに所属して開発するケースも珍しくありません。
- 社内SE(自社に所属して開発する)
- 客先SE(クライアント企業に常駐して開発する)
- 在宅SE(在宅で案件を受注して開発する)
システムエンジニアには、ITシステムの知識や設計スキル、プログラミングスキルなど、幅広いスキルが求められます。また、顧客やプログラマーなどと意思疎通を図るためにコミュニケーションスキルも欠かせません。情シスの業務経験で得たITシステムの知識やコミュニケーションスキルを活かしやすいといえます。
インフラエンジニア
インフラエンジニアは、ITシステムの土台となるITインフラの設計や構築、運用、保守を行う職種です。サーバー機器やネットワーク機器の選定・設置・導入、OSやミドルウェアの導入・設定など、仕事内容は多岐にわたります。
インフラエンジニアは、何を専門とするかによって複数の職種に分けられます。主な職種は次の4種類です。それぞれの専門分野に関する豊富な知識が求められます。
- サーバーエンジニア(サーバーに特化)
- ネットワークエンジニア(ネットワークに特化)
- クラウドエンジニア(クラウド環境のITインフラに特化)
- セキュリティエンジニア(ITインフラのセキュリティ面に特化)
いずれの職種にしても、情シスで得たITシステムやIT製品に関する知識・経験を活かしやすいといえます。また、設計業務に近いほど収入が高い傾向があり、設計担当者を目指して収入アップを図ることも可能です。
マネージャー
マネージャーは、組織やプロジェクトをまとめ、成功へと導く職種です。プロジェクトの進捗やコストなどを管理したり、問題に対して適切な指導を行ったりします。マネジメントスキルや社内調整スキルなど、幅広いソフトスキルが欠かせません。
情シスで業務経験を積めば、情報システム部門のマネージャーへのキャリアアップを目指せます。責任が大きい立場である分、収入アップできる可能性は高いです。キャリアアップの実現には、ソフトスキルを中心に確実なスキルアップが求められます。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、ITの力で企業の課題を解決へと導く職種です。クライアント企業の課題を明確にしたうえで、ITを軸にした適切な解決策を検討・提案します。ITシステムの開発や導入支援が必要となるケースもあります。
IT全般の幅広い知識はもちろん、顧客とやり取りするための高いコミュニケーションスキルが欠かせません。情シスで培ったIT知識や折衝スキルを活かしやすい職種です。
その他のエンジニア職
その他のエンジニア職にキャリアチェンジする選択肢もあります。たとえば、設計書に沿ってプログラムを作る「プログラマー」は未経験でも比較的目指しやすいです。
ただし、収入や働き方は職種によるため、必ずしも収入アップやワークライフバランス向上につながるとは限りません。情シスの仕事に不満がある方や、別のエンジニア職への興味が強い方は、検討してみましょう。
CIO
CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)は、企業のITに対して最大の責任をもつ職種です。ITシステムへの投資計画やIT戦略の策定などを行い、企業の「情報」と「戦略」を結び付けて経営の改善を図ります。
IT全般の知識やマネジメントスキルはもちろん、経営やビジネスに関する幅広い知識が不可欠です。目指すハードルは高いものの、情報システム部門で管理系の経験を積めば、なれる可能性があります。
まとめ
情シス(情報システム部門)は安定した需要が見込める魅力的なキャリアの選択肢です。情シスの業務経験を通して幅広いスキルを養えるため、システムエンジニアやインフラエンジニアなど、新たなキャリアパスも増えます。ただし、情シスの業務の中のヘルプデスク業務のみの場合は他のIT職種に転職しにくい可能性があります。ヘルプデスク業務のみでなく、その他の業務を進行できるスキルを身につけておきましょう。
情シスに興味がある方は、記事の内容を参考にぜひ目指してみてください。また、現職で情シスに携わっている方は、今回紹介したような情シスからのキャリアパスを検討してみてはいかがでしょうか。