ヘルプデスクからのキャリアパスおすすめ9選

ヘルプデスクからのキャリアパスとして、おすすめの選択肢は次の9つです。
- プログラマー(PG)
- 社内SE
- Webエンジニア
- テクニカルサポート
- ITコンサルタント
- ネットワークエンジニア
- サーバーエンジニア
- セキュリティエンジニア
- フリーランスとして独立
各選択肢の概要やおすすめポイント、必要スキルについて、詳しく見ていきましょう。
プログラマー(PG)
「プログラマー(PG)」は、設計書に沿ってプログラムを作る職種です。プログラムを書くために必要なプログラミング言語の知識やスキル、開発ツールの知識などが求められます。
プログラマーは、未経験者でも転職のハードルが低いです。そのため、プログラミング経験が多くない方でもチャンスが十分あります。
また、プログラマーには開発メンバーとの円滑なやり取りが欠かせません。この点では、ヘルプデスク業務で培ったコミュニケーションスキルを活かせるでしょう。
社内SE
「社内SE」は、特定の企業でITシステムの開発や安定稼働を担う職種です。一般的なSE(システムエンジニア)はクライアント企業のITシステムを扱いますが、社内SEは自社のIT部門でITシステムの設計や実装、運用、保守などを行います。
ヘルプデスクと比べると、ITシステムの開発に関する技術面によりフォーカスした職種です。プログラミングやネットワーク、システム設計といった幅広い知識・スキルが求められます。
しかし、「1つの企業やチームに所属する」という点はヘルプデスクと似ているため、働き方の面で違和感が少ないでしょう。また、社員からの問い合わせ対応といった業務では、ヘルプデスクの経験を活かしやすいといえます。
Webエンジニア
「Webエンジニア」は、WebサイトやWebアプリの開発や安定稼働を担う職種です。顧客やユーザーのニーズに応えるWebサイト・Webアプリを開発し、完成後の運用や保守も行います。Web技術の知識やWeb系言語のプログラミングスキルが必要です。
Webエンジニアには、主に「フロントエンドエンジニア」と「バックエンドエンジニア」の2種類があります。
職種 | 仕事内容 |
フロントエンドエンジニア | ・ブラウザ上で動作するプログラムを開発する ・ユーザーの目に見える部分を担当する |
バックエンドエンジニア | ・サーバー上で動作するプログラムを開発する ・ユーザーの目には直接見えない部分を担当する |
フロントエンドエンジニアは、使いやすさなどのユーザー視点も考慮しなければなりません。この点では、社内外のユーザーからの意見を聞いてきたヘルプデスクの経験を活かしやすいといえます。また、バックエンドエンジニアの業務でサーバーやデータベースを扱う場合、ヘルプデスクで扱ったIT製品の知識が役立つ可能性があります。
テクニカルサポート
「テクニカルサポート」は、ITシステム・ITサービスの技術的な問い合わせやトラブルに対応する職種です。ヘルプデスクが解決できなかったタスクを、テクニカルサポートが対応します。
テクニカルサポートでは、ヘルプデスクと同様のコミュニケーションスキルに加えて、ハードウェアやソフトウェアに関する技術的な知識・スキルも必要です。技術面にフォーカスしたキャリアプランを描きたい場合におすすめの職種といえます。
ITコンサルタント
「ITコンサルタント」は、ITを用いて企業の課題解決をサポートする職種です。クライアント企業の課題をヒアリング・分析し、その解決につながるIT戦略を策定・実行します。IT戦略の内容によっては、ITシステムの構築や導入支援も行います。
ITコンサルタントには、IT全般の幅広い知識や、顧客と円滑にやり取りするためのコミュニケーションスキルが不可欠です。ヘルプデスクの経験が豊富な方であれば、業務で得たIT知識や折衝の経験を活かしやすいでしょう。
ネットワークエンジニア
「ネットワークエンジニア」は、企業のコンピューターをつなぐ「ネットワーク」を専門にする職種です。企業のニーズに合ったネットワークの設計や構築、運用、保守を行います。ネットワーク技術やネットワーク機器に関する豊富な知識が欠かせません。
ネットワーク関連のトラブル対応にあたるヘルプデスク担当者であれば、その知識や経験を活かしやすいといえます。
なおネットワークエンジニアは、ITインフラを支える「インフラエンジニア」の一種で、ハードウェアやソフトウェアの知識が求められます。多様な機器やツールを扱うヘルプデスク担当者であれば、インフラエンジニア系の職種は全般的におすすめです。
サーバーエンジニア
「サーバーエンジニア」は、ITシステムの稼働を裏で支える「サーバー」を専門にする職種です。企業のニーズに合ったサーバーの設計や構築、運用、保守を行います。ネットワークエンジニアと同様、インフラエンジニアの一種です。
サーバー機器や、サーバーに採用されるOS(Linuxなど)の知識が求められます。ハードウェアやOSを扱うヘルプデスク担当者であれば、その知識や経験を活かしやすいといえます。また、ヘルプデスクでのトラブル対応に関する経験は、サーバー障害発生時の迅速な問題の切り分けや対応力につながるでしょう。。
セキュリティエンジニア
「セキュリティエンジニア」は、企業のITシステムやデータをセキュリティ上のリスクから守る職種です。ITシステムに潜む脆弱性(セキュリティ上の弱点)を見つけ出し、セキュリティ対策を立案・実施します。
セキュリティ技術やサイバー攻撃に関する豊富な知識に加えて、ヒアリング力や説明力も欠かせません。顧客から正確に課題やニーズを引き出したり、セキュリティリスクや解決策に関してわかりやすく説明したりする能力が必要です。セキュリティ対策にあたって侵入検知システムなどを構築する場合は、プログラミングスキルも求められます。
ヘルプデスク業務でセキュリティ関連のトラブルに対応した経験がある場合は、その知識や経験を活かせるでしょう。また、顧客とのやり取りではヘルプデスクで培ったコミュニケーションスキルが役立ちます。
フリーランスとしての独立
会社勤めに不満がある場合は、フリーランスのヘルプデスク担当者として独立する選択肢もあります。フリーランスは特定の企業に所属せず、さまざまなクライアント企業から案件を受注する働き方です。
フリーランス向けの求人サイトには、在宅ワークが可能なヘルプデスクの案件もあります。こうした案件を受注していけば、職場に縛られず自由なスタイルで働けます。
ただし、フリーランスとしての独立は難易度が高く、スキルや経験があることが大前提です。ヘルプデスクの基本的なスキルはもちろん、案件を受注するための営業スキルや、滞りなく業務を遂行するためのマネジメントスキルが求められます。
ヘルプデスクから別のIT職種へキャリアアップするメリット

ヘルプデスクから別のIT職種へキャリアアップするメリットは、主に次の3つです。
- スキルや経験を活かしやすい
- 年収アップを目指せる
- AIの進化による不安を軽減できる
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
スキルや経験を活かしやすい
ヘルプデスク業務で培ったスキルや経験は、ほかのIT職種でも活かしやすいといえます。スキルや経験を活かせば、キャリアアップの成功率を高めることが可能です。
たとえば、ヘルプデスク業務で扱うハードウェアやソフトウェアの知識・経験は、幅広いIT職種において役立ちます。また、ヘルプデスクはユーザーとの直接的なやり取りが多い性質上、双方向のコミュニケーションに長けているでしょう。相手の要求や意図を正確にくみ取り、わかりやすく伝える能力はどのIT職種でも有効といえます。
年収アップを目指せる
ヘルプデスクから別のIT職種にキャリアアップすれば、年収アップを目指せます。
「求人ボックス 給料ナビ」によると、ヘルプデスクの平均年収は約360万円です(2024年11月時点)。「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、日本全体の平均年収は約460万円のため、ヘルプデスクの平均年収はやや低水準といえます。
その点、今回紹介したIT職種はいずれもヘルプデスクの平均年収を超えています。たとえば、セキュリティエンジニアの平均年収は約520万円です(2024年11月時点)。別のIT職種には500万円超のものも多く、年収アップを目指しやすいでしょう。
ヘルプデスク | セキュリティエンジニア | 一般的な会社員 | |
年収 | 約396万円 | 約558万円 | 約458万円 |
引用:「jobtag セキュリティエキスパート(オペレーション)」「求人ボックス 給料ナビ」「賃金構造基本統計調査 表番号7」「民間給与実態統計調査」
AIの進化による不安を軽減できる
ヘルプデスクから別のIT職種にキャリアアップすれば、AIの進化による不安を軽減できる可能性があります。
昨今ではAIの発展がめざましく、AIによる自動応答システムなども普及してきました。こうした状況のなかで、ヘルプデスクは需要低下の不安もささやかれています。AIにより問い合わせやトラブルへの対応が可能となれば、需要低下は否めません。
その点、別のIT職種にはヘルプデスクと比べて不安が少ないものもあります。たとえばインフラエンジニア系のIT職種は、どれだけAIが発展しても欠かせない存在です。クリエイティブな開発系のIT職種も、ある程度はAIでの効率化が予想されるものの、仕事が完全になくなることは考えにくいでしょう。
ヘルプデスクからのキャリアアップを成功させるポイント

ここでは、ヘルプデスクからのキャリアアップを成功させる4つのポイントを紹介します。
- 幅広い技術や業務を経験する
- ソフトスキルを強化する
- 自分のセールスポイントを把握する
- 資格を取得してスキルをアピールする
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
幅広い技術や業務を経験する
ヘルプデスク担当者であるうちに、幅広い技術や業務を経験しましょう。さまざまな技術や業務の経験を重ねることで、キャリアの選択肢を増やせます。たとえば、ネットワーク機器を扱う経験をすれば、ネットワークエンジニアへの転職に役立つでしょう。
複数人で分業している場合、チームの都合で経験する技術や業務が偏りがちです。幅広い技術や業務を経験できるように、チーム内で相談してみましょう。
ソフトスキルを強化する
専門性が高いハードスキル(プログラミングスキルなど)だけでなく、人間的な部分のソフトスキルもしっかり強化しましょう。ソフトスキルは汎用性が高く、どのようなIT職種でも活かせる可能性が高いためです。
たとえば、コミュニケーションスキルやマネジメントスキルといったソフトスキルは、キャリアパスにかかわらず役立つでしょう。管理職へのキャリアアップにも有効です。
ただし、ソフトスキルは基本的に経験を通して磨いていくしかありません。参考書でコツを把握したうえで、ヘルプデスク業務のなかで実践していきましょう。
自分のセールスポイントを把握する
ヘルプデスクからのキャリアチェンジに向けて、自分のセールスポイントを把握することも大切です。セールスポイントに沿ったIT職種を目指すのが堅実であり、キャリアアップの成功率向上につながります。
セールスポイントを把握するために、どのようなスキルや経験を持っているのか棚卸ししましょう。そして、明確になったセールスポイントを活かせるようなキャリア戦略を立てることが大切です。
資格を取得してスキルをアピールする
ヘルプデスクからのキャリアアップに向けて、資格を取得するのも効果的です。一般的なIT職種に必須の資格はありませんが、客観的にスキルをアピールしやすくなります。IT職種へのキャリアアップに役立つ主要な資格は、以下の通りです。
資格名 | 概要 |
基本情報技術者試験 | ITに関する知識を幅広く証明できる国家資格 |
応用情報技術者試験 | 基本情報技術者試験の上位資格 |
LinuC | サーバーOSとして人気のLinuxに関する知識を証明できる資格 |
Cisco技術者認定資格 | ネットワーク機器・技術に関する知識を証明できる資格 |
経済的・時間的に余裕がある場合は、こうした資格の取得も検討してみてください。
まとめ

ヘルプデスクから転職におすすめのキャリアパスは次の9つです。
- プログラマー(PG)
- 社内SE
- Webエンジニア
- テクニカルサポート
- ITコンサルタント
- ネットワークエンジニア
- サーバーエンジニア
- セキュリティエンジニア
- フリーランスとしての独立
ヘルプデスクの仕事に不安や不満を抱えている場合は、キャリアチェンジを検討するのもよいでしょう。今回ご紹介した内容を参考にして、新しい一歩を踏み出してみてください。