文系でもエンジニアになれる理由

近年では文系出身のエンジニアも増えています。ここでは、文系でもエンジニアになれる理由について解説します。
独学でスキルを身につける手段が豊富
エンジニアに必要とされるITスキルの学習は、独学でも身につける手段が豊富な分野といえます。書籍やエンジニアの運営する個人サイト、無料の動画教材など、初学者向けにわかりやすくまとめられた教材を見つけることが容易なため、気軽に学習をはじめられるのが魅力です。
独学が難しい場合も、オンライン講座やプログラミングスクールなどを活用することで効率的に学習を進められます。学校で専門的な科目を専攻していなくても、自分に合った方法でITの基礎的な知識やスキルを身につけることが可能です。
また、新卒採用の場合は専門的な知識や実務経験が重視されることは少ないため、しっかりと基礎の準備をすることで、文系でもエンジニアになれるチャンスは十分にあります。
IT業界は人材が不足している
IT業界は、少子高齢化による労働者人口が減少している一方で、IT需要の拡大により多くの人材が求められており、人材が不足しているといわれています。また、AIやIoTなど新しいIT技術の普及や、企業のDX需要の高まりからIT人材の需要も増え続け、人材不足は今後も拡大していくと予想されています。
そのため、IT業界は文系出身者の採用も拡大しており、文系エンジニアとして活躍できる場も広がっています。
文系ならではの強みがある
エンジニアは割合的には理系出身者の方が多くなりますが、文系ならではの強みを活かせる場面もあります。
たとえば、エンジニアの仕事では、仕様書やマニュアルの作成、技術ドキュメントの理解、チーム内外でのやりとりが必要ですが、これらの場面で文系の文章力や読解力、コミュニケーション力が強みになるケースがあります。
また、エンジニアといってもその分野は多岐にわたり、特にユーザーとのコミュニケーションやプレゼンテーション力が求められる分野では、文系出身者が活躍しやすい傾向があります。
文系エンジニアが活躍している分野

文系エンジニアは、実際にIT業界のさまざまな分野で活躍しており、職種によっては文系の強みを活かせる分野も数多く存在します。ここでは、文系エンジニアが活躍している分野の例と、それぞれの特徴や求められるスキルについて解説します。
フロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアは、アプリの画面やデザインなど実際にユーザーが目にする部分の設計や開発を行う職種です。ユーザーが実際に目にする部分を担当するため、デザイン力や表現力が求められます。
フロントエンドエンジニアはクライアントやチームメンバーとのコミュニケーションスキルが重要になるため、文系出身者が得意とする対話力や表現力が活かされやすい分野といえます。
セールスエンジニア
セールスエンジニアは、クライアントに対して技術的な提案や適切なサポートを行う職種です。サービス導入前のクライアントに対し技術的な側面から営業をサポートするプリセールスエンジニアと、導入後の支援やトラブルシューティングなどを行うポストセールスエンジニアに分けられます。
いずれも技術面の幅広い知識を身につける必要があり、かつその知識をIT技術に疎いクライアントに対してもわかりやすく伝える力が求められます。文系出身者はプレゼンテーション力や相手のニーズを理解する力に長けていることが多いため、セールスエンジニアとして活躍の機会があると考えられます。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、企業や組織の情報資産を守るためにシステムやネットワークなどのセキュリティを確保する役割を担う職種です。また、データやログを分析・可視化して、企業や組織が抱える課題を解決するためのサポートを行う「アナリスト」として活躍するエンジニアも存在します。
ほかにもセキュリティ分野では、個人情報保護やセキュリティガイドラインなど法律や規制についての知識が求められることがあるため、文系出身者も活躍しやすい分野といえます。
文系出身者がエンジニアになるメリット

エンジニアは、ITの知識や専門的な技術だけでなく、業務を効率的に進めるためのさまざまなスキルが求められます。ここでは、一般的に文系出身者が長けているといわれるスキルと、エンジニア業務への活かし方を紹介します。文系出身者としてエンジニアになるメリットともいえるため、参考にしてください。
文章力を活かせる
エンジニアは技術的な作業だけではなく、仕様書や設計書、マニュアルの作成など、IT技術に知見がない方も読むことを想定した文章を書かなければならない場面が多くあります。読む相手の立場に立ったわかりやすいドキュメントの作成を心がけると、文系出身者としてのメリットを活かせます。
ただし、エンジニアが作成するドキュメントは客観的かつ論理的に記述されている必要があります。わかりやすい内容にしようとするあまり、表現があいまいになって解釈の余地が生じたり、本文が必要以上に膨大になったりすることは避けなければなりません。
文体に好みや癖があることを自覚している場合は、必要なことが正確に伝わる論理的な文章の書き方を身に着けておくのがおすすめです。
読解力を活かせる
エンジニアの仕事では、さまざまな種類のドキュメントやマニュアルを読み込む必要があり、複雑な文章を正確に読み解く力が求められます。これらのドキュメントは文章量が膨大であることも多く、長文を読むことに慣れている文系出身者の読解力が役に立つことがあります。
特に文系出身者は多くの情報を効率よく整理し、文章の要点を読み取る力が鍛えられていることが多いため、必要な情報を素早く把握し、業務を効率的に進められる強みがあります。
ただし、エンジニアには「アジャイル開発」や「IDE」などエンジニア特有の専門用語が多数存在します。ドキュメントやマニュアルを読んでしっかり理解するためには、こうした専門用語の知識をつけておくことが大切です。
コミュニケーション力を活かせる
文系出身者は、人文科学や社会科学の分野で他者との対話や意思疎通について学びを得る機会が多く、一般的にヒアリング能力やコミュニケーション能力が長けているといわれています。
エンジニアはチームでプロジェクトを進めることが一般的であり、チームメンバーとの円滑なコミュニケーションが必要になります。さらに、クライアントとの打ち合わせや交渉など、コミュニケーション力が必要とされる場面は少なくありません。
また、クライアントは必ずしもITの専門的な知識を持っているとは限らないため、詳しい説明を求められることもあります。文系出身者であれば、質問の意図を汲み取ったり、求められていることを予測して回答・提案したりと、ユーザーに寄り添った対応を行いやすいという強みもあります。
文系がエンジニアになるデメリット
エンジニアの業務には、文系ならではの強みが活かせる場面も数多くありますが、一方でデメリットも存在します。ここからは、文系がエンジニアになる際のデメリットを紹介します。
IT技術や知識の不足を補う必要がある
文系出身者がエンジニアを目指す場合、プログラミングスキルやITに関する基礎知識が不足していることがあるため、理系出身者に比べて技術や知識の習得に時間がかかる可能性があります。
自己学習を行ったり、研修に参加したりすることで技術やスキルを補う必要があるかもしれません。また、企業の研修制度や実務を通じて積極的に学び、継続的に学習を続けることでギャップを埋めることが重要になります。
苦手な分野の知識が必要になることがある
エンジニアとして働く際には、統計学や数学、物理学などの理系分野の知識が必要になることがあります。たとえば、近年需要が高まっているAIエンジニアやデータサイエンティストは、統計学の知識を活用してデータを解析する場面が頻繁にあります。
文系出身者で、こうした理系の分野に苦手意識を持っている場合、特に学習の初期段階では知識を習得するのに苦労するかもしれません。ただし、近年はオンライン講座や教材が豊富にあるため、時間をかけて学べば十分に克服することが可能です。
文系出身者がエンジニアになるために必要なスキルと学習方法

エンジニアとして働くためには、ITの知識や専門的なスキルを習得する必要があります。これらのスキルは適切な学習方法を取り入れることで、文系出身者でも十分に身につけられます。
ここからは、エンジニアに求められる知識やスキルを紹介し、効率よく習得するための学習方法について解説します。
プログラミングスキル
開発に関わるエンジニアの場合、プログラミングのスキルは必要不可欠です。目的によって習得すべき言語は異なるため、自身が目指す職種でよく使われている言語を中心に学習することをおすすめします。
プログラミングの学習方法は、書籍やオンライン講座、プログラミングスクールなど多岐にわたります。プログラミングスクールではカリキュラムに沿って基礎から実践的な内容まで学ぶことができ、短期間で集中してスキルを習得できるため、初心者にはおすすめの学習方法です。
当サイトでも詳しい学習方法を紹介しているため、参考にしてください。
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論理的思考力
エンジニアの業務では、システムの設計や問題解決のためなど、さまざまなシーンで論理的思考力が求められます。またプログラミング作業でも、細かい手順や条件を整理し、誤りのない指示を与える必要があるため、論理的思考力が重要になります。
論理的思考力は、プログラミングを学習することで自然と鍛えることができます。論理的思考力を養うためのビジネス書なども多く出版されているため、参考にするとよいでしょう。
基礎的なITインフラの知識
エンジニアとしてシステムの基本的な流れや構造を理解するためには、基盤部分にあたるITインフラの基礎知識を持っておくことも重要です。特にネットワークやサーバー、クラウドに関する知識は、幅広い分野で必要になるため、システム全体を理解する上では欠かせない知識になります。
これらの知識は初学の場合イメージが掴みづらいため、UdemyやYouTubeなどの動画教材を使うことで効率よく学習を進めることができます。また、基本的な知識を習得できたら、AWSやAzureなどのクラウドプラットフォームを使って、実際に環境を構築してみることも有効です。
まとめ

昨今のIT業界は、人手不足や新しい技術の普及などから、多種多様な人材を求めています。エンジニアを目指す意志と学習に取り組む意欲があれば、文系出身者にも多くのチャンスが広がっています。
エンジニアの業務には理系の知識が必要になる場面もありますが、近年は学習手段が豊富なため、自分に合った方法でギャップを埋めることが可能です。また、文系出身者の多くが得意とする文章力や読解力、コミュニケーション力などのスキルは、エンジニアに必要なIT知識や論理的思考力と組み合わせることで、IT業界に求められる強みとして活かせます。
文系出身者でエンジニアを目指す人は、本記事を参考に強みを伸ばせるよう学習をはじめてみてはいかがでしょうか。