フレックスタイム制がずるいと思ってしまう4つの闇

コアタイムギリギリに出社が許されてしまう
フレックスタイム制を導入している企業では、必ず出社してほしいコアタイムを設けている場合が多いです。このコアタイム内は勤務をするというルールですが、裏を返せばコアタイムの開始時刻直前に滑り込み出社も許されてしまいます。コアタイムの開始時間はお昼前に設定することが多いので、お昼前に出社してもOKになってしまいます。
朝から出勤している社員が不満を抱える一方、ルールを守っているので遅刻扱いにならず、制度の枠内であるため直接注意をしにくい状態です。
フレキシブルタイム中のトラブル対応に不平等さが生じる
フレキシブルタイムに発生した突発的なシステムトラブルの対応が偏ってしまうのもずるいと思ってしまう原因の一つです。
もしコアタイム前の午前9時に問題が起きた場合、出社している人だけで処理を始めます。11時出社のメンバーは、トラブル対応の初動にまったく加わりません。障害対応の苦労を分担できない状況は、不平等感を決定づける要因でしょう。属人化しやすい開発組織ほど、朝の負荷の偏りが深刻化しやすくなります。
顧客からの急な仕様変更打診や問い合わせ対応、コアタイムが終わってからの対応もその時にいる社員で対応せざるを得ません。遅れて出社した同僚が何食わぬ顔でタスクをこなす様子は、ずるいと感じるはずです。業務のしわ寄せが特定の個人に固定化される仕組みは、組織として見直すべき課題です。
フレックスタイム制はチーム全体の連携と配慮の上で成り立つ制度です。理不尽な負担の押し付けは、優秀な人材の離職を招く引き金になるでしょう。
上司に相談しても「自由だから」で片付けられてしまう
管理職がフレックスタイム制の趣旨を誤解している場合、相談してもうやむやにされます。チーム全体の業務バランスや進捗遅れに対する危機感に目を向けず、「ルールだから」と繰り返すのは不誠実な対応とも言えます。まともな対話が成立しない環境では、相談する側の無力感が深まりかねません。
また、上司が「フレックスタイム制を採用しているから、勤務時間ではなく成果物だけ評価すればいい」と考えているのも問題を深刻化させる要因です。進捗が遅れている同僚の尻ぬぐいを周りが行っていたとしても、適切な指導が行われないケースが目立ちます。表面的なタスク完了の数字だけを見るマネジメントは、現場の不信感を煽るでしょう。
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朝からまじめに働くと損をした気分になってしまう
一般的な定時や朝型の生活リズムを維持しているだけなのに、他人の後始末を強いられる状況をずるいと感じる人もいるでしょう。自分の労働量と労働時間に不公平感が生まれると、どうしても不満が出てきてしまいます。
また、コアタイムがあっても予定の入れ方次第ではコミュニケーションが取れない相手も出てきてしまいます。情報の非対称性が発生しやすくなると、チームや会社としての一体感も失われやすくなるでしょう。
不公平なフレックスタイム制の運用は、組織全体の生産性を確実に引き下げます。一部のルーズな行動が許容されることで、真面目な層のエンゲージメントは下がっていくでしょう。企業が制度のメリットを生かせない状態は、大きなデメリットにほかなりません。
フレックスタイム制の落とし穴とよくある勘違い

総労働時間を満たしていなければ給料が減る
フレックスタイム制は働く時間を自由に減らせる制度ではなく、一定の期間内で定められた総労働時間を満たす義務が課せられています。
フレックスタイム制を導入している企業のほとんどが、給与計算の際に清算期間内の総労働時間(所定労働時間)が規定通りになっているかを確認しています。IT企業のような土日休みの企業だと清算期間1カ月、総労働時間は月20日働いた想定の160時間前後に設定しています。この場合、総労働時間を割り込まないように働くとしたら1日8時間働けば問題ありません。
フレックスタイム制は1日当たりの労働時間を縛っていないので、納期前に10時間働いた翌日は6時間に減らすといった調整はできます。ただ、総労働時間は割り込んではいけないという前提のもとで成立しています。
こうした前提を忘れてコアタイムの時間だけ働くと、月末になって大幅な時間不足が発覚するケースもあります。時間が足りなければ、当たり前ですがその分給料は減ります。給料を減らしたくないなら、月末に慌てて残業調整を行うハメになるでしょう。
成果物を出せばOKではない
あくまで会社員なので、成果物に対する評価がすべてと考えるのは間違っています。
フレックスタイム制の導入企業であっても就業規則やチームの規律は存在するので、連絡なしに遅刻や早退をして良いわけではありません。周囲とのコミュニケーションを無視した単独行動は、協調性の欠如とみなされます。成果主義の勘違いが、チームワークを破壊する原因になるケースは多いです。
社内だけでなく、社外対応や連携も重要です。協力会社がいる場合は、その会社で働く社員が固定勤務の可能性がかなり大きいです。成果を出しているから遅れても許されるという理屈は通用しません。組織で働く以上、最低限の稼働共有やマナーを守る義務があると認識してください。
しっかりとマネジメントしないと成立しにくい
フレックスタイム制の成功は、マネージャーの高度な管理能力にかかっています。各メンバーのタスク量や稼働状況を可視化し、正しく勤怠管理をしないと勤務状況を正確に把握できません。
フレックスタイム制では勤怠の打刻時間だけでは実態把握ができません。稼働の偏りに気づけない上司がいると、不満も蓄積されやすいはずです。適切なアサインや進捗管理が行われない職場は、フレックスタイム制のデメリットが際立ってしまいます。
「なんちゃってフレックス」が存在する
フレックスタイム制度を導入しているとはいえ、コアタイムが極端に長い、朝9時出社を強制する、コアタイムに遅刻したら減給されるなど自由な時間調整ができないケースもあります。こうした状態は「なんちゃってフレックス」とも呼ばれています。
コアタイムが長いと強制的に全員同じ時間で働くので社内連携は取りやすくなります。一方で“労働者が勤務時間を自由に管理する”というフレックスタイム制度本来のメリットが失われ、「フレックスを使って早く帰りたいのに帰れない」という状況に陥ってしまいます。働き方の不満だけでなく、自社のフレックスタイム制が正しく使われているかも一度見直してみるとよいでしょう。
なぜITエンジニアはフレックスタイム制をよく使っている?
個人の裁量で進めやすい仕事と“思われがちだから”
ITエンジニアが多い企業ではフレックスタイム制を導入しているパターンが多く見受けられます。ただこれはITエンジニアの働き方を勘違いした結果生まれた状況とも言えます。
“ITエンジニアは個人の作業が多いからフレックスタイム制を導入しやすい”
“ITエンジニアは打合せをコアタイムに入れればフレックスタイム制を活用できる”
“自由な働き方をしやすい職種”
ITエンジニアと働き方に関して、こうした情報が先行してしまいやすい現実があります。実際はそうではないことは、現役で働くエンジニアであればあるほど痛感しているでしょう。
実際はチーム連携・クライアント都合に振り回されやすい
エンジニアの業務は個人作業に見えて、非常に高いチーム連携を求められます。1人で黙々とソースコードを書くだけの時間は、全体の数割程度。設計のレビューやAPIの仕様調整、後輩の教育など、密な対話が必要です。あるメンバーがいない間にトラブルが発生し、他人の稼働待ちによって自身の作業が止まることもあります。
また、受託開発の場合は結局クライアントの営業時間に合わせて対応せねばいけません。フレックスタイム制を理由にレスポンスが遅れることが重なれば、クライアントから信頼をなくしてしまいます。あらかじめクライアントに伝えることもできますが、現実的ではない現場もあるでしょう。
開発現場の実態を無視した制度の導入が、特定の個人へ重荷を課す構造です。
採用市場においてフレックスタイム制は有利に働く
慢性的な人材不足を解消するための策としてフレックスタイム制を使っている企業もあります。
IT業界では10年単位でエンジニアの獲得競争が激化している状態です。また業態や開発内容、給料などの条件で他社を突き放すのもなかなか難しい状況になっています。似たような求人が多数出ている中で、抜きんでいたメリットとして提示しやすいのがフレックスタイム制です。
dodaやマイナビ転職など大手求人サイトでは「フレックスタイム制」という検索項目を別途設定しています。つまり、求職者が魅力に感じやすい内容だからこそ検索しやすいよう設計されているのです。この需要を逆手に取り、実態はどうであれフレックスタイム制を導入していると言いたいがために利用している企業も少なくありません。
フレックスタイム制をずるいと思わないためにできる3つのアクション

丁寧な勤怠・作業管理を行う
フレックスタイム制は丁寧な勤怠管理をしないと正確な数字を管理できません。データで業務時間を管理できる仕組みを作りましょう。
手っ取り早く導入するなら、JiraやBacklogのように作業内容と作業時間を同時に管理できるツールを使うのがおすすめ。どちらも作業の進捗遅れや工数を可視化できるので、チーム内のタスク配分の異常性が明確になり、改善の議論を始めやすくなるはずです。
もし、勤怠のみを正確に管理したいのであればHRMOS勤怠、マネーフォワード クラウド勤怠などの勤怠管理専用アプリの導入を上司に打診してみましょう。
上司ではなく人事に相談してみる
もし現場の課題感を上司に伝えても改善の見込みがなければ、人事担当者に相談してみましょう。上司のマネジメント力不足が伝われば、人事は就業規則の不履行や違法性のリスクを感じてアクションを起こす場合があります。
フレックスタイム制の不備を組織課題にしてもらい、社内ルールの改定やコアタイムの厳格化など組織的な解決へ舵を切ってもらうのも自分が働きやすくなるための第一歩です。先ほど紹介した勤怠管理専用アプリの相談を人事にするのもよいかもしれません。
他社の求人や働き方に触れる
自社のフレックスタイム制の実態が本当に世間とかけ離れているか確認するには、他社の状況を知りに行くのが最適。外の世界を見ることで自社の運用の異常性を客観的に判断できるはずです。求人サイトで求人を見に行く、転職エージェントを活用するのもよいですが、こういったときに有効なのがカジュアル面談です。
カジュアル面談は転職意欲に関わらず、とりあえず話を聞くための場として設けています。エンジニアにとっては自分の市場価値を色々な観点で知ることができ、企業側は選考に進まずとも色々な人に会える場として活用しています。企業サイトからも申し込めますが、Wantedlyなどカジュアル面談の申し込みができるツールを有効活用してみましょう。
まとめ
フレックスタイム制は制度の使い方次第では、周りがずるいと思ってしまいやすい制度です。コアタイムの悪用やその人がいないときの対応など、まじめに朝から働く人ほど不平等感を感じやすくなってしまいます。仕事をしっかりこなしながらも自分で労働時間を決めて、総労働時間内でやりくりをするのが本来のフレックスタイム制。そこに反している状況が散見するのであれば、時間とタスク管理を徹底したり、上司や人事などに相談して状況打破に動きましょう。











