テレワークでも雑談が必要なの?

心理的安全性の確保に非常に有効な手法の一つ
心理的安全性とは、チームメンバーが「発言しても否定されない」と感じられる環境のことです。Googleが実施した大規模な職場環境調査「プロジェクト・アリストテレス」でも高いパフォーマンスを出すチームに共通する要因として、心理的安全性が上位に挙げられています。この心理的安全性を形成するのに必要なのが雑談なのです。
テレワーク環境では、オフィスで自然に生まれていた雑談が失われます。意図的に雑談の機会をつくらなければ、メンバーは「この発言は適切だろうか」という不安を抱えやすくなるでしょう。
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コロナ禍で重要性が注目されるようになった
2020年、新型コロナウイルスによりテレワークが爆発的に普及し、雑談する機会が減り、ピーク時には出社時と比べて会話や雑談が約7割減少したというデータもあります。雑談が減ったことでちょっとした不安や孤立感、寂しさが増えたと感じたビジネスパーソンも3分の1以上存在しており、先ほど説明した心理的安全性が弱まっていた事実があります。同時にチームや部署間の連携が弱まる、新規提案が生み出されにくくなるなど業務上の弊害も目立つようになってきました。
会社内での会話によるコミュニケーションがもたらしていた影響を痛感したことで、出勤でもテレワークでも雑談はしていくべきという考えが広まったのです。
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雑談=サボりではない
雑談をサボりと混同している方もいますが、雑談は業務効率を高めるコミュニケーションの一形態です。
チームメンバーの状態を把握し、問題を早期に発見する機能を果たします。たとえば、開発中に詰まっている箇所をSlackの雑談チャンネルに投げたことで、別のメンバーがすぐに解決策を提案できたというケースは珍しくありません。
「雑談ゼロが真面目な働き方」ではなく、適切な頻度の雑談がチームの質を高めるという認識をチーム全体で共有することが、まず重要といえます。
エンジニアにこそ雑談が必要な理由

論理的思考を活かせる場だから
エンジニアは論理的な思考を得意とする方が多く、「雑談が苦手」と感じる人も少なくありません。しかし、雑談の中で技術的な課題を話すとき、論理的思考はむしろ強みになります。
エンジニアは自身の思考を出力しているプログラムを通じてあらゆるコミュニケーションをしていると考えている業界人もいます。この膨大な量のプログラムを通じた会話ができる人なら、相手の話をしっかり聞いて落ち着きを与えられるものだと考えているそう。相手との共通項を見つける雑談ならチーム力の底上げにもつながり、生産性向上にもつながると話しています。
雑談の必要性を説き、仕組みを整えることがチームリーダーの役割の一つといえるでしょう。
チーム力を引き上げることにつながるから
チームの生産性は、技術スキルだけで決まるわけではありません。メンバー同士の信頼関係や情報共有の速さが、開発スピードに大きく影響します。
雑談を通じてメンバーの考え方や得意分野を把握することで、タスクのアサインや相談の仕方が変わります。たとえば、インフラが得意なメンバーがセキュリティ設計に詳しいと雑談の中でわかれば、次の技術選定でそのメンバーに声をかけやすくなるでしょう。
雑談はチーム内の「人的リソースマップ」を自然に更新する場でもあります。メンバーの孤立を防ぎ、チームとしての総合力を高める効果があるでしょう。
テレワークで雑談がしにくい理由

相手の都合を聞かないといけないから
オフィスでは、相手の様子を見て「今話しかけても大丈夫そう」と判断できます。テレワークでは相手の状況が見えないため、声をかけるタイミングをつかみにくいです。
「今ちょっといいですか?」とチャットで送ることへの心理的な負担は、意外と大きいものです。気軽なひと言のために一往復のやり取りが必要になるため、雑談の頻度が下がっていきます。
呟ける「場所」がないから
オフィスには、ちょっとした独り言や雑談を受け止める物理的な「場」があります。休憩室や廊下での立ち話など、意図しない会話が生まれる環境が自然と整っているものです。
テレワークでは、ビジネスチャットが主なコミュニケーション手段になります。多くのビジネスチャットツールはチャンネルごとにトピックがわかれているため、業務と関係のない発言がしにくい雰囲気になりがちです。チャンネルのテーマに関連した発言ができない場合、何で悩んでいるかを発信しづらくなるので最終的に孤立する可能性があります。
雑談不要派への配慮が必要だから
チームの中には、「業務時間中の雑談は不要」と考えるメンバーもいます。雑談好きなメンバーが場を盛り上げようとすることで、無言のプレッシャーを感じる人が出てくる場合もあるでしょう。こうした人に雑談タイムへの参加を強制すると、逆に心理的安全性を損なうリスクがあります。参加したい人は参加でき、そうでない人は参加しなくてもいい仕組みを設計することが、全員が同じ温度感で関われるチームに近づく第一歩といえます。
ハラスメントと思われる可能性があるから
テレワーク環境では、テキストや音声のみのコミュニケーションになります。表情や声のトーンが伝わりにくいため、冗談のつもりの発言が誤解されやすいです。プライベートな話題への踏み込みや、特定のメンバーへの過度な話しかけは、意図せずハラスメントと受け取られる可能性があります。特にチームリーダーの立場からの発言は、受け手に重みがかかりやすい点に注意が必要です。
テレワークのエンジニアにオススメの雑談方法

ビジネスチャット内に専用スレッドを作る
雑談専用のチャンネルをSlackやMicrosoft Teamsなどのビジネスチャットに設ける方法は、導入コストがほぼゼロで始められます。チャンネル内に「雑談スレッド」と称した専用スレッドを立てる、「times_(名前)」のような個人用チャンネルを全員分つくるスタイルも効果的です。運用のコツは、チームリーダーが率先して投稿し、「ここは自由に書いていい場所だ」という雰囲気をつくりましょう。
業務外の内容ばかり書くのに抵抗がある場合は、「分報」という方法も使えます。これは日報のように1日の業務内容を報告するのではなく、今取り組んでいる仕事に関する何気ないつぶやきを残す方法です。必ずしもレスポンスを期待するものではありませんが、何か引っかかる内容があったら反応するよう、さながら社内版X(旧Twitter)のような使い方を想定して運用しましょう。
バーチャルオフィスなどでブレイクタイムを設ける
Gather.townやRemoなどのバーチャルオフィスツールを導入している場合は、ツール内に何でも話せる空間をつくりましょう。アバターが近づくと自動的に会話が始まる機能を持つツールもあり、オフィスでの立ち話に近い体験を再現できます。フルリモートのチームでも「隣にいる感覚」が生まれやすく、雑談のハードルが自然と下がるでしょう。
導入する際は全員がツールの使い方を把握できるよう、短い説明の時間を設けることで定着しやすくなります。無料プランから試せるサービスも多いため、まず小規模なチームで試してみるとよいでしょう。
「議題のある」雑談タイムを作る
ただ雑談をするだけの時間を設けて参加を強制するのは雑談不要派の負担になるだけでなく、「どんなことを聞かれるんだろう」と相手を不安にさせてしまいます。沈黙を防ぐには、あらかじめ緩いテーマを設定しておく方法が効果的です。
「最近使ってみた技術ツール」「読んだ技術書の感想」「便利だと思ったショートカット」といったテーマであれば、エンジニア同士の会話が広がりやすいです。業務に近いテーマを選ぶことで、「雑談の時間が無駄だった」という感覚を持ちにくくなります。テーマはチームメンバーが持ち回りで決める形にすると、一人に負担が集中せず継続しやすくなります。議題があることで、内向的なメンバーも発言のきっかけをつかみやすくなるでしょう。
ゆるい拘束力を持った雑談タイムを作る
完全任意の雑談タイムは、参加者が固定されやすく、次第に形骸化しやすい傾向があります。かといって強制参加では、心理的安全性を下げるリスクがあります。「ゆるい拘束力」とは、強制はしないが参加しやすい仕組みを設計することです。たとえば、週1回・15分の朝会の最初の5分を雑談タイムに設定する、バーチャルオフィス内に少人数で会話できるエリアをつくりその中ではミュートを解除するなど、自然な参加を促せます。
GoogleカレンダーやBacklogなどのプロジェクト管理ツールにあらかじめ予定として入れておくと、「なんとなく参加する」文化が定着しやすいです。リーダー自身が毎回参加して場の雰囲気をつくり続けることが、仕組みを機能させる鍵といえます。
まとめ
テレワーク環境での雑談は、チームの心理的安全性を支える重要な取り組みです。雑談をサボりと混同せず、開発の生産性を高めるコミュニケーション手段として位置づけることが大切といえます。まずはSlackへの雑談チャンネルの設置や、週1回の短い雑談タイムの導入など、小さな仕組みから始めてみましょう。チームビルディングの実績は、転職市場においてもリーダー職の求人で評価されやすいポイントです。雑談の仕組みを整え、チームの力を引き上げるリーダーとして、ぜひ一歩踏み出してみてください。











