エンジニアの勉強が挫折しやすい理由
情報過多によって迷いが生じやすい
IT業界は技術の進歩が非常に速いです。特にクラウドやAIが爆発的に普及したことで、学ぶべき範囲は広がりました。新しいフレームワークやライブラリが次々と追加され、業界のトレンドとなる言語もどんどん変わっています。
前提として、人間は選択肢が多いと判断力が鈍ります。エンジニアにとって必要な情報があまりに多い現状で、何を勉強すればいいか迷うのは仕方ありません。
その中でも、明確に目標を決めて勉強しているエンジニアがいるのも事実です。当社が実施した調査結果によると、年収600万円以上のエンジニアの約半数以上が新技術・スキル学習に週10時間以上充てていることがわかっています。自主的に勉強する時間を増やして、年収アップを叶えた人も約3割存在しています。
年収アップを叶えたエンジニアも闇雲に勉強していたわけではありません。今一度、自身のキャリアにとって必要不可欠な技術はどれか考えて、目標設定をしましょう。具体的な目標設定の方法については、次の項目で説明します。
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エンジニアが勉強を継続するためのロードマップ

1. 市場価値から逆算して「学ぶ技術」を絞り込む
まず行うことは、業界のトレンドや求人市場をリサーチして学ぶべき技術を見定めることです。求人票を見ると、どんな技術を持つエンジニアが求められているか把握できます。業界のトレンドはもちろん、複数の求人を見て、その中から1番の理想となる求人を見つけましょう。
エンジニア募集には、仕事内容と併せて開発環境や技術スタックに関する記載がある場合があります。
また、求める人物像の欄で必要な技術について書かれていることもあります。
この項目を参考に必要な技術を書き出し、現状と理想とのギャップや足りない技術が何か正しく認識しましょう。これにより目標設定が具体的になり、逆算で考えることで無駄なインプットが減ります。
2. 「書籍」と「ドキュメント」を使い分ける
次に、効率的に学ぶための学習ツールを選びます。「技術を学ぶなら公式サイトのドキュメントが最適!」と思うかもしれませんが、一次情報としては最適ではあるものの、基礎の部分が抜けていると習得に時間がかかる場合も多いです。そのため、基礎から学ぶ必要がある場合は技術書を読むところから始めるとよいでしょう。
基礎知識が不足していて、変数や関数の構造やコードの仕組みがわかっていないと、ただただ勉強がしんどくなるだけです。書籍で普遍的な概念や全体像を把握し、土台を作りましょう。
ある程度基礎が固まったら、公式ドキュメントを使って最新情報やより具体的な使い方を習得しましょう。時には英語のドキュメントに触れることもあるでしょうが、現代にはたくさんの翻訳ツールがあります。翻訳しながら公式の意図をくみ取り、最新技術を自分のモノにしましょう。
インプットの質が、スキルの定着度を左右します。状況に合わせて最適なツールを選択しましょう。
3. 成果物を「GitHub」などで公開する
最後に、インプットができたら必ずアウトプットをしましょう。インプットした内容を思い出しながら実際にコードを書いてみるのです。これはアクティブリコールと呼ばれており、科学的にも結果が出ている学習方法です。書籍やドキュメントなどで習得したものを使って、小さなものでも構わないので、何か作ってみましょう。こうすることで、学んだ内容が確実に身につきます。
そして、実際に作ったアプリはぜひ外部へ公開しましょう。おすすめの方法はGitHubでリポジトリを保存することです。GitHubに保存すれば、転職活動の際のポートフォリオとしても活用でき、日々の活動記録も残せるので積極的に学ぶ姿勢もアピールできます。
GitHub以外にもQiitaやZennで公開するのも一つの手。アウトプットと同時にどうしてこの設計にしたか言語化すれば、未来の自分も手助けできるはずです。どの手法でも外部の人間からのフィードバックがもらえるので、学びが深まり、スキル向上につながります。
エンジニアの勉強を習慣化させるための7つのコツ

モチベーションだけでは何ともならないと認識する
最初に意識すべきことは、モチベーションに頼らないことです。モチベーションはいわば感情です。やる気を出したその日は気持ちが高まりますが、それがずっと続くことはありません。やる気が出ない日は何もしないという状態になると、結局勉強が習慣化しません。
やる気がなくてできない日が数日続くと、最終的には「自分には無理」と思いこんで行動を諦めてしまう……。こうならないためにも、感情に振り回されずに続けられるような仕組みを作ることが大切です。
通勤電車に乗ったら本を開く、歯磨きをしながら公式ドキュメントをざっと見るなど、すでに習慣化していることに付随する形で学習を取り入れると仕組み化しやすくおすすめです。
成長曲線の存在を認識する
次に意識すべきことは成長曲線の存在です。
成長曲線とは横軸に努力量、縦軸に成果をとったグラフのこと。多くの人は以下のようなグラフになると思いがちです。
画像(参考サイトにあるような正比例のグラフ画像)
努力をすればその分成果も伸びると思いがちですが、現実はそうもいきません。
最初は停滞しがちになることもあれば、成長が急に止まりながら伸びていく人もいるでしょう。
画像(参考サイトにあるような反比例・ぐっと成長するまでうねうねしているのグラフ画像)
しかし、いずれにせよ継続していればブレイクスルーが訪れて急に成長する場面が訪れることに変わりありません。停滞期に入っても諦めず、「今は力を蓄える時期だ」と認識して、ほんの少しの成長のためにとにかく続けましょう。
時間を細かく区切る
勉強をする前に、時間管理術についても覚えておきましょう。人間は長時間集中できない生き物です。集中できるといっても最大90分が限界だと研究で明らかになっています。ただ、社会人だと「1時間半も勉強時間に充てられない」と言う場合も多いでしょう。その場合は、90分をより細かく分割して勉強時間に充てることをおすすめします。
人間は15分、45分、90分の区切りで集中しやすいと言われています。裏を返せば、この短い時間であれば質の高いインプットが可能になります。お昼休憩の終わりに15分だけ勉強するなど、隙間時間を上手に活用しましょう。25分の作業と5分の休憩を繰り返す時間管理術であるポモドーロ・テクニックも有効です。休憩を挟まずだらだら勉強するくらいなら、集中できる時間だけ勉強をしてしっかり休む方が、インプットの質も向上するでしょう。
勉強のハードルをとことん下げる
勉強を習慣化するうえで、正しい目標の設定方法も把握しておきましょう。高すぎる目標や習慣を設定してしまうと、やる気低下につながりかねません。「自分にはできない」と自信の喪失にもつながり、目標達成がより難しくなることもあります。そのため、実現可能なレベルまでハードルをとことん下げましょう。
TODOとして書き出す場合も「GitHubの該当ページを開く」「1行コードを書く」「技術書を1ページ読む」といった形で行動のスタートとなる部分のみ書き出すようにすると、「これなら今できるか」と思って行動できるようになります。こうした小さな成功体験を積み重ねることで、勉強がより習慣化しやすくなります。
勉強を始めるまでのルーティーンを決める
勉強を始めるルーティンを定め、自然と勉強モードへ入る流れを作りましょう。人間は選択肢が多いと判断が鈍るという話をしましたが、勉強の習慣化においても同じです。勉強を始めるまでの流れを仕組化すれば、何も考えずに勉強を始めることができます。
また、人間はいったん動いてしまえば辞めることが難しいという研究結果があるので、動くためのトリガーを準備すれば十分。コーヒーを淹れて、動画サイトや音楽サブスクで集中できる音楽をかけるといった形で、勉強に至るまでの型を作りましょう。選択するという行動を徹底的になくせば、スムーズに勉強が始められるはずです。
集中しやすい朝の時間を活用する
人間は起床後2~3時間が最もクリアな頭で行動できるといわれており、これを脳のゴールデンタイムと称する専門家もいます。1時間の朝活は3時間の夜活に匹敵するといわれるほど。少し早く会社の近くまで来て、カフェでモーニングを食べながら勉強するのは、実は非常に理にかなった行動です。
会社の近くのカフェでなくても、少しだけ早起きして家で技術書を読むのも効果的です。脳がはっきりしている時間を有効に活用しましょう。また、朝に勉強時間を確保しようとすると自然と生活リズムも整うので、生活習慣の見直しもできて一石二鳥です。
適度にストレス発散をする
最後に意識すべきことは、根を詰めすぎないことです。根を詰めすぎると心身の不調につながることもあります。休息をとることも勉強を長く継続するうえで欠かせない要素。時には勉強を休む日を作り、散歩や運動で体を動かしたり、友人に悩みを打ち明けたりする時間を作りましょう。
もし周りで同じ技術を学びたい仲間がいるなら、ぜひつながっておきましょう。勉強でつまづいたときに気軽に相談できますし、目標達成の進ちょくを共有して勉強へのやる気維持につなげることもできます。勉強会やオンラインコミュニティに参加して、仲間づくりをしておくのもよいでしょう。
Qiitaでよくおすすめになっている書籍

リーダブルコード―より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック
オーム社から2012年に発行された名著です。Qiitaでも多くのブックレビューの投稿があるので、レビューを見たことがある人もいるかもしれません。
この本には、コードを書いた本人以外が最短時間で理解できるコードを書く方法が凝縮されています。名前の付け方からインデントの入れ方、適切なコメントの入れ方やループの簡略化まで丁寧に解説しています。誰でも触りやすいコードを作れば、保守運用の際に非常に便利。コードレビューの手間も減るので、仕事の効率化にもつながります。
この本は何度も読んで神髄にたどり着くタイプの本なので、時間をおいて何度も読み返して自分のモノにしましょう。
AWSの基本・仕組み・重要用語が全部わかる教科書
SBクリエイティブ社から2022年に発行された本です。「AWSの学習をするならこれしかない!」という投稿が多数あります。530ページ以上に及ぶボリュームで、AWSの基礎から実践まで網羅的に学べます。図解も多く、どういった動作をするかイメージしやすい一冊です。公式ドキュメントで最新情報を確認しながら勉強すれば、より吸収しやすくなるでしょう。
AWS関連資格に合格したエンジニアが教科書的に使っていたという投稿も見受けられ、AWSの資格取得にもおすすめの一冊です。
ドメイン駆動設計 モデリング/実装ガイド
ドメイン駆動設計(DDD)の基礎を学ぶうえで手助けとなってくれる一冊です。よくあるデータベースに合わせて設計・開発する手法とは異なり、業務の仕組みから設計する手法を手軽に学べます。オブジェクト指向と言う言葉をイマイチ理解できていない人にもおすすめです。
技術ブログなどから事前に知識を得ておくと、より理解度が深まるといったレビューもあるので、ネット上にあるDDDの概要をざっと触れておくとより解像度が高くなるでしょう。
まとめ
エンジニアの勉強法は、目標からの逆算と習慣化がすべてです。情報に流されすぎず、トレンドや求められている技術が何かリサーチをしたうえで学ぶべき技術がどれかしっかり吟味しましょう。インプットと同じくらいアウトプットも重要なので、GitHubへの公開など手を動かして知識を定着させる取り組みもしましょう。
勉強を習慣化するのはなかなか大変ですが、仕組み化と時間管理を意識すればいつかは勉強が苦にならなくなります。自分の市場価値や会社での評価を上げるためにも、まずは求められている技術が何か探すところから始めましょう!











