C++とは?
開発から30年以上経っているものの汎用性が高く人気があるプログラミング言語
C++は1980年代に登場した歴史あるプログラミング言語でありながら、現在も多くの現場で活用されています。
その理由の一つが、汎用性の高さです。C++は、低レイヤのハードウェア制御から高レベルなアプリケーション開発まで幅広く対応できます。主にゲーム開発や金融システム、組み込み機器やOSなどの分野で使用されています。
また、オブジェクト指向と手続き型の両方を柔軟に扱える点も特徴で、開発スタイルや用途に合わせた設計が可能です。これらの特徴からC++は、新しい言語が登場するなかでも、現役で選ばれる言語として人気を博しています。
C++の将来性が高いといわれる理由
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組み込みシステムや大規模システムなど幅広い開発で使われているため
C++は、組み込みシステムから大規模な業務システムまで、多様な分野で活用されています。例えば、家電製品や車載システムなどの組み込み開発では、メモリ効率や処理速度が求められるため、C++のような軽量かつ高速な言語が重宝される状況です。
ほかにも、金融や通信、製造などの大規模システムにおいても、C++は高いパフォーマンスと柔軟な設計力を評価され、多くのプロジェクトで採用されています。幅広い開発で活用できる汎用性は、C++が将来にわたって安定した需要が見込まれる大きな要因となっています。
膨大なデータ処理を行う際に優れたパフォーマンスを発揮するため
C++はコンパイラ型言語であり、処理の実行前にコードを機械語に変換するため、実行時のオーバーヘッドが少なく高速に動作します。なお、コンパイラ言語とは、記述されたコードをコンピュータが実行可能な機械語に変換し、処理・実行するプログラミング言語です。
実行速度が高い特性により、C++はAIやIoT、ビッグデータ解析といった大量のデータを扱う分野で注目を集めています。
特に、リアルタイムでの処理や複雑なアルゴリズムを必要とするシステムでは、PythonやJavaよりも優位に立つケースが多くあります。
C言語と互換性が高いため
C++は、C言語をベースに拡張された言語です。基本的な構文や関数はC言語と互換性を持っています。そのため、既存のCコードをC++プロジェクトに組み込むことができるほか、C言語で書かれた膨大な資産を活かした開発が可能です。
具体的には、レガシーシステムの改修や再構築の場面でもC++が選ばれることが多く、ほかの新興言語にはない、過去のシステムとの接続性の高さが将来性を支えています。
扱えるエンジニアが少ないため
C++は文法が複雑で、メモリ管理やポインタの扱いなど、高度な理解を求められる言語です。習得に時間がかかることから、実務で自在に扱えるエンジニアは限られています。実際、C++エンジニアの需要に対して供給が追いついていない状況が続いています。
この希少性は、エンジニア個人にとっては大きなアドバンテージとなります。報酬の高さや案件の安定性にも直結するため、将来的に価値の高いスキルを身につけたい人にとって、C++は有力な選択肢です。
バージョンアップにより人気度が上昇したため
C++は古い言語として、長らく見られることもありましたが、2020年に登場したC++20の登場により、印象は大きく変わりました。C++20では、モジュールやコルーチン、コンセプトといった最新の機能が多数追加され、開発効率やコードの可読性が向上しています。
バージョンアップにより、従来のハイパフォーマンスな特性を維持しつつ、現代的な開発スタイルにも対応可能となりました。進化を止めない言語であることが証明されたことで、若手エンジニアからの注目も集まり、再評価が進んでいます。
C++の今後が危ういといわれる理由
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セキュリティについて警告する声が広まっているため
近年、C++の安全性に対する懸念が業界内で強まりつつあります。背景には、手動でのメモリ管理やポインタ操作といったC++の低レイヤ仕様に起因する脆弱性の発生リスクがあります。
実際に米国の政府機関や大手テック企業の一部では、C++を「安全でない言語」と位置づけ、より安全性を担保しやすいRustやSwiftなどへの移行を検討する動きも出ています。ほかの言語へ移行する動きが今後さらに強まれば、C++の採用方針が見直される可能性も否定できません。
若手エンジニアが不足する恐れがあるため
C++は非常に強力な言語である一方で、文法の複雑さやメモリ管理の難しさから、学習ハードルが高いという課題を抱えています。その結果、若手エンジニアの多くはPythonやJavaScriptといった習得しやすい言語を優先して学ぶ傾向にあります。
実際、企業現場でもC++の開発案件をこなせる人材が高齢化しつつあり、若手層の育成が追いついていないという指摘が増えています。このまま技術の継承が進まなければ、C++プロジェクトの維持自体が難しくなるというリスクも想定されます。
時代の変化によって相対的に需要が下がる可能性が否めないため
近年は技術の進化が加速しており、新たなプログラミング言語が次々と登場しています。例えば、RustはC++と同等のパフォーマンスを持ちながら、安全性とモダンな構文を両立させた設計で注目を集めています。
実際に、株式会社アクセラリージェンシーが2024年に公開した調査では、「C++を使用することが少なくなってきた」と回答するエンジニアの割合がトップでした。今後もC++は一定の分野で使われるものの、他言語にシェアを奪われていく可能性は否定できません。
条件面で見るC++の将来性
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年収相場は400万~600万円と年代で異なる
C++エンジニアの年収は、スキルや経験年数に応じて差があり、20代では400万円前後、30~40代では600万円以上を狙えるケースもあります。特に、大規模システムや組み込み開発、金融業界でのC++求人は、実力次第で年収700万~800万円に届く例も珍しくありません。
また、C++は専門性が高いため、フリーランスとして活動する際も安定した単価が見込めます。市場に流通するエンジニアの数が限られている分、条件交渉の余地が生まれやすい点も将来性の一つといえるでしょう。
求人数・案件数は一定の水準で需要は高い
C++の求人数はほかの主要言語と比べて派手さはないものの、常に一定の件数があります。特に、C++を使った組み込み系やハードウェア制御などの求人・案件は、多い傾向にあります。
また、長期プロジェクトが多いため、スキルを深めながら働ける点も魅力です。需要の波が大きく変動しにくく、技術者としてキャリアを安定的に築きたい方にとって、C++は人気が高くなっています。
C++が将来的にも求められる業界
メーカー業界からIT業界まで多岐にわたる
C++は、特定の業界に限らず、多くの分野で長年にわたり重宝されている汎用性の高い言語です。主に下記の業界で、C++の存在が欠かせません。
- 家電業界
- 自動車業界
- 医療機器業界 など
ハードウェアと密接に連携する制御システムでは、C++の処理速度やメモリ効率が優れている点が高く評価されています。幅広い業界でC++を使った開発が行われており、このニーズからも将来性の高さはうかがえるでしょう。
C++を学習する方法
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書籍を活用する
C++を基礎からしっかり学びたい方にとって、書籍を使った学習方法は効果的な手法です。なぜなら、体系的に構成された内容に沿って、文法や設計思想を段階的に理解できるためです。独学する場合でも、正確な情報が手元にあることで、自己解釈によるミスを防げます。
実際のソースコードや開発事例を豊富に掲載している書籍も多く、読者が手を動かしながら理解を深めやすい点も特長です。紙でも電子書籍でも利用できるため、自分のペースで進めたい方や、腰を据えて本質を学びたい方に向いています。
学習サイトを利用する
C++の学習において、学習サイトを活用する方法も非常に有効です。動画やインタラクティブな演習を備えたプラットフォームを使えば、初心者でも視覚的に理解しやすいことが魅力です。
最新のC++規格に対応したコンテンツが随時更新されることも多く、常に実践的な知識を学べます。通勤時間や隙間時間を活用できる点も、忙しい社会人や学生にとって大きなメリットです。わかりやすい解説を求める方に、学習サイトを使う方法は最適な選択です。
スクールへ通う
より短期間で実務レベルのスキルを身につけたい場合、スクールに通う選択も有効です。講師から直接指導を受けられるため、つまずきやすいポイントをその場で解消でき、独学では得にくいスピード感で習得が進みます。
また、C++の習得だけでなく、開発現場での使い方やチーム開発の進め方など、実践に即した内容を学べるのもスクールの魅力です。未経験からプログラミングを本業にしたい方・最短でC++を身につけたい方を中心に、スクールへ通う動きがみられます。
C++以外に将来性が高いといわれている言語
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Java
Javaは1990年代から広く使われているオブジェクト指向言語で、現在も多くの業務システムやWebアプリ開発で採用されています。特に金融や保険、製造業などの大規模システムに強く、安定性と保守性に優れた構造が評価されています。
近年は、クラウドやモバイルアプリ開発にも対応する進化を続けており、企業ニーズにマッチした言語として、需要は今後も安定的に続くと見込まれます。
JavaScript
JavaScriptはWebブラウザ上で動作するスクリプト言語として発展し、今ではWebアプリケーション開発の中心的な存在となっています。フロントエンドだけでなく、Node.jsの登場によりサーバーサイドでも利用範囲が広がっています。
モダンなUI/UXの構築に欠かせない存在であり、フルスタック開発への対応力も高いことから、将来性は非常に高く、多くの現場で求められ続けています。
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Python
Pythonはシンプルな文法と高い可読性を特徴とする言語で、AI・機械学習・データ分析の分野で急速に存在感を高めています。また、教育分野やWeb開発にも活用されており、初心者にも取り組みやすい点が人気の理由です。
世界中の研究機関や企業が採用を進めており、先端技術を扱う領域では今後さらに需要が拡大することが期待されています。
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まとめ
C++は、開発から30年以上経っているプログラミング言語ではあるものの、汎用性の高さから人気があります。「膨大なデータ処理をする際に優れたパフォーマンスを発揮する」「C言語と互換性が高い」といった側面から、将来性も申し分ありません。
年収相場や求人・案件数も安定しており、条件面で見ても将来性の高さがうかがえます。とはいえ、近年はさまざまな言語が登場しており、エンジニアのキャリアを考えると「C++を習得すれば安泰」とは言い切れないことを知っておいてください。
JavaやPythonなどの人気がある言語もあわせて習得することで、将来的に活躍できるエンジニアになるでしょう。











