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日常に学びを組み込み、深い洞察で価値を生み出す働き方|データサイエンティスト/データアナリスト

データサイエンティスト/データアナリストの方にインタビューをしました。日々どんな思いで仕事に向き合い、やりがいはどこにあるのでしょうか。業務内容やキャリアの歩み、そして今後の展望について迫っていきます。
 

更新日: 2025/05/01
カテゴリ:

――今の仕事内容を教えてください

データサイエンティストとして、効果検証やデータ基盤構築に取り組む

PCを操作するエンジニア


勤務形態

現職の勤務時間は基本的に9時~18時ですが、所属部署や社員の希望などによって調整も可能です。残業は月に5時間程度です。

働き方は出社かリモートワークかを選ぶハブリッド制で、現在は出社して仕事をしています。リモートワークのほうが時間に余裕が持てるでしょうが、 人と会うことで得られるメリットは非常に大きいものがあります。社内の人たちと交流できるし、リモートでは手に入らない情報を得る機会も多いので、通勤時間を省くことができるという点だけを見てすぐにリモートにしようとは今のところ考えていません。

 

――今の仕事の良いところ、大変なところは?

取り組みを評価してもらいやすいデータサイエンティストの業務

マウスを操作するエンジニア


仕事内容

データサイエンティストとして、金融業界の企業と外資コンサルの2社を経験しています。約1年間勤務した前職の金融業界の企業では、与信モデルの構築・運用や顧客データを用いた各種分析、効果検証などを担当しました。効果検証は、金融商品の利息変更といった施策を実施した際に、会社の業績や顧客の行動などにどんな影響が出たのかを明らかにする業務です。

社内の各種プロジェクトにデータサイエンスの専門職として参加し、関連部署と綿密にコミュニケーションをとりながら、データ分析関連のタスクを担ってきました。私が実施した業務を上司がレビューするという形態で仕事を進めます。ひとつのプロジェクトでの活動期間は1~2か月で、在籍中に6つほどのプロジェクトに参加しました。

現在の勤務先である外資コンサルに転職したのは、最近のことです。現在の外資コンサルでの業務には、データ基盤の構築や機械学習モデルの構築、生成AIプロジェクトなどがあります。

所属チームのメンバー数は約110人。海外で働いている人やリモートワークの人も多いので、オフィスで働いているメンバーは30人ほどです。職場で使用する言語は、主に日本語と英語で、あとは出身国の言語で会話する社員もいます。ミーティングでも日本語と英語、どちらを使うかはケースバイケースですね。

 

業務で使用する技術

使用する言語は、SASとPythonです。技術はデータ分析のSQLやpandasなどのデータ前処理技術、施策と結果の因果関係を明らかにするために、統計的因果推論などの技術を使用します。


今の仕事の良いところ

私はいろいろなことに興味を持ってすぐ行動するタイプなので、技術面からドメイン知識のようなビジネス面まで、学習や調査を行うテーマを自分で決めることができる点が大きな魅力に感じています。

データサイエンティストという職種のメリットは、取り組みが評価されやすい点だと感じています。データサイエンスは問題解決のツールです。データを用いてお客様のために動くわけです。お客様が認識していないことに対して本気でぶつかって何らかのメリットを提供すれば、それが良い成果として評価されます。相手に伴走し、相手の目線で物事を考えることが高い評価につながる職種だと思っています。

 

今の仕事の大変なところ

常に勉強し続けることと、相手の目線で物事を考えることです。データサイエンスは適用範囲が非常に広いので、プロジェクトが変わるごとにドメインだけでなく、手法も新しいことを身につけなければなりません。急速に進化する技術やツールを使用することも多いので、明日にはガラリと変わっている可能性だってあります。

相手の目線で考えることも、簡単ではありません。前職では総合職からデータサイエンスのポジションに異動する社員も多く、 自分がやりたいことを理解してもらうために、相手が知っている言葉で説明することを意識しました。前職から意識して相手の目線に立つようにしていました。相手の目線に立って考えることを、私は「人間の前処理」と呼んでいます。

AI関連の技術を活用するデータサイエンスは、何かいい感じにモノを入れるといい感じにアウトプットされると誤解されることも少なくありません。 実際は、料理のようにデータという「具材」をしっかり調理するわけです。適切な処理をすることで、より良い結果が得られます。相手がデータサイエンスに対して正しく理解するサポートをすることが重要です。あまりにも期待値が高い場合は、適切に期待値を調整することが必要になります。

 

――データサイエンティストになったきっかけ、今の職場に転職したきっかけを教えてください

人から学ぶことのできる環境でさらに成長したかった

コードが映るPC


データサイエンティストになったきっかけ

専門学校で3DCADを学んだ後、新卒で土木機械メーカーに入社して、5年間勤務しました。現場監督、営業職を経て配属されたのが研究開発部門で、そこで統計学を使用したことが、データサイエンスへの興味を深めたきっかけです。最後の1年は転職について具体的に考えていました。

最初の転職の目的には、データサイエンティストになることにくわえ、収入アップもありました。結果的に約100万円の年収増を実現しました。

 

現職に転職したきっかけ

前職での環境に不満がある状態でした。データサイエンスについて誰かに教わるのではなく、私のほうが説明することが多かったんです。もっとスキルアップしたい、人から学びたいと考えていたタイミングで、LinkedIn経由で現在の勤務先からカジュアル面接のお誘いを受けました。その1週間後から採用選考を受けることになりました。

今の上司との面接は55分間ずっと技術質問を受けるという内容で、たいへん深いお話をすることができ、技術的なアドバイスまでしていただきました。相手の目線で考える非常に優秀な方、技術力が高い人だと感じ、この職場で成長したいと思いました。

 

――平日の1日の流れについて聞かせてください

朝と夜の時間、通勤時間を学習に充てる毎日

 

1日の流れ

朝5時45分に起きて、6時からの90分はデータサイエンスの学習に充てます。現在はTableauやモデル構築の学習がメインです。起きてすぐ学習するコツは、5分でいいからデスクに座ってみることですかね。5分やれたら30分、30分やれたら90分続けようという気持ちになって、気づいたら毎朝の習慣になっていました。

8時前に自宅を出て、会社に到着するのは8時40分前後です。通勤電車に乗っている30分ほどの時間は、英語学習に集中します。ChatGPTと『80パターンで英語が止まらない!』という英会話学習用の書籍を活用しています。ChatGPTのアドバンスドボイスモードという機能では、例文に対する自然な返答を教えてくれるんです。その返答を会社で使うシーンを思い浮かべながら、電車の中で小声で口に出して練習しています。英会話のトレーニングを始めたのは、現職への入社が決まった2か月ほど前からですね。

勤務時間中は10時からミーティングをすることが多く、毎日17時からはメンター1人を含む5人グループで、お互いにアドバイスを提供し合うミーティングを行っています。ミーティング以外の時間は、自分の担当業務を進めるという感じですね。

19時に会社を出て、帰宅後は妻と子どもといっしょに過ごします。食事やお風呂を済ませて、21時45分から22時30分までが夜の学習時間。いちばん疲れている時間帯なので、データサイエンスだけに限定せずにモチベーションを高めやすいものを選んで勉強します。最近だとnext.jsを使ってオセロゲームのWebアプリを作ってみました。

勉強が終わって寝るまでは、妻と過ごす時間です。子育てに追われてなかなか妻とゆっくり話す時間がないので、意図的に2人で話す時間を作っています。

 

――仕事とプライベートの切り替え方法、休日の過ごし方は?

場所を変えることが最適な切り替え方法。休日は家族と過ごし、データサイエンティストのコミュニティ運営も実施

電車


仕事のプライベートの切り替え

仕事とプライベートを切り替えるための最適な方法は、物理的に場所を変えることじゃないでしょうか。私の場合は、通勤時間が気持ちの切り替えに直結しています。昼休みに仕事場から社内の休憩室に移動することも、切り替えに効果的です。食後に休憩室でのんびりとyoutubeのゲーム実況を見る時間は「至福のひととき」です。

 

休日の過ごし方

休日は、家族で大きな公園やアミューズメントパーク、自治体の文化センターに行くことが多いです。まだ子どもが小さいので、安心して出かけることのできる場所はどうしても限られてしまいますね。

夜、子どもを寝かしつけた後の時間は、妻とマリオパーティなどのゲームをしながら、お酒を飲んだりお菓子をつまんだりして、のんびり過ごすようにしています。

 

――これまでの学習のロードマップと取得資格について聞かせてください

人材市場のニーズに即した学習を進める

 

これまでの学習内容

これまでの学習のロードマップに関しては、人材市場の需要を確認するために、最初の転職前から求人票を継続して確認していました。求人票を見ると、Pythonの経験が必要と書かれていることが多かったんです。最初の勤務先ではPythonを使う機会が一切なかったので、自分で学習することにしました。ロードマップについての情報は多くありますが、皆さんロードマップが異なっているんです。結局、ロードマップの正しさは転職市場にあると、当時の私は考えました。基本的には、これまでずっと学習内容は、そうした市場のニーズをチェックして決めるようにしてきたという感じです。

実際に学習してきた順番は、「データの前処理→データの可視化・集計→多変量解析→ベイズ統計→時系列→因果推論→自然言語処理」になります。

技術学習以外では、これまで英語を使う職場環境ではなかったので、転職期間に必死に英語を勉強して、聞いて何とかわかるレベルにしました。採用選考時に英語は必須ではないと言われたんですが、日本語だと伝わらないことが英語だと伝わることもあるので、英語の勉強を続けたほうが安心だと思っています。

隙間時間はすべて学習に充てるという生活を数年続けていますが、きついと思ったことはないですね。すっかり勉強が習慣化していますし、データサイエンティストになってから「がんばれば結果が出る」と知ったことが、モチベーションの維持につながっているのかもしれません。

少し話はずれますが、2024年6月からデータサイエンティストのコミュニティーをDiscordで運営しています。メンバー数は900人ほどに増えました。コミュニティの大きな目的は、データサイエンスが好きな人たちが集まること。技術や求人などの情報交換をしているメンバーも多いです。今はもうメンバーが自由に動いていますが、最初の1ヶ月はどういう立て付けにするかなどを休日に考えていました。

 

保有資格

現職で使用することの多いAIプラットフォーム・Dateikuの認定資格を入社決定後に取得しました。Dateikuの認定資格は、公式サイト上に学習動画が用意されていて、その中から試験問題が出題されるので、1週間ほどで取得できると思います。

また、データサイエンスとは関係ありませんが、国家資格の1級土木施工管理技士補を新卒入社した会社に在籍中に取得しました。

資格名取得年概要
Dateiku認定資格2024年・AIプラットフォームのDataikuが主催する認定試験
・サイト上のラーニングパスを学習した後に、アセスメントを受けて取得する
1級土木施工管理技士補2022年・1級土木施工管理技士を補佐する役割を担う資格

 

――おすすめの技術書は?

データサイエンティストとしての基礎を学んだ2冊

 

データ分析の教科書 最前線のコンサルタントがマクロミルで培った知識と実践方法

データ分析の教科書

 

データ分析の教科書 最前線のコンサルタントがマクロミルで培った知識と実践方法』は、データ分析を行う上で注目すべきポイントを解説した書籍です。前職入社後、データサイエンスについての知識や理解を深めるために読みました。 

 

因果推論: 基礎から機械学習・時系列解析・因果探索を用いた意思決定のアプローチ

因果推論


因果推論: 基礎から機械学習・時系列解析・因果探索を用いた意思決定のアプローチ』も、前職入社後にデータサイエンスの学習に利用した本です。施策効果検証は技術がないと単純集計や可視化で示唆出しが終わってしまいます。そこからさらに踏み込んだ検証・分析についてわかりやすく網羅的に解説されています。データ分析に興味がある人には、ぜひ読んでもらいたいです。

 


――今後のキャリアパス、興味を持っている技術をお聞かせください

統計的因果推論をさらに深く学び、非構造化データの取り扱いにも挑戦したい

 

興味のある技術

データサイエンスが施策の効果検証を行う際には、単純集計ではなく、実際に効果があったかどうかを統計的因果推論を用いて分析する必要があります。有益な示唆を出すために、統計的因果推論をさらに深く学んでいきたいと思っています。

 

今後のキャリアパス

データサイエンティストとしてのスキルをさらに高めていきたいです。画像処理や自然言語処理などの非構造化データも取り扱ってみたいと希望しています。

 

――データサイエンティストの適性があるのはどのような人だと思いますか?

事象の言語化、課題解決を手法に落とし込める人

 

この職種に適性がある人

データサイエンティストの適性だと私が思う点は、4つあります。

まず、事象を言語化できる人。言語化できるということは、状況を理解できているわけです。 ひとつの事象を要素別に分解して、どんな構成になっているのかを理解しなければ、適切に言語化できないでしょう。物事を正しく見ることができることは、データサイエンティストの重要な適性だと考えています。

事象の課題解決を手法に落とし込むことができる人も、この職種に向いていると思います。ビジネスには、さまざまな制約や制限があります。ほしいデータを入手できない時に、この手法でやれば解決できるという認識を持てるかどうかで、課題に対するアウトプットは全く変わってしまうんです。それが「落とし込む」という意味です。

あとは、仕事も勉強も苦しまずにできる人。仕事を楽しむと言うと、プロフェッショナルとして少し微妙かなと思っています。仕事を楽しんでしまうと、自分がやりたいように仕事をして、相手が求めるアウトプットを出せない可能性があります。 楽しむんじゃなくて、苦しまないで仕事ができることが適性ではないでしょうか。
 
もうひとつ、最後のもうひと踏ん張りができる人であること。これ以上インサイトが出ないし期限も迫っている時に、最後にもうひとつこの手法も試してみようという粘り強さを持っている人は、データサイエンティストの適性があると思います。
 

 

まとめ

データサイエンティスト/データアナリストとして活躍している方の仕事内容や今後イメージしているキャリアパスについてお伺いしました。
これまでにどのようなインプットを経て現職に辿り着いたのか、今の仕事で大変なことなど実際にエンジニアとして働いているからこそのリアルな声をシェアしていただきました。
未経験からエンジニアを目指している方や転職を考えている方にとって非常に貴重なインタビューでしたので、皆様の今後の活動の参考になれば幸いです。

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