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育児もキャリアも、どちらも手放さない。技術検証とキャリア戦略で築く今|コーポレートエンジニア

コーポレートエンジニアの方にインタビューをしました。日々どんな思いで仕事に向き合い、やりがいはどこにあるのでしょうか。業務内容やキャリアの歩み、そして今後の展望について迫っていきます。

更新日: 2025/05/01
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――今の仕事内容を教えてください

ネットワーク強化に向けて情報システムの効率化や自動化を推進

 


仕事内容

2023年4月に現職にコーポレートエンジニアとして入社して以来、社内の情報システム管理がメインの担当業務です。Google CloudのSRE職も兼任しています。

現在、事業拡大に伴うオフィス拡張や拠点の増加を進めているため、ネットワークの強化が、私の業務の最重要課題です。

各部署や個々の社員に対する情報セキュリティ面の助言も、ヘルプデスク的な対応も含めて行っています。

メイン業務とセキュリティ面のアドバイザーとしての業務のバランスや優先準備を考慮して、円滑に仕事を進めることが重要です。

 

業務で使用する技術

インフラ系で使用している技術は、Google CloudとAWS、Azureです。使用比率はGoogle Cloudが約5割、AWSが約3割で主にセキュリティ面を担当しています。Azureは一部のSaaSで使用する程度です。 

SaaSに関する知識は、自社で使用しているものに限らず、主要なSaaSの知識をキャッチアップする必要があります。SaaS導入時にベンダーと折衝するスキルも重要です。

また、ネットワークに関する豊富な知識やプロジェクトリーダーとしてのスキルも必要不可欠です。

 

勤務形態

勤務時間は10時~19時で、残業は時期によって違いがありますが、月平均で20時間ほどです。

2024年5月に子どもが生まれた際に育児のための例外申請を出し、子どもが2歳になるまではフルリモートで働けるようにしています。ただし、私の担当業務の特性上、週に2~3回は午前中だけ出社しています。

 

――今の仕事の良いところ、大変なところは?

策定した企画や構想を具体化できる仕事。メインの業務と相談対応との調整が大変なこともある

 

今の仕事の良いところ

自社システムの効率化や自動化に関する企画や構想を策定し、具体化できる点が最大の魅力で、やりがいを感じる点です。

現在は、企画立案に必要な技術検証とコスト管理を私が担当し、社内プレゼンテーションに向けた作業を後輩スタッフに任せています。

特に技術検証は、純粋に楽しいと思える仕事です。

 

今の仕事の大変なところ

交渉や調整する相手が多いので、こちらの考えを理解してもらえるように説明をするのに苦労することがあります。ITに関する相手の知識レベルに合った説明をしなければ話が進まないので、十分に注意すべき点です。

社内のヘルプデスクとしての業務に大変さを感じることも少なくありません。サポートに必要な情報を把握していない、ITに関する理解レベルが大きくずれているケースもあります。対応時間が決まっているわけではないので、メインの業務に支障をきたすことのないよう、相談に応じる必要があります。

 

――平日の1日の流れについて聞かせてください

仕事と育児を両立させながら、最新情報をキャッチアップし続ける

 

平日の流れ

7時に起き、7時半からGoogle CloudやGoogle Workspace、AWSのアップデート情報を確認するのが毎朝の習慣です。Googleのアップデートはほぼ毎日、日本時間の深夜に実施されるので、自社で使用できる機能の有無をチェックします。

8時過ぎに子どもを保育園に送り、 9時からの業務に備えます。午前中の業務は、企画系と施行系が中心です。

12時から作業の進捗を確認する昼会を行った後、昼休みを取ります。出勤した日は昼会後に退社します。

午後は1日2~3回、社内外のミーティングに参加。労務や経費などに関する事務処理も午後に行うことが多いですね。

15時30分から17時は育児に充て、17時30分から昼と同様にタスクの進捗確認をする夕会に参加します。

夕会後は20時までに入浴などの育児を済ませ、20時からの約2時間は技術検証をはじめとする業務を進めます。今は勤務時間中に育児を行っているので、夜の時間帯を使って不足した業務時間を補っています。就寝時間は23時前後です。

育児や家事はその都度、妻と相談して分担していますが、基本的に平日の保育園への送迎や入浴は私が担当し、土日の家事は妻が多めにしてくれています。

 

――仕事とプライベートの切り替え方法、休日の過ごし方は?

子どもとの散歩が気分転換の時間。好きな仕事をしているのでストレスを感じることは少ない

坂道にいる3人家族

 

仕事のプライベートの切り替え

週末には、会社から承諾を得てSREの仕事を副業でしています。この副業を通して得たさまざまな知識や経験は、本業でのSREとしての業務品質の向上に役立つものです。

気分転換に役立っているのは、子どもと散歩をしたり、本を読んだりする時間です。

家族で遠出するには、まだ子どもが小さすぎるので、休日は自宅でゆっくり過ごすことが多いです。

オフの時間も、技術検証をしたり技術系の動画を見たりしています。技術検証は私の趣味のようなものなので、あまり仕事でストレスがたまることもないですね。

 

――コーポレートエンジニアエンジニアになったきっかけ、現職に転職したきっかけは?

小学生の頃からコンピュータにふれ、エンジニアとしての豊富な経験を経てコーポレートエンジニアに転身

 

エンジニアになったきっかけ

母親がエンジニアだったので、自宅にコンピュータやたくさんの技術書がありました。小学生の頃から遊び道具としてコンピュータを使っていて、中学生になる頃には、COBOLでプログラミングができるようになっていました。デジタルネイティブの先駆けのような感じだったんです。

高校の3年間はずっとSESでプログラマーのアルバイトをしていました。専門学校と最初の職場は、視野が狭くならないようにしようと考えてITとは無関係の分野を選択。22歳の時に転職したSESから本業のエンジニアとして働き始め、その後3社でエンジニアやPMとしての経験を積み重ねました。

 

現職に転職したきっかけ

自分がアピールできることを改めて考えた時、Google Workspaceなどのネットワーク系のスキルと、ITのコスト最適化に取り組んだ経験の2つが強みになると思いました。

この2つの強みを活かせる職場で働くことを希望して転職活動をした結果、最もフィットすると感じたのが、現在の勤務先です。入社時に「うちのシステムにどんどん手を入れてください」と伝えられ、その言葉通りに現在まで企画や構想を提案し続けています。

 

――これまでの技術学習と取得資格について聞かせてください

担当業務が変わるたびにスキルアップに取り組んできた

 

これまでの学習内容

まず、高校3年間のプログラマのアルバイト経験でCOBOLのスキルを習得しました。

エンジニアとして最初に勤務したSESで4年間運用監視を担当し、業務を通じてインフラ系のスキルを身につけました。

SIerに転職後、担当したカスタマーエンジニア業務で、ビジネスを成約に導くプリセールスとPMに必要な知識やスキルを習得。次の勤務先の業務を通してAWSとGoogle CloudのFinOps(財務オペレーション)を学びました。

前職ではGoogle Workspace関連のスキルを身につけ、現職に転職後は、Microsoft IntuneJamf ProといったSaaS製品の知識向上に取り組んでいます。

年収は転職するたびに着実に増えています。エンジニアとしての最初の転職時に約200万円アップ、次の転職と現職への2回の転職で合計約200万円アップしました。約14年間で、合計400万円以上の年収増となっています。

 

保有資格

2023年に取ったProfessional Google Workspace Administratorの準備期間は約3か月で、その前年の2022年に取ったAssociate Cloud Engineerは2か月ほど前から準備を進めました。どちらも業務経験が活かせる内容だったので、Googleの公式ページにあるハンズオン教材で理解度をチェックして試験に臨みました。

2020年に取得したAWS Solutions Architect - Associateの試験範囲の多くは、実務で使っているものだったので、模試を2回受けただけで特に準備は不要でした。

簿記2級を取得したのは、エンジニアになる前の2003年。現在の業務でシステムの自動化やツールの購入などのコスト管理をする際に、簿記の知識が役立っています。

資格名取得年概要
Professional Google Workspace Administrator2023年・ユーザー、コンテンツ、統合について統括的に考慮してビジネス目標を具体的なGoogle  Workspaceの構成、ポリシー、セキュリティ対策に変換するスキルを有していることを認定する資格
Associate Cloud Engineer2022年・アプリケーションやサービス、インフラストラクチャのデプロイと保護にくわえ、複数プロジェクトの運用モニタリング、エンタープライズ ソリューションの管理を行うスキルを有することを認定する資格
AWS Solutions Architect - Associate2020年・クラウド上のシステムを設計・構築する知識を有していることを証明するAWSの認定資格
・1年以上の実務経験を持つソリューションアーキテクトが主な対象者
簿記2級2003年・高度な商業簿記や工業簿記を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握でき、企業活動や会計実務を踏まえた適切な処理・分析を行うスキルを持っていることを証明する資格

 

――おすすめの技術書は?

エンジニアにとっての有益な情報をわかりやすく解説した3冊

 

なぜ、システム開発は必ずモメるのか?

なぜ、システム開発は必ずモメるのか?


SIerでPMをしていた2014年に購入した本です。プロジェクトでトラブルが生じる原因や背景がわかりやすく説明されています。トラブルによって損害賠償請求などの裁判になった時の判例も紹介されており、PMにおすすめしたい書籍です。

 

ネットワークはなぜつながるのか

ネットワークはなぜつながるのか


2015年に購入した本で、ネットワークを理解する上で必要な知識が過不足なく解説されています。

トラブルの原因がどこにあるのかを切り分ける際に役立つ情報が紹介されているので、若手のアプリケーションエンジニアにおすすめしています。

 

なれる!SE

なれる!SE


購入したのは2013年ですが、最近また読み返しています。

自分が経験したことのない業界やプロジェクトについて、楽しみながら理解できる書籍です。機器の保守サポートや会社合併に伴う混乱についての描写がリアルでわかりやすく描かれています。

 

――今後のキャリアパス、興味を持っている技術をお聞かせください

CLIに興味あり。SREやDX担当、CCoEとしてのスキルを高めて生産性を向上させる仕事をしたい

 

興味のある技術

CLI(Command Line Interface)に関心を持っています。

現在の業務では、Google Workspaceへのユーザーやグループの追加作業の自動化をコマンドラインで行っています。自動化をする際に、ベーシックなコマンドで指示を出すとコンピュータが認識しやすく、品質が安定するんです。

もちろん言語を使ってもかまわないんですが、コマンドを使えば環境を考慮する必要もなく自動化を実施できます。

以前から使っていたテキストベースのコマンドが、いつの間にか最新技術に活用できるものになっていることは興味深いですし、今後もCLIの活用方法を探っていきたいと考えています。

 

今後のキャリアパス

今後の方向性としては、SREとDXの両面の知識やスキルをさらに高めて、スペシャリストとして進んでいきたいと考えています。また、自社システムのクラウド化推進のリーダー役を担うCCoEとしてのキャリアアップも、選択肢のひとつに入れています。

ベースとして私が取り組みたいのは、企業の生産性アップにつながる活動です。社員にストレスを感じさせることなく生産性を高めるために私ができる仕事は、SREやDX担当、CCoEの職域になると思っています。

 

――コーポレートエンジニアの適性があるのはどのような人だと思いますか?

出張や休日出勤に耐性があり、公平で誠実な対応ができる人、常に最新情報に関心を持っている人

 

この職種に適性がある人

コーポレートエンジニアは、ホスピタリティとタスク管理能力がある人が向いていると考えます。見積もりが甘いとキャパオーバーに陥りやすく、業務効率が低下する可能性があります。

さまざまな立場の人々からの依頼に公平、かつ誠実に対応できることも大切です。対応に違いが出ると、トラブルの原因になります。依頼内容に疑問を感じた場合はていねいにコミュニケーションをとり、対応方法を検討する必要があります。

また、Google CloudやGoogle Workspaceのようなアップデートの頻度が高い技術を扱うので、常に最新情報に関心を向けてキャッチアップできる人が向いている仕事です。

 

私のおすすめガジェット

Quntis モニターライト 

 

Quntisモニターライト


2024年6月に購入したモニターライトが、おすすめのガジェットです。

手元が明るくなるので作業効率が上がり、Webミーティングの時に使うと顔色がよく見えます。場所を取らないことも、このライトの魅力です。

 

まとめ

コーポレートエンジニアとして活躍している方の仕事内容や今後イメージしているキャリアパスについてお伺いしました。
これまでにどのようなインプットを経て現職に辿り着いたのか、今の仕事で大変なことなど実際にエンジニアとして働いているからこそのリアルな声をシェアしていただきました。
未経験からエンジニアを目指している方や転職を考えている方にとって非常に貴重なインタビューでしたので、皆様の今後の活動の参考になれば幸いです。

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