アプリを個人で開発するために必要なこと

アプリを個人で開発するためには、いくつかの準備が必要になります。ここではアプリを開発するために必要なステップと、準備するべきツールなどを紹介します。
アプリを開発する目的を決める
最初のステップとして、何のためにアプリを開発するのか目的を明確にしましょう。目的が明確になっていないと、途中で開発を断念してしまうリスクが高くなります。
たとえば以下のような目的を設定することで、モチベーションを維持できます。
自分で使いたい機能があるため
自分が求めている機能が既存のアプリにない場合、自分でアプリを作ってしまうという選択肢があります。どんな機能を搭載させたいのか、しっかりと企画をしてから開発を始めることが大切です。
スキルアップのため
プログラミングスキルの向上や、新しい技術を学ぶことを目的にアプリ開発を行う場合、習得したいスキルに応じたアプリ開発を行う必要があります。スキルアップのためには実際に手を動かして開発を行い、経験を積むことが効率的です。
収益化のため
アプリを公開し、広告収入やアプリ内課金で収益を得たい場合には、ビジネスの視点も重要になってきます。ユーザーの求める機能やデザインなどのニーズを調査するために、アプリの市場調査などを行う必要があります。
開発環境を用意する
次に、アプリを開発するための環境を整えます。近年はスマホでもアプリ開発が可能になってきていますが、本格的にアプリを開発するのであれば、パソコンで行うのが一般的です。iPhone向けのアプリを開発するのであればMacを用意しましょう。
なお、アプリを開発するためにはエディタやコンパイラなどの開発ツールも必要です。エディタやコンパイラ、デバッガなどの開発ツールをまとめた開発環境はIDE(統合開発環境)と呼ばれます。
これから環境を構築する場合は、開発するアプリに適した開発環境を選択するのがおすすめです。AndroidアプリならAndroid Studio、iOSアプリならXcode、クロスプラットフォームのゲームやアプリならUnityなどがよく使われます。また、Webアプリの開発も行える汎用的なコードエディタとしては、Visual Studio Code(VScode)もおすすめです。
プログラミング言語を学ぶ
アプリを開発するためには、プログラミング言語を学ぶ必要があります。プログラミング言語は多くの種類があり、それぞれ特徴や得意分野が異なります。そのため、開発したいアプリに合わせて学ぶ言語を選定しましょう。
たとえばAndroidアプリであればKotlinやJava、iOSアプリならSwiftやObjective-C、クロスプラットフォームならJavaScriptやDartなどの言語が推奨されます。Webアプリの場合は、JavaやPHP、JavaScriptなどの言語が使われます。
学習方法は書籍やオンライン動画、プログラミングスクールなどさまざまな方法があるため、自身に合った学習方法を選びましょう。
個人でアプリを開発するやり方・手順

アプリ開発は企画から公開まで順を追って進めるのが一般的で、個人開発の場合も大まかな流れは同様です。ここでは、アプリ開発の手順をステップごとに解説します。
1. 企画する
まず、どのようなアプリを開発するのか企画を立てます。アプリの目的や想定される利用者を検討し、それをもとに実装すべき機能など具体的な内容を決定していきます。
開発のモチベーションを維持するためには、企画段階で目的と目標をしっかり定め、計画を立てることが重要です。アイデアや構想を整理するために、「MindMeister」や「Xmind」などのマインドマップツールを活用することも効果的です。
2. 設計する
次に、企画段階で整理した内容を設計に落とし込みます。ここで、アプリのデザインや画面遷移、搭載する機能などの具体的な内容を決定します。
アプリを設計する際には、「Maqups」のようなツールを活用することで、ワイヤーフレームや画面遷移図を作成することができます。
3. 開発する
設計が固まったら、いよいよ開発に取り掛かります。ここでは、設計をもとにコーディングを行い、実際にアプリを動作させていきます。
近年では、ローコードツールやノーコードツールなどの、専門的なプログラミング知識がなくてもアプリを作成できるツールも増えてきています。たとえば、Googleの「AppSheet」や、Webアプリ・スマホアプリが開発可能な「Adalo」などが挙げられます。
開発時には、将来のアップデートやメンテナンス性などの運用面も考慮してコーディングを行いましょう。
4. テストする
アプリが形になったら、設計した通りにアプリが動作するかテストを行います。機能ごとに動作確認を行い、問題がなければシステム全体を通して動作確認を行う流れが一般的です。
バグやエラーのチェックだけではなく、利用者が想定外の値を入力した場合の挙動などもチェックしておく必要があります。
5. 公開する
開発が完了したら、作成したアプリを公開します。
モバイルアプリを公開するには、iOSアプリの場合はApple Developer Program、Androidアプリの場合はGoogle Play Consoleに登録申請を行う必要があります。またモバイルアプリの公開には審査基準や規約があるため、事前に確認しておきましょう。
Webアプリを公開する場合には、Webアプリケーションを実行するためのサーバーや、ドメインを用意する必要があります。近年では、柔軟性の高さからクラウドサービスを利用することが一般的であり、AWSやAzure、Google Cloudなどのクラウドプラットフォームを活用することをおすすめします。
なお、作成したアプリを公開せずに、個人で利用したり知人に共有したりする場合には公式ストアへの登録申請や審査は必要ありません。この場合、パッケージをスマートフォンなどに直接インストールすることで動作させることができます。公式ストア以外でアプリをインストールする場合は、セキュリティや配布制限に注意が必要です。
個人でアプリを開発するために必要な費用

個人でアプリを開発するには、初期費用やアプリの公開費用など、いくつかの費用が発生します。ここでは、アプリ開発にかかる費用について解説します。
アプリ開発を始めるために必要な費用
アプリ開発にかかる初期費用としては、パソコンの購入費用が挙げられます。アプリ開発はWindowsでもMacでも可能ですが、iOSアプリを開発するためにはMacを用意する必要があります。
また、未経験でアプリを開発する場合は最低限のプログラミングスキルは習得しておくほうがスムーズに進められます。そのため、プログラミング言語を学ぶための書籍やオンラインスクール、動画講座の受講料などにかかる費用が必要になります。
アプリを公開するために必要な費用
モバイルアプリの公開に必要なApple Developer Program、Google Play Consoleへの登録は、それぞれ費用がかかります。さらに、有料でアプリを販売したり、アプリ内課金を導入したりする場合、収益の一部が手数料として差し引かれる点にも注意が必要です。アプリ内で発生する売上の約15~30%を手数料として徴収されるため、収益化を考える際にはこれらのコストも考慮しなければなりません。
Webアプリの場合も、独自ドメインを取得して公開する場合には新規登録費用が発生します。相場は1,000円~10,000円程度と幅広く、登録を行う業者によって異なります。また、人気のドメインは例外として初期費用が高くなる傾向があります。レンタルサーバーは初期費用を無料としているものが数多くあります。初期費用が掛かる場合も、1,000円~5,000円程度が一般的です。なお、それほどサーバースペックを必要としないアプリであれば、AWSやHerokuの無料利用枠内でサービスを公開することも可能です。
アプリの運用に必要な費用
公開したアプリは運用のために継続的なコストが生じます。たとえばGoogle Play Consoleは初回登録時の費用のみですが、Apple Developer Programでは年間の登録費用が発生するため、毎年この費用を支払う必要があります。独自ドメインでWebアプリを公開した場合は、契約期間ごとに更新費用が発生します。
なお、アプリをストアに公開せず、個人利用や知人への共有などの限定的な配布である場合は、これらの費用は必要ありません。
また、アプリがレンタルサーバーやAWS(Amazon Web Services)、Azureといったクラウドプラットフォームを利用する場合は、サーバーの運用コストがかかります。
レンタルサーバーやクラウドプラットフォームの費用は、アプリがサーバーリソースをどの程度使用するかによって変動します。たとえばユーザー数が増えた場合や、大量のデータを処理する場合、使用量に応じた課金が発生し、月々のコストが上昇することもあります。
アプリの公開後も、これらの運用コストを見込んだ予算管理が必要です。
開発したアプリで収益を得る方法

開発したアプリはいくつかの方法で収益化することが可能です。ここでは、代表的な収益化の方法を紹介します。
アプリ内に広告を用意する
アプリを無料で公開している場合、アプリ内に広告を表示して収益を得ることが一般的です。
広告での収益化はGoogle AdMobやFacebook Audience Networkなど、広告配信ネットワークを活用します。アプリの利用者が広告を表示、クリックした際に収益が発生する仕組みです。
アプリを有料化する
アプリそのものを有料に設定したり、サブスクリプションモデルで継続的に収益を得たりする方法もあります。
アプリを有料化する場合には、ユーザーにとって価値のある機能やサービスを提供する必要があります。一般的に有料アプリは敷居が高くダウンロード数は少なくなるといわれていますが、低価格であれば試してくれるユーザーもいるため、検討してみましょう。
アプリ内課金を行う
アプリ内課金は、ユーザーに特定のオプション機能やアイテム、デザインの追加を有料で提供することで収益化する手法です。
この方法では、アプリの基本的な機能は無料で提供しつつ、ユーザーが自らのニーズに応じて追加機能を購入できるようにします。また、広告を非表示にするオプションを課金によって提供することも効果的です。
アプリ内課金は、ユーザーに柔軟な選択肢を持たせることができるため、収益化の方法として多く採用されています。
まとめ
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個人でアプリを開発することは、スキルアップや新たな技術の習得につながるだけでなく、自身のアイデアを形にすることで大きな達成感を得られます。さらに、開発したアプリを公開することで収益化することも可能です。
アプリの公開までにはさまざまなステップが必要になるため、途中で挫折してしまうケースも少なくありません。目的や目標をしっかり定め、確実に進めることが成功の鍵となります。
個人で開発したアプリは自身のポートフォリオとして活用できるため、副業や業務委託の受注においても有利に働き、収入源として活用できる可能性があります。開発に興味がある人は、まずは小規模なアプリ開発から始め、徐々にスキルを磨いていきましょう。