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複雑なルールや膨大な資料を整理して 最適なコーディングを実践する|サーバーサイドエンジニア

サーバーサイドエンジニアの方にインタビューをしました。日々どんな思いで仕事に向き合い、やりがいはどこにあるのでしょうか。業務内容やキャリアの歩み、そして今後の展望について迫っていきます。

更新日: 2025/05/01
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――現在の業務内容を教えてください

福祉分野で発生する請求業務のためのシステムやアプリケーションを開発

 

仕事内容

障がい者福祉関連の業界で使用される、システムやアプリケーションの開発に携わっています。全国にある障がい者支援施設が各種の支援活動を実施した際に、国や自治体などの公的機関にお金を請求します。その請求費の計算方法をつかさどるシステムやWebアプリケーションの開発が、私の担当業務です。現在の職場に転職した2年前から異動はなく、同じセクション・チームで継続して同一の業務に携わっています。
 

現職に転職したきっかけ

現在の勤務先への転職を希望した最大の理由は、これまでに経験してこなかったような複雑な分野において、最適かつメンテナンスがしやすいシステムやアプリケーションを作り込む仕事にチャレンジしたかったからです。これまでの自分の経験を活かして、複雑な課題に挑戦できる職場だと考え、入社を決めました。

 

業務で使用する技術

この業務で主に使用しているプログラミング言語はPHPで、フレームワークとしてはLaravelがメインです。コーディングのための開発環境ツールとしては、PhpStormやVisual Studio Codeなどを活用しています。

 

所属チーム

現在の所属チームは、直属の上司にあたるマネージャ1人とアシスタントマネージャ1人、それに私を含めた6人前後のエンジニアという構成です。プログラミングに費やす時間以外に、他のメンバーとのミーティングに割く時間も多くなります。コードを書くまでに、どういったルールを適用すべきなのかを明確にする調査や議論が必須となるので、コーディングのための資料作りにも十分な時間が必要です。チーム内のやりとりはGatherなどのWeb会議ツールで行い、いつでもチーム内でコミュニケーションを取ることのできる状態で業務を進めていきます。多忙な時期は、1日に数回ミーティングを開くこともあります。

 

ーー現在の業務を担当することになった経緯は?

転職直後から新システムの立ち上げチームに参加

 

担当プロジェクトの概要

現在、担当しているシステムの立ち上げから1~2ヶ月後のタイミングで入社し、チームに参加しました。その段階では、プロダクトとしてのリリースはまだされておらず、担当チームに参加してから数ヶ月後に、第一フェイズのリリースに至りました。私が開発に携わっているプロダクトは、サービスそのものではなく、サービスを使う裏側のシステムアプリケーションです。公的機関に対する請求のルールやロジックにもとづいたシステムなので、法律の改正時には、新しいバージョンをリリースする必要があります。2024年4月の法改正に対応する新バージョンのリリースを4月末に実施したので、3月から4月までが忙しさのピークでした。

 

業務に必要な知識

仕事の難易度や試行錯誤する労力といった点では、入社直後の第一フェイズのリリースと今回の新バージョンのリリースは、ほぼ同じくらいのハードルの高さだったように感じています。第一フェイズのリリースの際は、入社から間もなかったこともあり職場環境に順応しながら、開発に取り組む必要がありました。2024年の新バージョンのリリースの際は、第一フェイズのリリースと比べて、法律関連の知識や理解をさらに深めながら、開発を行う点に難しさを感じました。法律と密接に関わる領域なので、福祉に関する法律や、その法律に則ってお金を請求するルールは、非常に複雑なものでした。法律やルールを深く理解し、開発後に「こういう場合には対応できない」といったケースが生じることのないよう、慎重にシステムを開発しなければなりません。

 

情報共有の重要性

関連する法律を適切に理解するために、チーム全体で情報を共有して作業を進めていくことになります。法律に関する文書や公的機関が発表する資料を読み込んで解釈し、チーム内で議論しながら、対応方針を策定。必要に応じて、社内他部署の有識者に相談することもあります。こういった法律関連の分野に携わるのは、今の業務が初めての経験です。言語やツールなどの多くは、入社前から使い慣れているものなので、それらに関する知識やスキルを使って、未知の領域や複雑な分野に挑戦し続けています。

 

――業務のやりがいや大変さはどこにありますか?

重要なのは正しい仕様を見定める判断力とコミュニケーションスキル

 

業務のやりがい・大変さ

膨大な資料を読みながら、何が正しくてどうあるべきかを判断し、関係各所と調整して仕様を整理していくプロセスや、起こした仕様が本当に正しいかどうかの判断は、本当に大変なものです。しかし同時に、作ったアプリケーションが法律に則って動き、法律に対応しているか、不備がないかを注意深く見定める業務には、大きなやりがいを感じます。複雑なルールを整理・分析して、それをコードに起こしていくこの業務に、やりがいと大変さの両方を感じています。

 

必要不可欠なコミュニケーションスキル

エンジニアとして仕事をしていく上では、言語やツールなどに関するスキルにくわえて、システムやアプリケーションを適応させる分野についての知識や、チーム内で情報を共有するコミュニケーションスキルが必要不可欠です。業務への取り組み方や仕事の進め方をチーム内のメンバー全員で協力して、改善しなければなりません。チームで課題を解決する方法を探り、そのための道筋を立てる作業は、エンジニアにとって最重要な業務だと言えるでしょう。不測の事態が起こった場合もうまく対応できる立ち回りや、受け身が取りやすいプログラミングにするといった点についても、入念な検討が求められます。

 

――普段の1日の流れ、オンとオフの切り替えについて教えてください

仕事とプライベートのパソコンを使い分けてワークライフバランスを確保

 

勤務形態・一日の流れ

現職の勤務形態は在宅なので、仕事中もオフの時間も、同じ空間にいることが多くなります。また、裁量労働制なので、仕事をする時間も自分で決めなければなりません。午前9時半に業務を始め、1時間の昼休みを挟んで午後6時までを仕事に充てるようにしています。こうした環境の中でワークライフバランスを維持するために、仕事のパソコンとプライベートのパソコンを使い分けています。仕事が終わったら仕事用のパソコンの電源を落とし、すぐに気持ちを切り替えることが大切です。プライベート用のパソコンで好きなことを調べたり、YouTubeを見たりして、気分転換をします。結局、プライベートでも仕事でも、パソコンと向かい合っているんですが(笑)。エンジニアの仕事を始めた頃は、仕事とプライベートの切り替えをあまり意識せずに、業務時間以外でもいろいろと勉強したり、技術関係の本を読んだりしながら、知識やスキルの向上をめざしていました。

 

――サーバーサイドエンジニアをめざしたきっかけは?

Webデザインを学ぶうちにコーディングへの関心が高まっていった

 

エンジニアになったきっかけ

2015年から2017年までの約2年間、Web広告配信の仕事に従事しました。勤務先が提携しているWebサイトに対して営業活動を行って、バナー広告などの配信ネットワークを運用しながら、クライアントの配信する広告の成果を上げていくという業務です。

この広告配信業務をしていた時に、広告配信システムの仕組みをあまりよく理解できていないと感じることが少なくなかったんです。さまざまなWebメディアやWebサイトのオーナー、管理責任者の方々とお話をしていて、Web広告をメディアに配信するプロセスや、広告を運用する仕組みについての知識や理解が不足していると痛感させられることが何度かありました。このままではよくないと思って「Webデザイナーの勉強をして、自分でWebサイトを作れるようになればいいんじゃないか」と考え、すぐにWebデザイン系のスクールでの勉強を開始。そこでWebサイトのデザインやWebページ上に動きのある表現を付けるJavaScriptなどについて学びました。

Webデザインの勉強をするようになってから、少しずつコードを書くほうが楽しいのではと思うようになりました。それが、エンジニアへの第一歩だったんです。実際にエンジニアの仕事に挑戦してみようと考えて、エンジニア職として転職。2017年から開発業務に携わるようになりました。エンジニアとしての知識やスキルは、担当した業務での数多くの経験にくわえて、さまざまな技術書を読むことで向上させていきました。

 

――業務に役立っているおすすめの書籍は?

コーディングの疑問や課題を解決するヒントが記された一

 

現場で役立つシステム設計の原則 ~変更を楽で安全にするオブジェクト指向の実践技法

 

エンジニアに転身した頃に購入した技術書の中で、最も役立ったおすすめの書籍が『現場で役立つシステム設計の原則 ~変更を楽で安全にするオブジェクト指向の実践技法』(著・増田 亨/技術評論社 )です。最初にこの本を読んだ時は、意味がわからない部分も多かったのですが、現在に至るまで、コーディングに関して生じた疑問や課題を解決するためのヒントを得るために活用しています。

エンジニアの業務に取り組み始めてからしばらくして、メンテナンスしづらいコードがあったり、自分が書いたコードをあとから再確認してみたら意図がよくわからなかったりといったことが、仕事を進める中でありました。そんな時にこの本のことを思い出して改めてじっくり読んでみると、当時、自分が悩んでいたことの解決方法がとてもわかりやすく記されていたんです。

知識だけを吸収しようとしても消化不良になってしまいますが、ある程度の経験を積んだ上でその知識にふれると、非常に役に立つことがあると実感させてくれたのが、この本でした。今、私が取り組んでいる業務の原点になる事柄が示されている一冊です。エンジニアとして歩み始めた方々やエンジニアをめざして勉強中の方々にも、おすすめできる書籍だと思います。

 

――これまでに習得したスキルについて教えてください

大学時代に身に付けた英語スキルにくわえて、IT分野の資格取得も検討中

 

保有資格

大学時代は英語を専攻していました。初期のキャリアでは海外からの生花の買付業務という語学力を活用する仕事も経験。そのおかげで、英文の読み書きや英語でのチャットなどは、基本的に問題なく行うことができるようになりました。最先端の技術やツールについて調べる際には、英語の資料をチェックする機会が多いので、抵抗なく英語に接することのできるスキルを身に付けておいてよかったと思っています。自動翻訳ツールなどもスムーズに使いこなせています。

 

IT関連の資格取得を検討中

IT系の資格はこれまで挑戦する機会がなかったのですが、自分が精通していると自負している開発業務や技術分野の知識やスキルを証明する資格取得を検討中です。

 

――今後どのような領域に取り組んでいきたいとお考えですか?また、エンジニアに適性があるのはどのような人だと思いますか?

チーム全体のパフォーマンス改善に貢献するために

 

興味のある技術

今後、取り組んでいきたい技術としては、取り扱う対象領域の構造を忠実にプログラムコードに反映させるDDDと呼ばれる手法や、フレームワークやデータベースなどが変わってもコアな部分への影響がないシステムを設計するクリーンアーキテクチャといったものがあります。システムの動作環境を最適化させるパフォーマンス・チューニング、Dockerというプラットフォームで仮想的な環境を立ち上げてアプリケーションやシステムの動きを高速化させるコンテナ技術なども、私が強い関心を抱いている技術領域です。

 

今後のキャリアパス

現職への転職を検討していた頃に、エンジニアとしての目標にしていたのが、 設計を考えるアーキテクトエンジニアとしてのスキル、および環境構築を実践するためのスキル向上です。今の担当業務を経験することで、こうした目標の実現に近づいていると実感しています。

入社から丸2年が経ち、社内で日常的に接する人々の中に後輩が増えてきました。チーム内でも4人の後輩が働いています。まだ業務経験が浅い人や新たにチームに参加した人たちをどのようにリードしていくかを高い視座から考え、チーム全体のパフォーマンス改善につながる立ち回りや振る舞いをすることも、今後の重要課題の一つです。

 

この職種に適性がある人

私が後輩やエンジニアをめざしている人たちに希望するのは、わからないことや疑問に思ったことを自分で徹底的に調べる姿勢を持つことです。それが苦にならない人なら、エンジニアとしての適性があるのだと思います。また、パソコンと向かい合うのが好きなことも、適性の一つでしょう。

 

私のおすすめガジェット

Web会議ツールでコミュニケーションを取ることが非常に多い私にとって、オンラインミーティングで使うヘッドフォンやマイク、Webカメラなどは必要不可欠なもの。価格が高めでも、長く使用できるハイスペックで信頼性の高いものを選ぶようにしています。

昨年秋に購入したBowers & Wilkinsのヘッドフォンは、9万円台という価格に見合う抜群の音質と装着感で、特に気に入っています。HyperXのスタンドアロンマイクLogicoolのWebカメラも、ストレスを感じることなく快適に使用できるおすすめのガジェットです。また、キーボードはタイピングのしやすさを重視して、Keychronのカスタムメカニカルキーボードを愛用しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

サーバーサイドエンジニアとして活躍している方の仕事内容や今後イメージしているキャリアパスについてお伺いしました。
これまでにどのようなインプットを経て現職に辿り着いたのか、今の仕事で大変なことなど実際にエンジニアとして働いているからこそのリアルな声をシェアしていただきました。
未経験からエンジニアを目指している方や転職を考えている方にとって非常に貴重なインタビューでしたので、皆様の今後の活動の参考になれば幸いです。

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