RubyとPythonって何が違うの？全体像をサクッと理解

Rubyは国内発祥のプログラミング言語でフレームワークが充実している

Rubyは、まつもとゆきひろ氏が開発したプログラミング言語で、1995年に一般公開されました。文法がシンプルで直感的なため、プログラミング初心者でも学習しやすい点が特徴です。

Web開発に特化した「Ruby on Rails」と呼ばれるフレームワークを活用することで、効率よくシステムを構築できます。Rubyは国内発祥のプログラミング言語のなかでも、世界で通用する数少ない存在であり、登場してから30年近く経った今でも根強い人気を博しています。

Pythonは汎用性が高いプログラミング言語で開発現場で人気がある

Pythonは1990年代初頭にオランダで生まれたプログラミング言語です。「シンプルで読みやすいコード」が持ち味のPythonは、初心者にも扱いやすく、実務でも応用しやすい点が大きな強みです。

AIや機械学習の分野では事実上の標準言語ともいえる存在で、GoogleやNetflixといった大手企業もPythonを使用しています。ライブラリやモジュールが豊富で、専門的な処理も短いコードで実装できるため、開発効率が高いことも人気の理由です。

インタプリタ型のオブジェクト指向言語で読み書きしやすい

RubyとPythonには、インタプリタ型でオブジェクト指向言語であるという共通点が見られます。

インタプリタ型とは、プログラムのコードを一行ずつ実行する方式のことです。コンパイルせずに実行できるため、コードを書いてすぐに結果を確認できるため、学習や試行錯誤をしやすいメリットがあります。

また、両言語ともにオブジェクト指向を基盤としており、コードの再利用性や保守性が高く、複雑な処理もシンプルに整理できます。

さらに、RubyもPythonも自然言語に近い構文であることから、プログラムの意味を直感的に読み取りやすい点も共通点の一つです。

RubyとPythonの違いを4つの項目に分けて徹底比較

【作れるもの】RubyとPythonの得意領域

Rubyは、Web開発を得意とする言語です。特に「Ruby on Rails」というフレームワークを使うことで、短期間かつ高効率にWebサービスを構築できるため、スタートアップや中小企業での利用が多く見られます。SNSやマッチングサイト、ECサイトなど、ユーザーとのインタラクションが多いWebシステムで力を発揮します。

一方で、Pythonは汎用性の高さが持ち味の言語です。Web開発はもちろん、AIや機械学習、データ分析や画像処理、自然言語処理のほかに科学技術計算までカバーしています。近年のAIブームを背景に、Pythonは研究開発からビジネス領域まで幅広いニーズに応える言語として存在感を増しています。

Rubyが主にWebサービス開発に特化しているのに対し、Pythonはデジタル全般に強い万能型といえます。

【学びやすさ】未経験者に優しいのはどっち？

Rubyは日本人によって開発された背景もあり、国内向けの教材や書籍、ドキュメントが充実しています。初心者向けの学習コンテンツも多く、日本語で学べる環境が整っているため、英語が苦手な方でも安心して始められます。また、Ruby on Railsを通して実践的なWeb開発の流れを学べる点も魅力です。

一方で、Pythonは世界中で人気のある言語であり、言語の種類を問わず、学習ソースが豊富にある点が特徴です。日本語の解説書やオンライン教材も年々増加しており、独学でも習得しやすい環境が整っています。

どちらも学びやすい言語であるものの、日本語環境の充実度を重視するならRuby、将来性や応用範囲の広さを重視するならPythonが適しています。

【将来性と年収】今から学ぶとどちらが稼げる？

将来性という観点で見ると、RubyもPythonも高いニーズがあります。

近年では、Pythonがより幅広い分野で存在感を示しています。PythonはAIや機械学習、データサイエンスといった急成長中の分野で必須の言語となっており、長期的なキャリアパスを考えるうえでも学んでおきたい言語の一つです。

対して、RubyはWeb開発に特化した言語として今も一定の需要があります。開発スピードの速さから、特定の業界では根強い人気を誇ります。ただし、技術のトレンドがAI・データ系に移ってきていることから、活用シーンの広さという点ではPythonに一歩譲ります。

年収相場について、正社員の平均年収はRubyエンジニアでおおよそ450万円～650万円、Pythonエンジニアで350万円～700万円程度が目安となります。両エンジニアともにフリーランスとして活動する場合は、月単価70万円前後を狙えることが珍しくありません。

年収相場こそ大きく変わらないものの、稼ぐ観点で比較するなら、急成長中の分野で需要が高いPythonのほうが今後の伸びしろを望めるでしょう。

【求人数】未経験から転職しやすいのはどっち？

PythonはAI・データ分析・自動化などの需要が年々拡大していることに伴い、教育研修制度付きのポテンシャル採用枠や、未経験者歓迎の求人も増加しています。実際に、Pythonは異業種からのキャリアチェンジ先としても人気が高く、文系出身やIT未経験でも挑戦しやすいジャンルになっています。

一方、Rubyは主にWeb開発に特化しており、Ruby on Railsを使った実務経験がある人材が優遇されやすい傾向にあります。そのため、全体の求人数としてはPythonにやや劣るものの、「Railsエンジニア」「Web系ベンチャー」などのキーワードにマッチすれば、Rubyで比較的早期に内定を獲得しやすいでしょう。

選択肢の多さや業界の広がりで転職しやすさを考えるならPython、Webエンジニア一本で早く現場に出たい場合はRubyが適しています。

Rubyの強み

スタートアップやベンチャー企業で需要が高い

Rubyは、スタートアップやベンチャー企業を中心に需要が高いことが特徴です。その背景には、Web開発を効率的かつ安全に進められる、Ruby on Railsというフレームワークの存在が大きく関係しています。

特に、短期間でプロダクトを立ち上げたり、機能追加を求められたりするスタートアップにとって、開発スピードと柔軟性は重要な武器です。この開発スピードと柔軟性により、Rubyは少人数チームでも素早くサービスを形にできるため、初期開発における選択肢として支持されています。

多くのWebサービスに使われている実績がある

Rubyは実際に、多くの人気Webサービスで採用されてきた実績があります。

代表的な例として、GitHubやAirbnb、クックパッドや食べログなどが挙げられます。これらはすべて、Ruby on Railsを用いて構築されており、Rubyの実用性と信頼性を裏付けています。

実績が豊富な言語は、企業が導入しやすく、学習者にとっても転職や案件獲得の際にアピールしやすい点がメリットです。

Pythonの強み

さまざまな開発に活用できる

Pythonの強みは、汎用性の高さにあります。次のように、多様な開発分野で活用されています。

• Web開発（Flask、Djangoなど）
• AI・機械学習（TensorFlow、scikit-learn）
• データ分析・可視化（Pandas、Matplotlib）
• 自然言語処理（spaCy、NLTK）
• 自動化・スクリプト作成
• IoT開発や組み込み系
• 教育・研究用途

特定の分野に限らず、幅広いニーズに応えられるのがPythonの強みです。習得しておけば、業界を問わず活躍できるチャンスが広がります。

世界的に人気がある

Pythonは、TIOBEインデックスが2025年10月に公開した人気度ランキングで、世界1位となっており、世界中のエンジニアが支持している言語です。特定の分野で標準言語となりつつあり、企業だけでなく研究機関も積極的に採用しています。

人気がある言語は、学習リソースが豊富に存在し、世界中の開発者と知識を共有しやすいというメリットもあります。世界規模でのキャリア形成を考えるうえで、Pythonは非常に有力な選択肢です。

RubyとPythonのどちらを学ぶか決める方法

経験・スキルを踏まえて決める

RubyとPythonのどちらを学ぶかを決める際には、自分の経験やスキルセットを踏まえることが重要です。

例えば、既にWeb開発に触れた経験があるなら、Ruby on Railsを学ぶことで即戦力になれる可能性が高まります。データ分析やAIに興味があり、数学的な素養がある場合はPythonが合うでしょう。

最終的には、目的に直結するスキルを効率的に伸ばせる言語を選ぶことが、最短で成果を出す近道です。

開発したい内容で決める

開発したい内容で学習するプログラミング言語を決めるのも有効です。

Web関連のアプリ・サービスを作りたい場合は、Ruby on Railsの高速な開発環境が適しています。AIや自動化ツール、データ分析に興味があるならPythonがおすすめです。

言語ごとに得意な分野があるため、「どんな機能を作りたいのか」「どんな業界で働きたいのか」を明確にすることで、習得すべきスキルが自然と見えてきます。

RubyとPythonを学習する方法

書籍やインターネットを活用して独学する

RubyやPythonは、書籍やインターネットを使って独学で学ぶ環境が整っている点が魅力です。入門者向けの書籍が多いことはもちろん、インターネット上をチェックすれば、無料のチュートリアルや動画講座も豊富にあります。

自分のペースで学べる点や、コストを抑えて始められる点が独学のメリットです。エンジニアの需要が高まる昨今では、質の高い教材を手にしやすく、独学でも実務レベルに近いスキルを身につけやすくなっています。

プログラミングスクールで学習する

短期間で効率よくスキルを身につけたい場合は、プログラミングスクールを活用することがおすすめです。RubyやPythonに特化したカリキュラムを提供するスクールでは、体系的な学習と現場に近い実践経験を同時に積めます。

時間や費用はかかりますが、短期間でのスキル習得や転職成功を重視するなら、スクールを活用するのも有効でしょう。

まとめ

RubyとPythonはどちらも学びやすく、実務で活用するシーンが多い言語です。

RubyはWeb開発に強く、スタートアップでの需要が高いといった特徴を持ちます。PythonはAIやデータ分析を含む多様な分野に対応し、世界的にも人気の高い点が魅力です。

それぞれの特性を理解し、何を作りたいか・どんな働き方を目指すかによって、RubyとPythonのどちらを選ぶのかが決まります。自分に合った言語を見つけ、着実にスキルを伸ばしていきましょう。