Kotlinの将来性が高いといわれる理由
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スマートフォンアプリ市場が拡大しているため
Kotlinの将来性が高いとされる大きな理由の一つは、スマートフォンアプリ市場が成長し続けている点にあります。特にAndroidアプリの開発需要が拡大していることが、Kotlinの活用機会を押し上げています。
straits researchによると、世界のモバイルアプリ市場は2024年に2,694.9億米ドルと推定されており、2033年には7,533.4億米ドルに達する見込みです。国内でも、業務効率化やDX推進の流れを受けて、BtoB・BtoC問わずスマホアプリの新規開発やリプレイスが進んでいます。
Google社がAndroidの優先言語に認定したため
Kotlinの将来性が高く評価される背景には、Googleが公式にAndroid開発の推奨言語として認定したことがあります。
Googleは2017年にKotlinをAndroid開発の「正式サポート言語」と発表し、2019年には、Javaを上回る「優先言語(Preferred Language)」として位置づけました。この動きから、世界中のAndroid開発現場でKotlinを採用する流れが生まれました。
Googleが支援することで、開発環境やライブラリ、ドキュメントの整備も急速に進んでおり、Kotlinは今後もAndroid開発の中核を担っていくでしょう。
Kotlinを採用してアプリ開発を進める企業が増えているため
実際にKotlinを業務で導入している企業が年々増加していることも、将来性の高さを裏付けるポイントです。
例えば、LINEヤフー株式会社ではAndroid版アプリの一部をKotlinで開発したり、株式会社サイバーエージェントでは新規プロジェクトにKotlinを採用したりする動きがみられます。
有名企業がこぞってKotlinを取り入れていることからも、需要拡大が期待できます。今後は、中小企業でもKotlinを活用した開発が進むでしょう。
セキュリティ面に強い側面があるため
Kotlinが評価される理由の一つに、セキュリティ面への配慮が設計段階から組み込まれている点が挙げられます。
Kotlinは、Nullを参照する際に生じる問題を回避するNull Safetyに対応しています。Null Safetyは、Javaで頻発していたNull Pointer Exceptionなどを未然に防ぐ仕組みであり、バグの原因を大きく低減することが可能です。
セキュアな開発体制を求める企業にとって、Kotlinは安心感のある言語であるため、将来性を期待する声が増えています。
Javaとの互換性が高いため
KotlinはJavaとの互換性が非常に高く、Javaで開発した既存のシステムを無駄にせず移行できることから、将来性が高いといわれています。
KotlinとJavaはJVM(Java Virtual Machine)上で動作するため、Javaで書かれたコードやライブラリをKotlinから利用できます。実際、多くの企業が、既存のJavaコードベースにKotlinを徐々に取り入れる形をとっています。
特に大規模プロジェクトやレガシーシステムを抱える現場では、KotlinとJavaの互換性を高く評価しています。
Kotlinが「オワコン」「流行らない」といわれる理由
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学習するハードルが高いため
Kotlinは学習するハードルがやや高く、初心者にとって難しさを感じやすい面があります。
英語による公式ドキュメントやコミュニティ投稿は充実していますが、日本語で体系的にまとめられた教材や書籍は限られており、独学ではつまずきやすい傾向があります。また、Javaやほかのオブジェクト指向言語の基礎を理解しておかなければ、Kotlinの記述ルールや仕様を深く理解することは困難です。
そのため、初心者のなかには「思ったより難しい」「手軽に始められない」と感じる方も一定数存在し、ほかの学習しやすい言語に流れるケースも見られます。
ライブラリの数が少ないため
Kotlinはほかのメジャーな言語と比較して、ライブラリの数が少ないという課題を抱えています。ライブラリとは、特定の機能を簡単に実装できるようにした部品のようなもので、アプリ開発を効率よく進めるうえで欠かせない存在です。
しかし、Kotlin専用のライブラリはJavaに比べると種類も数も限られており、特定のニーズに対応するためにJavaライブラリを流用しなければならないケースが多くあります。
このようにライブラリの数が少ないと開発効率に影響を与える恐れがあるため、Kotlinの採用をためらう企業も少なくありません。
ほかの言語と比較すると人気度は低いため
Kotlinは、TIOBEインデックスのような人気指標では「Python」「JavaScript」上位常連言語に比べ相対的に順位が低い月もあります。ただし、TIOBEインデックスの人気指標は、プログラミング業界全体の人気度を示すものです。
そのため、Androidアプリ開発領域の実採用を見ると状況は異なり、プロのAndroid開発者の60%超がKotlinを使用し、トップ1,000アプリの95%がKotlinコードを含むと公式に公表されています。実質的にAndroidアプリ開発では、Kotlin一択状態です。
以上の背景から、人気指標の順位が低い点が、現場で使われる機会が少ないと短絡することはできません。少なくともAndroid開発に関しては、GoogleのKotlin-first方針のもと、Kotlinは広く採用されています。
将来性が読めない部分があるため
Kotlinは2011年に登場し、2017年にGoogleからAndroid開発の公式言語として認定されたことで一気に注目を集めました。しかし、歴史のあるJavaやC#などと比べると実績は少なく、サポートや開発体制がどれだけ続くか不透明な部分があります。
さらに、開発言語は流行り廃りが激しい領域でもあるため、「Kotlinが数年後に主流でなくなるかもしれない」と考える方も少なくありません。今後が読めないという要素が、Kotlinに対する将来的な不安感を生んでいます。
条件面で見るKotlinの将来性
年収相場は400万~700万円と安定した収入が得られる
Kotlinエンジニアは比較的安定した収入を得られる職種であり、将来的にも生計を立てやすいといえます。
年収相場を複数の転職サイトで見ると、Kotlinエンジニアの正社員の年収は400万~700万円程度が相場です。中堅層以上では800万円を超えるケースも珍しくありません。
フリーランスとして活動する場合、月単価は60万~90万円前後で、エンジニアのなかでも比較的高水準です。KotlinがAndroidアプリ開発を中心に多くの企業で採用されている背景もあり、今後も年収ベースがアップすることが期待できるでしょう。
求人・案件数はPythonやJavaなどの人気言語と比べると少ない
Kotlinエンジニアの収入水準は比較的高めではあるものの、求人や案件の絶対数ではPythonやJavaなどの人気言語に劣る傾向があります。この点は、将来性を評価するうえで見逃せないポイントです。
2025年時点での求人市場を見ると、JavaやPythonはWeb系・業務系・データサイエンスなど多様な分野で幅広く使われており、案件数も豊富です。一方で、Kotlinの求人は主にAndroidアプリ開発に集中しており、分野が限定されている分、少なくなっています。
ただし、Kotlinを導入する企業が増え続けていることや、サーバーサイドやWeb開発への適用事例も徐々に増加していることから、今後の拡大余地は十分にあります。現時点では少ないというだけで、長期的には求人・案件数が拡大することが期待できます。
挫折しないKotlin学習ロードマップ
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STEP1:公式チュートリアルで基礎文法を学ぶ
Kotlinを効率よく学ぶためには、公式チュートリアルや信頼性の高い入門サイトを活用し、基礎文法を体系的に習得することが大切です。
Googleが提供する公式のKotlinチュートリアルでは、インタラクティブにコードを実行しながら学べるため、初めてプログラミングに触れる方でも理解を深められます。そのほかにも、エンジニア向けの国内メディアでも、初心者向けにKotlinの基礎が学べる情報を提供しています。
最初に正しい文法やKotlin特有の書き方に慣れておくことで、実践フェーズでもスムーズに学習を進められるでしょう。
STEP2:簡単なコンソールアプリケーションを作ってみる
基礎文法を習得したら、小規模なコンソールアプリケーションを自作し、実践的なスキルを身につけましょう。なお、コンソールアプリケーションとは、入力したコマンドに対して文字で結果を出すプログラムのことです。
手を動かしながら学ぶことで、Kotlinを使った開発に関する理解度が深まります。基礎文法を覚えるだけでは得られなかった実践力を養うことが可能です。
実際にコードを書くうえで自信がない場合は、YouTubeを活用することがおすすめです。動画を使った学習方法では、実際にコードを書く様子を見ながら手順を追えます。わからない部分をくり返し視聴できるため、「なんとなくわかった」という中途半端な状況を防げるでしょう。
STEP3:フレームワークを使ってWeb APIを開発する
学習の仕上げとして、Kotlinに対応したフレームワークを活用し、Web APIの開発に挑戦してみましょう。フレームワークを使った開発を通じて、実務に近いスキルを身につけられます。
フレームワークを活用できるようになれば、生産性を高めながら少ない工数でシステムを開発することが可能です。特に現場では、限られた時間のなかで開発することが求められ、基礎文法を読解する力とフレームワークを活用する能力の両方が問われます。
独学するなかでWeb APIの実装まで進めば、転職活動をするときやフリーランスエンジニアとして案件獲得を目指す際のポートフォリオとして活用できるでしょう。
まとめ
Kotlinは、Android公式言語として注目され、一定の地位を確立しています。導入企業の増加やセキュリティ性の高さ、Javaとの互換性など、今後の伸びしろを示す材料は少なくありません。
ほかの言語と比べて案件数や人気度は劣る点もありますが、将来性は数あるプログラミング言語のなかでも比較的高くなっています。
今後も伸びしろがあるKotlinを学習する際は、公式チュートリアルを活用するところから始め、フレームワークを使ってWeb APIを開発する方法がおすすめです。Kotlinを自身のキャリアに活かしたい方は、基礎から一歩ずつ学んでいきましょう。











