Rubyとは
Rubyは日本発祥で世界的にも人気がある言語
Rubyは、1995年にまつもとゆきひろ氏が開発した、オブジェクト指向のスクリプト言語です。日本人が開発したプログラム言語として初めて国際規格に認定されたもので、シンプルかつ直感的な構文で、世界中の多くのエンジニアに支持されています。
代表的なWebアプリケーションフレームワークである「Ruby on Rails」の登場により、海外のスタートアップや大手企業にも普及していることがRubyの特徴です。
2010年代と比較すると、Rubyは人気度が下降傾向にありますが、近年においても安定して使われている言語の一つです。TIOBE Indexが2025年9月に発表した人気のプログラミング言語で、Rubyは24位にランクインしている状況です。
Ruby on Railsとの違い
RubyとRuby on Railsは密接な関係にありますが、役割は次のように異なります。
Rubyは言語で、Ruby on RailsはそのRubyを活用してWebサービスを効率的に開発するためのフレームワークです。実務ではRuby on Railsを活用するシーンが多く、Rubyとセットで習得することが一般的です。
Rubyの将来性が高いといえる理由
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需要が高く仕事量が安定しているため
Rubyは幅広い企業が導入しているため、エンジニアとしての案件数・求人の多さが安定しています。特にRuby on Railsによる開発が人気を誇っており、SNSやECサイト、業務系ツールなどの開発にもRubyは活かされています。
W3Techsの「ウェブサイト向けサーバーサイドプログラミング言語の使用統計の過去の年間傾向」によると、2025年9月時点でRubyの使用率は6.4%とPHPに次いで第2位です。過去10年の推移を見ても、使用率は右肩上がりとなっています。
高年収を目指しやすい環境にあるため
Rubyエンジニアは、スキル次第で年収500万~800万円以上を目指せる職種として知られています。実務経験がある場合は、高単価案件やマネジメントポジションを目指すことも期待できます。具体的には、年収1,000万円超のRubyエンジニアが存在することも事実です。
なお、働き方別に年収相場を見ると、正社員は500万~700万円程度、フリーランスは800万円前後となっています。
高収入を実現するには、基本文法のほかに設計思想やテスト、CI/CDといった周辺スキルを習得することが欠かせません。高収入を目指せる観点からも、Rubyの将来性の高さがうかがえます。
開発スピードが早く汎用性が高いため
Rubyはシンプルで読みやすい構文が特徴であり、短いコードで多くの処理ができます。そのため、開発にかかる時間を大幅に短縮でき、プロトタイプやMVPを素早く構築したいときに重宝されます。
また、Webサービスだけでなく、API開発やスクリプト作成、自動化ツールなどにも活用できるといった汎用性の高さも魅力の一つです。
開発スピードの早さと柔軟性の高さが、技術選定の現場でRubyが評価され続けている理由です。
低コストで学習できるため
Rubyは無料で使えるオープンソース言語であり、学習環境が非常に整っています。公式ドキュメントや日本語解説記事が豊富で、初心者でも独学しやすい点が特徴です。書籍も充実しており、2,000~3,000円程度で良質な教材を入手できます。
開発環境の構築もシンプルで、パソコンが一台あれば完結します。低コストで学習・開発ができる部分は、Rubyならではのメリットです。
コミュニティが活発で技術開発が進みやすいため
Rubyはアクティブな開発者によるコミュニティが存在し、初心者から上級者まで幅広く支え合う文化が育まれています。主なコミュニティは次のとおりです。
コミュニティが実施する取り組みが継続的な技術革新を支え、初心者でも情報にアクセスしやすい環境を実現しています。中級者・上級者であれば、高度な技術にまつわる情報交換もでき、コミュニティを通じて技術力アップも見込めます。
Rubyがオワコン・やめとけといわれる原因
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Ruby以外で代替できる言語が増えているため
例えば、Web開発においてはRubyでなく、JavaScriptやGo言語が選ばれるケースも少なくありません。これらの言語は高速処理やマイクロサービスとの相性がよく、利便性の高さから採用が進んでいます。
Ruby以外に多数の言語が登場したことで、企業の技術選定の場でRubyが第一候補にならないケースが出てきています。
処理速度の遅さを指摘される場面があるため
Rubyはインタプリタ言語であるため、C言語やJavaなどのコンパイル型言語と比べて処理速度が遅い傾向にあります。インタプリタ言語とは、コードを1行ずつ翻訳しながら実行するプログラミング言語です。
コードを1行ずつ翻訳する特性から、大規模なデータ処理やリアルタイム性が求められるシステムでは、実行速度の遅さが課題といわれています。
結果として、処理速度の速さが求められる開発では、JavaやC++などの実行速度に定評があるコンパイル言語が選ばれるという現状に繋がっています。
コードが属人化しやすく組織での運用が難しいため
Rubyは柔軟で自由度の高い言語である反面、開発者によって書き方が大きく異なることがあります。そのため、プロジェクトによっては、コードが属人化するといった問題に発展するケースもゼロではありません。
特に、コーディングの規約やチームの開発文化が整っていないと、メンテナンス性が低くなるというリスクに繋がります。
大規模チームや長期運用を前提とした開発では、運用のしやすさの観点から、Rubyではなくほかの静的型付け言語が選ばれる場面も増えている状況です。
アプリケーション開発ではほかの言語が注目を集めているため
近年、アプリケーション開発の現場ではLAMP(Linux・Apache・MySQL・PHP)に代わって、LEMP(Linux・Nginx・MySQL・Pythonなど)という構成を導入する企業が増加しています。
このトレンドのなかで、PHPやPythonのように利用実績が豊富で、クラウドや最新開発スタイルと相性がよい言語が選ばれやすくなっているのが現状です。結果として、Rubyが候補から外れるケースが目立つようになっています。
ただし、高速なプロトタイピングや、既存システムの保守・開発では依然としてRubyの需要があります。
データサイエンス領域で遅れが見られるため
RubyはWebアプリケーション開発には強みを持っていますが、データサイエンスやAI分野では存在感が薄いのが実情です。この領域では、Pythonを活用することがスタンダードとなっています。
Rubyでもデータ処理に関するライブラリは存在しますが、数や性能、コミュニティの活発さという点でPythonに大きく後れを取っている状況です。そのため、機械学習や統計解析などを扱う現場で、Rubyが選ばれることは非常に稀となっています。
データサイエンス領域に携わりたいエンジニアにとっては、RubyよりもPythonのほうが実践的で将来性が高く感じられるでしょう。
Rubyとほか言語の将来性の比較
【Python】開発分野によってはRubyのほうが需要あり
Pythonはデータ分析や機械学習の分野で強みを持ち、近年急速にシェアを広げています。一方で、Webアプリケーション開発の分野では、Rubyを求める企業も依然として多いのが実情です。
例えば、スタートアップや小規模サービスの開発では、スピード感や学習コストの低さが評価され、PythonよりRubyが選ばれることもあります。分野ごとに適材適所があるため、将来性は一概に優劣をつけられない状況です。
【Java】求人数・案件数などを比較するとRubyが劣る
Javaは金融・業務系システムなどの開発において、今も強い需要があります。求人・案件数はRubyよりも多く、企業規模も大手が中心です。
一方で、RubyはWeb系スタートアップを中心に使われており、案件の数や規模でJavaには及びません。将来性という点では、Javaのほうが市場全体で活躍の場が広く、安定感があります。ただし、働くスタイルや開発スピードを重視する層には、Rubyが根強く支持を受けています。
【PHP】シェア率の伸びしろはRubyが勝る
PHPは依然として多くのWebサイトで利用されており、シェアの面ではRubyより上です。しかし、新規開発やモダンなサービスでは、Rubyが選ばれやすくなっています。
特にRuby on Railsを使った効率的な開発に対して、「これから伸びる技術」としてRubyの将来性に期待する声も少なくありません。成熟しきったPHPに比べて、Rubyはまだ成長の余地を残しています。
【JavaScript】Rubyとの共存で優劣はつけにくい
JavaScriptはフロントエンド開発に不可欠な言語であり、ReactやVue.jsなどの人気フレームワークとともに利用されています。対して、Rubyはバックエンドで活用することが多く、両者は競合というより「共存関係」にあります。
Ruby on RailsとReactを組み合わせた開発は一般的であり、両者をバランスよく使う現場も珍しくありません。したがって、JavaScriptとRubyの将来性を単純に比較するのではなく、それぞれの得意分野を理解することが重要です。
Rubyを通じて将来性を高めるキャリアパス
RubyだけでなくJavaScriptなどを習得してプロダクトエンジニアを目指す
Rubyを使って自社開発をしている企業では、JavaScriptなどの習得を行なったうえで、プロダクトに対してフロントとバックエンドの両面から携わる、プロダクトエンジニアになるキャリアパスも存在します。
プロダクトエンジニアは、近年のIT業界に広まっている新たなポジションで、開発をリードしながらプロダクトの価値を最大化する存在です。フルスタックエンジニアよりも、UXデザインや業務ドメインなどにも関心を置く必要があり、ゼネラリストに近い動き方となります。
エンジニアとして、マネジメント力よりも技術力を伸ばしたい方に適したキャリアパスです。
経験を積んでプロダクトマネージャーへキャリアアップする
Rubyエンジニアとしての実務経験を積むことで、将来的にプロダクトマネージャーへのキャリアアップを目指す道もおすすめです。特にWeb系スタートアップや自社開発企業では、開発とビジネスの両面を理解している人材を重宝する傾向にあります。
Rubyを用いたアジャイル開発やプロトタイピングの経験は、プロダクトの改善サイクルを回すうえで大きな強みとなるでしょう。ユーザー視点やビジネス感覚を磨くことで、Rubyを起点により広いキャリアパスを実現できます。
まとめ
Rubyは日本発祥の言語で、記述する際の自由度が高く、直感的な構文で開発できることから多くのエンジニアに支持されています。世界的に見てもさまざまな場面で使われており、将来性や需要の高さが魅力です。
とはいえ、代替できる言語が増えている背景から、Rubyがオワコンといった評価を受ける場面も少なくありません。
Rubyを使った開発が突然ゼロになることは考えにくいものの、中長期的なキャリアを考えるうえでは、実務経験を積みながらプロダクトマネージャーを目指す道も選択肢の一つとして有効です。











