「Ruby技術者認定試験」とは
Rubyアソシエーションが主催する検定制度のこと
Ruby技術者認定試験は一般社団法人Rubyアソシエーションが主催する技術認定試験です。Rubyに関わるすべての人が受検対象で、合格すればRubyの高い技術を持っていることが証明されます。試験の概要は以下のとおりです。
| Silver・Gold共通 | |
| 受検時期 | 通年 |
| 試験時間 | 90分 |
| 試験方法 | コンピューター試験(CBT) |
| 問題数 | 50問 |
| 合格ライン | 75%(40問正解) |
| 料金 | 16,500円(学生は8,250円 |
全国に会場があり、都合のいい日程と会場で受検します。合格率は公表されていませんが、PHP技術者認定試験・Androidアプリケーションベーシックなど同レベルの資格から推測すると、合格率は約40~70%の間と推測されます。
仮に不合格になっても、再受検が可能です。過去には再受検無料キャンペーンを行っていましたが、2025年8月現在では再受検の際も受検料が発生します。
SilverとGoldでは出題範囲が違う
Ruby技術者認定試験にはSilverとGoldの2種類の資格が存在します。それぞれの出題範囲は以下のとおりです。
※2025年8月現在
Ruby技術者認定試験とRails技術者認定試験の違い
| Ruby技術者認定試験 | Rails技術者認定試験 | |
| 主催団体 | Rubyアソシエーション | Rails技術者認定試験運営委員会 |
| 試験の種類 | Silver、Gold | ベーシック、アドバンスド |
| 問題数 | 50問 | 40問 |
| 試験時間 | 90分 | 60分 |
| 合格ライン | 75% | 70% |
| 料金 | 16,500円(学生は8,250円) | 11,000円(学生は5,500円) |
| 出題範囲 | Rubyに関する基礎・応用知識 (文法、組み込みライブラリ、オブジェクト指向、実行環境、メタプログラミング、標準添付ライブラリ) | Railsに関する基礎・応用知識 (Active Record、Action Controller、Action View、テスト環境、Action Pack、Action Cable など) |
主な違いは主催団体と出題形式
Ruby技術者認定試験もRails技術者認定試験も、指定された会場でパソコンを使うCBT形式の試験です。ただ、運営母体と出題形式が異なります。
Ruby技術者認定試験の運営元は、先ほどもお伝えしたRubyアソシエーション。Rubyを開発したまつもとひろゆき氏が理事長を務めています。一方Rails技術者認定試験は、一般社団法人BOSS-CON JAPAN内にあるRails技術者認定試験運営委員会が運営しています。
最も大きな違いが、試験時間に対する問題数です。Ruby技術者認定試験は50問を90分で解くため、1問あたり1分半~2分で解く計算です。一方でRails技術者認定試験は40問を60分で解くので、1問あたり1分半までしかかけられません。Rails技術者認定試験はRuby技術者認定試験よりスピード勝負の試験と言えるでしょう。
Ruby資格の難易度
Silverは初心者、Goldは中上級者レベル
Ruby技術者認定試験の難易度はどの程度なのか、特定非営利法人スキル標準ユーザー協会が公表している「ITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップ」(以下マップ)をもとに説明しましょう。
このマップでは各資格をレベル0~4に分けており、レベル0は未経験者でも取り組めるレベルでレベル1~2は入門者や経験が浅い人向け、レベル3~4は中堅・ベテラン向けと分類しています。
この分類にのっとるとSilverはレベル1、Goldはレベル2に分類されます。ある程度の実務経験があれば合格する可能性は十分あるでしょう。
平均勉強時間は50時間
Rubyの資格取得に費やす勉強時間は、Javaのようなオブジェクト指向言語の経験があるかどうかで前後します。Silverを目指す場合、オブジェクト指向言語に慣れていれば20時間前後で問題ありません。オブジェクト指向言語に慣れていない場合、50時間はかかると考えましょう。仕事と両立しながら勉強する場合は、勉強期間として2カ月~3カ月確保すると安心です。
Silver取得後、Gold取得に向けて勉強する際は、最低でも10時間はかけましょう。Silverの知識をどのくらい理解しているかでかける時間は変わってくるので、Silverの知識習得が甘いと100時間前後かかる可能性があります。
Ruby資格取得のメリット
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実務で活用できる
Rubyの資格取得のメリット、1つ目は実務につながる体系的な学びが得られることです。出題範囲で提示したとおり、資格取得に向けて勉強するだけでRubyの基礎から応用まで網羅できます。実務向けに付け焼刃で学んでいた場合は、自分にとって足りない知識がどこか洗い出す良い機会にもなります。
勉強していて壁にぶつかることもあるでしょうが、その壁を乗り越えた経験も実務に生かせます。後輩がRubyの資格取得を目指した際に、指導者としてアドバイスできるようになるのもメリットと言えるでしょう。
昇給やキャリアアップにつながる
Rubyの資格取得のメリット、2つ目は昇給やキャリアアップにつながることです。企業によっては資格取得に伴い、資格手当が支給されます。月数万円の収入アップはうれしいものです。資格取得にかかった費用支援制度がある企業もあるので、会社の制度を確認してから受検を検討するのもよいでしょう。
また、開発者としてどんなキャリアを歩みたいか、知識を網羅したうえで考えられます。現場で活かすのか、管理職として活かすのか、別のキャリアで活かすのか…。Rubyを体系的に学んだことで、キャリアの選択肢がぐっと広がります。専門性の高い案件への参画も可能なので、エンジニアとしてのキャリアアップにもつながります。
転職市場での価値が上がる
Rubyの資格取得のメリット、3つ目は転職市場での価値が上がることです。転職活動をする際、人事担当者が主に気にする点は、実務経験の有無とスキルレベルです。資格を取得していると、実務レベルだけでは測れない知識を持っている証明となります。同時に、学習意欲の高さもアピールできるので、エンジニアとして転職する際には非常に有利です。
Rubyそのものが汎用性のある言語なので、転職先の幅も広がります。資格取得によって、今まで挑戦できなかったSIerにも挑戦できるようになるかもしれません。
Ruby資格取得までの流れと勉強方法
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公式の資格試験ガイドに沿って勉強する
Ruby技術者認定試験の場合、公式サイトに資格取得の目安や参考サイトが紹介されています。まずは公式サイトの情報をもとに知識をインプットすることから始めましょう。
はじめの段階で基礎固めをおろそかにすると、その後の問題演習の際につまづくポイントが増えてしまいます。基礎をしっかり固めるためにも、参考書を何度も読んで、確実に知識を入れるようにしましょう。
模擬問題集を解いて何度も演習を
基礎知識のインプットが終わったら、問題演習を繰り返してアウトプットします。Ruby技術者認定試験には勉強に使える模擬試験サイトが複数掲載しており、参考書の巻末にも模擬問題がついています。この問題を繰り返し解いて、解答率を上げるようにしましょう。過去問については現在配布していないので、より本番に近い環境で問題演習をするなら公式サイトに掲載している問題集を活用しましょう。仮想空間で学習した内容をもとにコードを書くのもおすすめです。
オンラインコミュニティの活用もおすすめ
まわりでRuby技術者認定試験を受検する人がいない場合、オンラインコミュニティで勉強仲間を募ってもよいでしょう。同じ目標を持った仲間とともに切磋琢磨でき、情報交換も盛んにできます。また、有益な情報が集まり、モチベーション維持にもつながります。同時に、資格に合格してからもつながる仲間が見つかるかもしれません。人脈を広げる意味合いでもコミュニティを利用してはいかがでしょうか?
Ruby資格取得におすすめの参考書・学習サイト
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Ruby技術者認定試験合格教本
Rubyの資格取得におすすめしたい本、1冊目は「Ruby技術者認定試験合格教本」です。多くの合格者がおすすめする教本で、公式サイトに出ている「最短突破 Ruby技術者認定試験(Silver/Gold対応) 公式テキスト」よりも分かりやすいという声もあります。
たのしいRuby第6版
Rubyの資格取得におすすめしたい本、2冊目は「たのしいRuby第6版」です。Ruby開発者のまつもとゆきひろ氏監修のもとに書かれた本で、初めてRubyに触れる人の入門として最適です。解説内に出てくるサンプルコードを入力すれば、実際の動きも把握できます。ただし、基礎基本をすべて網羅できているわけではないので、「Ruby技術者認定試験合格教本」と併用することをおすすめします。
メタプログラミングRuby 第2版
Rubyの資格取得におすすめしたい本、3冊目は「メタプログラミングRuby 第2版」です。この本は公式サイトに掲載されている参考書で、特にGoldを取得したい人は必ず読んでおきましょう。コアな動作原理やメタプログラミング的思考が身につく内容となっており、Rubyを深く理解したい人に非常におすすめです。
Ruby技術者認定試験 模擬問題集
書籍に続いて、勉強に使えるサイトをご紹介します。Rubyの資格取得におすすめしたいサイト、1つ目は「Ruby技術者認定試験 模擬問題集」です。運営元であるRubyアソシエーションが提供しており、実際の問題形式に近い模擬問題が準備されています。2025年8月現在、Silverのみ問題が準備されています。
RubyExamination(REx)
Rubyの資格取得におすすめしたいサイト、2つ目は「RubyExamination(REx)」です。こちらも公式サイトで試験対策用サイトとして紹介されています。リバティフィッシュ株式会社が運営しているサイトで、Silver・Gold両方の模擬問題が載っています。過去の最高点が記録されたり、学習マラソン機能で連続正解数も競争可能。模擬問題数も300問以上と豊富で、繰り返し学習ができます。なお、利用にはGitHubアカウントが必要です。
関連リンク
ドットインストール
Rubyの資格取得におすすめしたいサイト、3つ目は「ドットインストール」です。株式会社ドットインストールが運営しており、3分でマスターできるプログラミング学習をコンセプトに学習動画をまとめています。Ruby関連のコンテンツも30件以上あり、隙間時間で勉強できます。原則無料ですが、プレミアムプランに加入すれば現役エンジニアへの質問もできるようになり、勉強のモチベーション維持にもつながるでしょう。
関連リンク
Ruby資格取得前に考えてほしいこと
「資格を現場で活かす機会が本当にあるか」を考えよう
ここまで読んで、「Rubyの資格を取得するぞ!」と意気揚々となっている人もいるでしょう。資格の申し込みページに進む前に、なぜその資格を取得したいかを考えておきましょう。
Ruby技術者認定試験の公式サイトにあるインタビューで、どんな人にこの資格を受けてほしいかコメントが掲載されています。このコメントによると、「Webに興味がある」「積極的に学べる姿勢を持っている」の2点を持ち合わせているかどうかが大切とのことです。
Web系の案件でRubyを使うことは多いものの、案件によっては使わない可能性もあります。せっかく取得した資格を使わないのは宝の持ち腐れです。Rubyの資格を取得することで本当にメリットを得られるか、他の資格のほうが実務で活かせる可能性はないか吟味してから資格取得を目指しましょう。
まとめ
Ruby技術者認定試験はRuby関連の資格でもっとも有名です。Rubyアソシエーションが運営している資格で、Rubyの知識を網羅的に学べます。任意のタイミングで受検ができ、受検費用も1万円台とそこまで高くありません。エンジニア経験者なら、公式サイトに掲載されている受検範囲をもとに勉強を進めれば問題なく合格できるでしょう。おすすめの勉強コンテンツも充実しているので、自分に合った学習方法で合格を目指しましょう!











