Kotlinとは

Javaを改良し開発されたGoogleの正式言語

Kotlinは、2011年にAndroidアプリを簡単に開発できるように、Javaを改良して開発されたプログラミング言語です。その開発経緯から、2017年にはGoogleがAndroid開発の正式言語として採用しています。

2025年現在においてもGoogleの公式サポートは充実しており、Androidアプリを開発するならぜひ習得しておきたい言語となっています。

Javaとの互換性あり

KotlinはJavaの仮想マシン（JVM）上で動作するため、Javaコードと完全に互換性があります。同一プロジェクト内でKotlinとJavaのファイルを混在させられるのもあり、段階的な移行もスムーズにできるでしょう。

また、Javaのライブラリやフレームワークをそのまま使用でき、既存の記述を活かしながら開発を進められます。こうした互換性により、Javaエンジニアは学習コストを抑えながらKotlinに移行できます。

安全性が高い

Kotlinは産業利用を目的として開発された汎用言語なため、安全性が高い特徴があります。言語レベルでNull安全性を提供しており、NPEの発生を大幅に減らせます。

また、型推論機能により簡潔なコードの記述が可能で、高い可読性なのもKotlinの特徴です。不変性を重視した設計思想により、予期しない変更によるバグも防げます。より安定したアプリケーション開発ができるでしょう。

開発がスピーディー

Kotlinはシンプルなコードを記述できるため、Javaと比較して少ないコード量で同等の機能を実装できます。自動的な型推論やプロパティアクセス構文、拡張関数などの機能により、開発効率を大幅に向上可能です。

Androidアプリは、いかにトレンドを取り入れられるかが重要なポイントの1つです。市場への参入を早めたい場合などに、Kotlinのスピーディーさは重宝される傾向にあります。

Javaとは

オブジェクト指向のプログラミング言語

Javaは、Kotlinと同じくオブジェクト指向のプログラミング言語です。プログラムそのものをオブジェクトとして考えるため、複数人で開発する際の効率が良いという特徴を持っています。

特にコードの再利用性と保守性が高く、大規模なプロジェクトでも管理しやすい構造を作れます。カプセル化や継承といった基本原則を忠実に実装しており、設計パターンの適用も簡単です。

こうした使いやすさから、多くの企業でシステム開発に使用されています。

ガベージコレクションが便利

Javaには、Kotlinと同じくガベージコレクションと呼ばれる自動メモリ管理機能が搭載されています。不要なメモリを自動的に解放してくれるため、開発者がメモリの割り当てや解放を意識する必要がありません。

また、世代別ガベージコレクションなどの最適化技術により、アプリケーションのパフォーマンスへの影響を最小限に抑えているのも特徴です。複雑なメモリ管理から解放されるため、より開発効率を向上させられます。

ライブラリが豊富

Javaは30年以上の歴史を持つため、膨大な数のライブラリとフレームワークが存在します。その多くが、無料で利用可能です。さらにパッケージ管理システムにより、必要なライブラリを簡単に導入もできます。もちろん、互換性のあるKotlinでも使えます。

Javaは人気の言語であるため、コミュニティも活発です。日々新しいライブラリが開発・公開されています。ほとんどの開発要件に対応できるのもあり、開発期間も短縮できるでしょう。

技術的に安定している

Javaは30年以上にわたって使用されてきたため、技術的に安定しています。Oracle社による継続的なサポートと定期的なアップデートにより、セキュリティ面でも安心して使用できます。そのJavaから発展したKotlinも同じです。

また、下位互換性を重視した設計により、古いコードも新しいバージョンで動作する場合が多く、既存システムの運用リスクを減らせます。情報収集も容易なため、安定したシステム構築・運用が可能です。

OSを問わず実行できる

Javaは、Java仮想マシン（JVM）が各OS用に提供されているため、WindowsやmacOS、Linuxなどの環境で問題なく動作する点も魅力です。さらにクラウド環境での実行にも適しており、DockerコンテナやKubernetes環境での運用もできます。Javaを改良して開発されたKotlinもまた、同じ特性を持っています。

開発環境と本番環境の違いを気にすることなく開発を進められる、汎用性が非常に高い言語です。環境を考慮しないで良い点は、Javaならではの魅力です。

処理速度が速い

JavaはJITコンパイラにより、実行時にバイトコードを機械語に変換するため、高い実行性能を実現しています。特に長時間実行されるアプリケーションでは、JITコンパイラの最適化により、他の言語に匹敵する処理速度を発揮する場合があります。Kotlinでも同様の速さを実現しているため、Javaならではの特徴といえるでしょう。

また、マルチスレッド処理に優れており、マルチコアプロセッサを効率的に活用できるのも特徴です。低遅延ガベージコレクタの導入によって、優秀なパフォーマンスを発揮できる点も強みといえます。

KotlinとJavaの基本的な違い

文法の簡潔さ

同じ機能を実装する場合、Kotlinの方が記述が少なくなります。開発効率が大幅に向上するのに加え、読みやすくもなるため、保守性の面でも優秀です。

コンパイル速度

Javaは歴史があるためコンパイラ技術が成熟しており、高速なコンパイルが可能です。一方、Kotlinは追加の言語機能の処理が必要なため、規模にもよりますがコンパイルがJavaの2倍以上の時間がかかるケースもあります。

大規模なプロジェクトであるほど、コンパイル速度が影響を与える可能性がある点には注意しましょう。ただし、レスポンスタイムに関しては、若干ではあるもののJavaよりもKotlinの方が高速です。

汎用性の高さ

Javaは様々な分野での実績があり、幅広いシーンで活用されている言語です。一方のKotlinもAndroidアプリ開発だけでなく、サーバーサイド開発やフロントエンドなど、少しずつ活用され始めています。

開発環境

KotlinとJavaは、どちらもIntelliJ IDEAやEclipseなどの主要な総合開発環境でサポートされています。特にKotlinはJetBrains製の総合開発環境で充実したサポートを受けられます。コード補完やリファクタリング機能まで完備されているため、使用面で不満は感じないでしょう。

一方のJavaは歴史が長いこともあり、ほぼすべての開発環境で安定したサポートが提供されています。

習得難易度

KotlinとJavaは、どちらもオブジェクト指向型の言語であるため、習得の難易度はほとんど同じです。ただ、Kotlinの方が現代的な言語設計なため、プログラミング初心者にとって学習しやすい言語といえます。初学者の方にとっては、JavaよりもKotlinの方が習得難易度は低いでしょう。

サポートの充実度

KotlinとJavaは、どちらもサポート面が非常に充実しています。KotlinならGoogle、JavaならOracle社からのサポートが手厚く、コミュニティも活発です。情報を集めるのに事欠くことはないでしょう。両言語とも安定したサポート体制があるため、安心して利用できます。

Androidアプリ開発におけるKotlinとJavaの違い

生産性の面で大きな違いがある

Android開発においては、KotlinがGoogleの正式言語となったのもあり、Kotlinの方が適していると言わざるを得ません。コーディングの負担を減らせるなど、生産性の面で大きな違いがあります。

一方、Javaでも従来通りAndroidアプリ開発は可能です。しかし、新機能への対応や開発効率の面でKotlinに劣る場合があります。

今後Androidアプリの開発を考えている方は、Kotlinを学習した方が良いでしょう。

KotlinとJavaの学習を始めるなら意識したいすべきポイント

学習コスト

プログラミング初心者の場合、Kotlinの方が現代的で直感的な文法であるため、学びやすいとされています。学習リソースもあり、学ぶ環境が整っているのも理由の1つです。

一方のJavaは学習リソースは多いものの、文法やルールが多く、学習のハードルは高めになります。ただし、プログラミングの基礎概念から理解できるメリットもあります。

求人市場での需要

2025年現在の求人市場では、依然としてJavaが高い人気を誇っています。Kotlinと比べても圧倒的です。

また、年収面では上を見るとJavaの方がレンジがあり、中には2,000万円を越えるエンジニアもいるほどです。幅広い分野での需要を考えると、Javaの方が活躍できる環境は多いといえます。

将来性

KotlinとJavaは、今後用途に応じた棲み分けが進むと考えられます。そのため両言語とも将来性に関しては明るいといえます。Javaは企業システムでの地位を維持し、Kotlinはモバイルなどの開発分野でシェアを拡大していくでしょう。

ただし、Kotlinに関してはトレンドによって変わる可能性もあるため、習得する場合はトレンドへのアンテナは必須です。

まとめ

KotlinとJavaは、どちらも価値の高いプログラミング言語です。Javaは長い歴史と豊富な実績により企業システムで不動の地位を築いており、Kotlinは現代的な設計とGoogle公式サポートによりモバイル開発分野で急成長しています。

どちらの言語も将来性は明るく、学習する価値は十分にあります。この記事を参考に、ぜひ自分のキャリアに合った言語を選択してください。