C言語とは?

50年以上の歴史があるプログラミング言語
C言語は、1972年に登場した歴史あるプログラミング言語です。アメリカのAT&T社ベル研究所のデニス・M・リッチー氏とブライアン・W・カーニハン氏によって開発されました。
OSや組み込み開発など、コンピュータの基盤に近い部分で広く使われており、50年以上経った現在でも多くの現場で採用されています。C++やC#のようにC言語から派生した言語も数多く、学習する中でプログラミングの基礎知識から応用力まで幅広く習得できます。
学習難易度は高めですが、エンジニアを目指すなら一度は触れておきたい言語です。
C++とC#との違い
C言語から派生した言語にC++やC#がありますが、それぞれ以下のように特徴が異なります。
C++はC言語にオブジェクト指向の考え方を加えたもので、C言語の文法と互換性があります。一方、C#はMicrosoftが開発したもので、Visual Studioなど開発環境が充実しているのが特徴です。
C言語の難易度が高いと言われる7つの理由

環境の構築が難しい
C言語の学習では、開発環境の構築が最初の壁になります。エディタやコンパイラを自分で用意しなければならないため、初学者だとコードを書く前に挫折してしまう可能性すらあるほどです。
例えば、プログラミングをする際は、Visual Studioのような開発に必要なツールがすべて揃っている総合開発環境をインストールします。C言語は、この環境設定が他の言語と比べて非常に難しいため、必要最小限の環境を構築した方が良いとされています。
意図しない動作やエラーが発生しやすい
C言語では、書くコードが複雑になりやすい特徴があります。そのため、コードの書き方ひとつで簡単にバグが発生します。意図しない動作やエラーが発生しやすいのです。
また、エラーメッセージも簡素なため、どこが間違っているのかを見つけるのが困難というのも見逃せません。なぜ動かないのかわからないと感じてしまう人も多く、原因がわからず学習が止まってしまう可能性があります。
設計の難易度が高い
C言語は、大規模システムや産業用ソフトウェアを開発する際に良く使用されます。そのため、複雑な設計や将来を見据えた高度な設計が必要です。システム全体の構造や処理の流れをしっかりと設計しないと、あとから修正が難しくなります。
こうした特徴は設計の自由度が高い反面、考えるべきことが多く、初学者には負担になる部分です。しかし、その分システム全体を意識した設計力が身につき、応用力のあるエンジニアへと成長できます。
書くコードが長い
C言語は、省略できる記述が少なく、他の言語に比べてどうしてもコードが長い特徴があります。同じ処理でも他の言語と比べてたくさんのコードを書く必要がある点も、難しいといわれる所以です。
例えば、プログラミングでは必須の「Hello World」を出力させる場合も、Pythonでは1行でできますが、C言語では4行ほど必要です。これが本格的なソフトウェア開発になると、長さがより顕著になります。習得の面でも壁になるでしょう。
専門性が高く覚えにくい
C言語はシステム寄りの言語であり、扱う内容も専門的です。数あるプログラミング言語の中でも概念が複雑であり、覚えるものが多いという特徴があります。
例えば、ポインタや構造体、メモリの扱い方など、他の言語では出てこない概念がその1つです。専門性が高く理解しにくいため、慣れるまでに時間がかかってしまいます。結果、多くの人が難しいと感じてしまうのです。
ポインタの管理が難しい
C言語の特徴的な要素であるポインタは、多くの人が学習でつまずくポイントです。プログラム内に存在する変数がメモリのどの場所にあるのかを記憶する機能ですが、直感的に理解しづらくバグの原因になりやすい特徴があります。
一方で、C言語の関数の大半が引数としてポインタを使用するため、難しいのに必ず理解しなければなりません。ポインタの記述が独特なのも、C言語習得を難しくしている理由の1つといえるでしょう。
メモリの管理に手間がかかる
C言語ではメモリの確保や解放を手動で行う必要があり、間違うとプログラムが不安定になったりクラッシュしたりします。必要な場合は確保し、不要な場合は解放していかなくてはなりません。
メモリ管理のミスによる異常終了が起こった場合、原因の特定が難しく、調査に時間がかかる場合があります。自動でメモリを処理してくれる言語に慣れている人にとって、C言語は難しいと感じる部分の1つです。
どっちが難しい?C言語とJavaの違い

難易度はどちらも同じ
結論からいえば、C言語とJavaの習得難易度は同じです。用途や必要な知識が異なるため難易度を単純に比較するのは難しいものの、習得にかかる時間はほとんど変わりません。
ですが、C言語とJavaは良く比較対象にされる言語でもあります。その理由として、以下が考えられます。
- C言語が手続き型、Javaがオブジェクト指向の代表格である
- C言語が手動のメモリ管理、Javaが自動ガベージコレクション
C言語とJavaは、ちょうど手続き型からオブジェクト指向へと移り変わる時代に生まれました。そのため、記述方法やメモリ管理など様々な部分で比較しやすい違いがあります。生まれた時代もC言語が1972年、Javaが1975年と比較的近いのもあり、それぞれ代名詞的な立ち位置になっています。
また、言語別に見るとC言語は細かい制御が必要で、Javaは構文が厳格ですが環境構築や実行が簡単です。それぞれ違った難しさがあり、一様に比較できるものではありません。それでも比較されるのは、前述したように生まれた時代が近く、正反対な要素が多いためといえます。
C言語とJava、どちらを習得するかで迷った場合は、自身のキャリアと照らし合わせて決めると良いでしょう。
文法が違う
C言語とJavaは、そもそも文法が異なります。一部、文法構造に共通点はありますが、細かい部分では大きく異なります。C言語が手続き型なのに対し、Javaがオブジェクト指向の概念を用いている点から見ても、一目瞭然です。
例えば簡単な処理の場合、C言語はシンプルな記述が可能ですが、Javaはクラスを定義しなければならないため、記述が多くなります。一方で複雑な処理になると、C言語はすべての処理を書く関係上、記述が多くなり、Javaはクラスを呼び出して組み合わせるため流れが把握しやすい特徴があります。
メモリ管理が違う
C言語とJavaはメモリの管理方法も違います。C言語はメモリの確保や解放を自分でしなければならず、管理が非常にシビアです。間違うとメモリリークや予期せぬエラーに繋がります。
一方のJavaは、ガベージコレクションという機能があるため、メモリ管理を自動でできます。C言語と比べてバグが起きにくく、初心者にも扱いやすいでしょう。
難易度の高いC言語を学習する4つのメリット

様々な現場で利用されるため需要が高い
C言語は古くから使われている信頼性の高い言語で、今でもOSや組み込みシステム、機械制御など幅広い分野で活用されています。そのため、一定以上の需要が継続してあり、スキルを持っていると就職や転職において有利です。
実際、レバテックキャリアが2023年に実施した調査によると、求人数は6位と好調な順位にあります。フリーランスの案件で見てもPythonやJavaScriptと大きな差はないため、需要は高いといって良いでしょう。
ハードウェアに関する知識を身につけられる
C言語はハードウェアと密接に関わる言語であるため、プログラムを通じてCPUやメモリなどコンピュータの基本構造を学べます。メモリ領域の制御を細かく記述していくのもあり、自然とハードウェアに関する知識が身についていくでしょう。
結果として、習得する過程で他の高水準言語では意識しないレベルの処理も理解できるようになり、より本質的な知識も習得できます。将来的にシステム開発やIoTに関わりたい人には非常に役立つスキルです。
エンジニアとしての技術力を向上できる
C言語は歴史が長いこともあり、多くの言語に影響を与えています。難しいが基礎が詰まっている言語ともいえ、習得する中で様々な状況に対応できるようになっていきます。記述の際は細かい動作まで意識しなければならないため、自然と論理的思考力を養えるでしょう。
また、後発の言語の多くが自動化している部分をC言語は手動で作るため、言語仕様の理解や可読性、バグの発見力なども高められます。エンジニアとしての総合力を底上げできる点もメリットです。
キャリアアップに繋がる
C言語を習得していると、転職市場や社内評価において、基礎ができているエンジニアとして高く評価される場合があります。特にC言語はIoTやAIといった先端技術での活用が期待されている言語です。組み込みシステムに強く、リソースが限られた現場でも高いパフォーマンスを発揮できます。
ミドルウェア開発や組み込み系など専門性の高い案件に携われるようになると、キャリアの幅が広がり収入アップにも繋がります。難易度が高い分、習得できれば確かな武器になる言語といえるでしょう。
未経験者がC言語を学習・習得する7つの方法

書籍を使う
C言語は歴史が長く、様々な開発に活用されているため、関連する書籍が数多くあります。インターネットの情報とは違い体系立てて学習できるため、順を追って理解を深められる学習方法になります。
また、隙間時間を有効活用して、自分のペースで学習を進められる点も書籍の魅力です。C言語を効率的に学習したい人に向いています。
一方で、不明点や疑問点を自分で解決しなければならず、挫折しやすい点には注意が必要です。
オンライン学習サイトを利用する
書籍を使った独学に不安を感じる場合は、オンライン学習サイトの活用も効果的です。動画や演習問題が揃っており、自分のペースで進められます。良く利用されているのは以下の通りです。
初歩からステップアップできる学習構成になっているものも多く、初学者でも学びやすいでしょう。つまずきやすいポイントも丁寧に解説されているため疑問が残りにくく、継続しやすい点も魅力です。
毎日コードを書く
C言語は、書籍やインターネットの情報に触れるだけでは習得が難しい言語です。実際に手を動かしてコードを書いていき、理解を深めていきましょう。
毎日10分でも手を動かしていれば、文法や考え方が自然と身についていきます。初めは簡単なコードでも構いません。毎日続けているとC言語の記述にも慣れていき、感覚的に覚えられるようになります。継続力とスキルを育てる方法として、オススメです。
ポインタへの理解を深める
C言語にとって、ポインタは重要な概念の1つです。C言語を習得する場合、最大の難所になります。さらに、変数とセットで定義しなければいけないため、一筋縄ではいかないでしょう。
難しい場合は、図解やアニメーションでポインタの動きを視覚的に捉えると、理解しやすくなります。ポインタの学習に近道はありません。配列や関数との関係も含めて、時間をかけて丁寧に学んでいきましょう。
プログラミングスクールで学習する
書籍や学習サイトを使った学習で難しい場合は、プログラミングスクールもオススメです。独学よりも、遙かに効率的にC言語を習得できます。
また、講師のサポートを受けながら学べるため、わからないところをすぐに解決できる点も魅力です。特にC言語のような難易度の高い言語は、サポートがあると安心して学習を進められます。
一方で、コストがかかる点には注意しましょう。教育訓練給付制度を利用できるスクールを利用して、コストを抑えつつ学びましょう。
コミュニティや質問サイトを活用する
C言語は習得が難しい言語です。独学で習得する場合、わからない点を自分で解決しなければいけません。そのような場合、解決できないと挫折してしまう場合があります。
そうした際に活用したいのが、コミュニティや質問サイトです。わからない点があれば、積極的に相談してみましょう。同じような壁にぶつかった人の声を聞くことで、ヒントが得られたり安心できたりします。また、仲間と学ぶとモチベーションも維持しやすくなり、
挫折しにくくなります。
小さな目標設定と定期的なアウトプットを意識する
C言語のように難易度の高い言語を学習する際は、高い目標を設定したり、目標が漠然としていたりすると、モチベーションを保ちづらくなります。
そのため、「今日は変数を使ってみる」「週末までに関数を理解する」などの実現しやすい目標を決め、成長を実感できるように一歩一歩進めていきましょう。
併せて、学んだ内容を定期的にアウトプットしていくのも大切です。実際に手を動かして現在の習得レベルを確認することで、モチベーションを維持しやすくなります。
まとめ
C言語は難易度が高い言語ですが、学ぶ価値が大きい言語です。環境構築や文法、ポインタやメモリ管理など、つまずきやすい点は多いものの、習得する中でエンジニアとしての基礎力が格段に高まります。
一方で、その難易度の高さから挫折しやすい言語でもあります。学習する際は挫折する可能性も考えて、コミュニティや質問サイトなどを活用するようにしましょう。
今回紹介した学習方法を参考に、ぜひ自分に合った方法でC言語を習得してください。











