――今の仕事内容を教えてください
金融系システムの保守・運用をメインに担当

仕事内容
2024年8月に金融業界向けにソリューションを提供しているフィンテックに転職し、Webエンジニアとして働いています。
担当する金融系システムの保守・運用が今のメイン業務で、仕事の約8割がバックエンド関連です。残りの2割がフロントエンドで、インフラを扱うこともあります。
業務で使用する技術
バックエンドではGoogleのGo言語を使用しています。Go言語は未経験の技術だったので、転職が決まってから公式のチュートリアルや書籍で事前学習を行いました。
フロントエンドで使うReactとインフラのAWSは、前職でも使用していた技術です。またインフラの自動化などにTerraformを使用するので、転職が決まった時から自主的に勉強を始めました。
勤務形態
勤務時間は現状では10~19時にしていますが、コアタイムのないフルフレックス制なので、柔軟に調整できます。裁量労働制のため純粋な残業ではないですが、月平均で5~10時間は残業的に仕事をすることがあるという印象です。
勤務形態はフルリモート、ハイブリッド、出社型の中から選ぶことができ、適宜変更も可能です。私の場合は入社時に、出社型の勤務形態で内定をいただいたので、職場や業務に慣れるまでは週3~4日ほど出社し、1~2日はリモートで働くというスタイルです。周囲の先輩の方々に相談や質問をしながら仕事ができるので、しばらくは今の形態を続けるつもりです。
――平日と休日の過ごし方、オンとオフの切り替え方法についてお聞かせください
平日夜の学習を継続中。散歩や外食などで気分を切り替える
平日の流れ
自宅は会社から近く、電車で2駅です。出社日は9時に起き、9時40分前に家を出ます。電車移動の時間は、数分程度ですね。
10時から19時までの業務時間は、まずメールやSlackのチェックから始めます。個人的に作っている日報があるので、その日報を見てその日のスケジュールも確認します。それ以降は昼休み以外、ひたすらパソコンに向かって担当業務を進めます。ミーティングは1日1回程度で、定例のチームミーティングは週1回です。
19時過ぎに会社を出て、気分のリフレッシュも兼ねて自宅近くの店で夕食をとってから帰宅することが多いですね。
20時頃に帰宅して、入浴後は妻と話しながら近所を散歩したりアニメを見たりして、のんびり過ごします。この時間も、仕事とプライベートの切り替えに欠かせません。
23時からは技術学習の時間です。この時間の勉強は、すっかり習慣になっています。あまり「がんばって勉強するぞ」と思わないで、カフェラテを飲みながらリラックスした気分で始めることが、学習を続けるコツかなと感じています。最近は、Go言語とクリーンアーキテクチャのキャッチアップが学習のメインです。
就寝時間は25~26時です。週に1~2回あるリモートワークの日も、通勤時間がないだけで、1日の流れは基本的に出勤日と変わりません。
休日の過ごし方
休日によくすることは、散歩とラーメン屋巡り。平日は大半の時間を屋内で過ごすので、外に出ることがいちばんのリフレッシュ方法です。散歩をする時は特にルートを決めず、その日の気分で方向だけを選ぶようにしています。ラーメン屋は近所の店だけでなく、遠出をすることもあります。
学習中の技術を使って、趣味として開発をすることも多いです。最近では、LINEアプリで自宅の鍵を閉めるスマートロックや、NotionとLINEのAPIを連携させた家計簿アプリなどを作ってみました。勉強中の技術を試しながら作るので時間はかかりますが、学習内容のアウトプットとしても意味があると思っています。
――今の仕事の良いところ、大変なところは?
努力や取り組みが成果につながりやすいWebエンジニアの業務
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今の仕事の良いところ
Webエンジニアという職種のメリットは、努力や取り組みが成果につながりやすい点だと思います。会社で使う技術や、今後使うことになりそうな技術を勉強すれば、その取り組みを評価される機会が多いんです。担当業務に一定の再現性があるので、知識や経験を具体的な成果につなげやすい職種だと感じています。
現職の魅力として感じているのは、まず個々のエンジニアの裁量権が大きいこと。社歴に関係なくシステムに対する意見を求められますし、提案が反映されやすい職場です。ミーティングの場だけでなく、先輩から「これ、どういう方法がいい?」と尋ねられることが日常的にあります。
周囲の人に相談や質問をしやすい雰囲気、組織運営やプロダクト開発でスピード感を重視する社風も、大きな魅力です。たとえば、Slackに思ったことをつぶやく社員別のチャンネルがあるんですが、あるエンジニアが「生成AIを業務に反映させたいよね」と言っているのを社長が見て、すぐに生成AIの社内コンテストの開催が決まりました。私が担当しているシステムに関しても、進め方にスピード感があると思うことが多いですね。
今の仕事の大変なところ
現職のプロダクトの適用分野は金融業界なので、何らかのトラブルでシステムがダウンするような事態になった時には、ユーザー様やクライアント様に経済的・信用的に莫大な影響が出てしまいます。ミッションクリティカルな仕事を担う責任感を持って業務を進めることは、やりがいがある反面、大変なことも確かです。
金融業界に関する豊富なドメイン知識が求められることも、大変な点です。金融関連の各業界に特化した知識を深める必要があります。 転職が決まって以来、株価情報のアプリを使ったり、金融関係の入門書を読んだりしていますが、まだまだこれから学ぶことが多いと思っています。
もうひとつは、既存システムを理解する必要があること。これは、小規模なシステムを数多く開発してきた前職とのギャップから生じる大変さです。大規模システムを開発する際には、既存システムの一部の機能を流用するケースがあります。また、既存の仕様やロジックを理解していないと、システム全体の整合性が取れなくなるリスクが生じます。メインで扱っているシステムに関しては、何となく理解し始めた段階です。連携することのある他のシステムに関する知識は、 これから増やしていく必要があると思っています。
――Webエンジニアになったきっかけと現職への転職のきっかけは?
0→1フェーズの経験を踏まえ、大規模システムの成長フェーズに挑戦

Webエンジニアになったきっかけ
大学時代の早い時期から「エンジニアになりたい」という希望を持っていました。新卒の就職活動でWebエンジニアとして働くことのできる会社を志望した理由は、業務に必要な知識やスキルを習得することで、評価を得やすい職種だと考えたからです。就職活動中にプログラミングスクールや書籍などで技術学習をするようになり、学べば学ぶほど、ITやWeb関連の技術に対する興味が高まっていきました。
現職に転職したきっかけ
新卒で入社した1社目の勤務先では、比較的小さいシステムを新規開発する0→1フェーズの経験を重ねていきました。その経験を踏まえて次は「システムがグロースしていく1→10のフェーズに携わりたい」と考えるようになったのが、転職活動を始めたきっかけです。
転職先として現職を希望した理由は、まさに1→10のフェーズを経験できる職場で、技術領域を限定せずにフルスタック的な業務ができること、先輩エンジニアの方々の技術レベルが非常に高そうな印象だったことなどです。経験したいと思っていたGo言語を使用する点も魅力的でした。個人的にGo言語はモダンかつ大規模な開発の場合に選択されることが多い技術だと考えており、そのような現場には優秀なエンジニアが集まりやすいと考えたため、市場価値的にも技術レベル的にも良い影響があると考えておりました。
また、以前からいろいろな人が「東京のエンジニアはレベルが高いから、東京で仕事をしたほうがいい」と話していたので、勤務地が東京であることも転職時の希望条件のひとつに挙げていました。
入社後、想像していた以上に先輩エンジニアの方々のレベルが高いことを実感し、先輩たちとの差を埋めるためにがんばっている最中です。
――これまでの学習経験、取得資格は?
キャリア初期に書籍やWebコンテンツを活用した技術学習を開始
これまでの学習内容
エンジニアを志望することを決めた大学3年次に、3~4か月ほどプログラミングスクールに通ってHTMLやCSS、Java Script(jQuery)、Rubyなどを学びました。その後もRailsチュートリアルやUdemyといったwebコンテンツで学習を続け、Webエンジニアに必要な基礎スキルの習得に取り組みました。初心者にとっては、書籍よりもUdemyのほうが理解しやすいのではないでしょうか。
新卒入社した企業でWebエンジニアとして働き始めてから学んだ技術はAWSとReact、Next.js、クリーンコードです。書籍のほか、UdemyやNext.jsの公式チュートリアルを活用しました。
経験のない技術をキャッチアップしていった点とその技術を使った業務へ手を挙げて実行した積極性などが評価され、2年半ほどの在籍中に110万円以上の年収アップを実現できました。また、AWS SAAを取得したことでインフラ構築も任せていただけました。
現職に転職した2024年からはTerraform、開発担当と運用担当が連携・協力する開発手法のDevOps、Go言語、クリーンアーキテクチャについて学んでいます。これらの学習も書籍とUdemyを使って進めています。書籍で体系的な知識を学んでから、Udemyで実際に動かしてみることが多いですね。転職によって、年収は約140万円増えました。
時期 | 学んだ技術 |
大学時代 | HTML、CSS、Java Script(jQuery)、Ruby |
新卒時代 | AWS、React、Next.js、クリーンコード |
現職 | Terraform、DevOps、Go言語、クリーンアーキテクチャ |
保有資格
AWS SAA(ソリューションアーキテクトアソシエイト)を新卒1年目に取得しました。準備期間は3か月程度。書籍と学習プラットフォームのUdemyを使って学習を進めました。
時期 | 取得年 | 学んだ技術 |
AWS SAA | 2022年 | ・クラウド上のシステムを設計・構築する知識があることを証明するAWSの認定資格 ・主な対象者は、1年以上の実務経験を持つソリューションアーキテクト |
――おすすめの技術書は?
エンジニアを目指している方におすすめの書籍
リーダブルコード
エンジニアとしての学習を始めた学生時代に読んだのが『リーダブルコード』です。チーム開発を進める上で重要な可読性の高いコードを書く方法が理解できるため、Webエンジニアをめざしている人におすすめしたい書籍です。
AWS認定資格試験テキスト
AWSの認定資格取得だけでなく、実務にも活かせたのが『AWS認定資格試験テキスト AWS認定ソリューションアーキテクト - アソシエイト 改訂第3版 (AWS認定資格試験テキスト』です。AWSの各種サービスの概要やAWSを利用する上でのベストプラクティスが解説されており、インフラの知識がなかった私が実務に使えるAWSの知識やスキルを習得する上で、非常に役立ちました。
成長につながった書籍
良いコード悪いコード/失敗から学ぶRDBの正しい歩き方
Webエンジニアになってから1年ほど経ったタイミングで読み、スキルアップに活かすことのできた書籍が『良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門―保守しやすい 成長し続けるコードの書き方』と『失敗から学ぶRDBの正しい歩き方』の2冊です。
『良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門―保守しやすい 成長し続けるコードの書き方』は、リーダブルコードより具体的な設計手法や、レガシーなコードの改善方法を学ぶことができ、『失敗から学ぶRDBの正しい歩き方』では、Btree indexなどのRDBの仕組みやDB設計をする上でのアンチパターンについてキャッチアップすることができました。
――今後のキャリアパス、興味を持っている技術をお聞かせください
フレームワークのNext.jsに興味あり。将来的にはフルスタックエンジニアとして活動したい
今後のキャリアパス
基本的な方向性としては、フルスタックエンジニアをめざしています。
フロントエンド、バックエンド、インフラの3つの中で、苦手なのはインフラかなと感じていて、その苦手意識を克服することが今後の目標です。
現職のエンジニアにはインフラ寄りの人が多く、皆さん技術レベルが非常に高いんです。先輩たちに追いつくために、SAPの資格取得も検討しています。インフラ周りについては自分で学習するのが難しいイメージがあるので、資格取得という具体的な目標を定めて、試験までに集中して学習するほうが効率的かなと思っています。
興味のある技術
フレームワークのNext.jsに注目しています。Web系のシステムの最適解をめざしているという印象があって、非常に興味深い技術です。Railsに代わるフレームワークのファーストチョイスになるのではと思っています。現状は実務で使っているわけではないのですが、今後のことも考えてアップデートなどの情報をチェックしながら、さわってみる機会を作りたいと考えています。
――Webエンジニアの適性があるのはどのような人だと思いますか?
状況に応じて言葉の抽象度を変えることができる人はWebエンジニアの適性がある

この職種に適性がある人
人と会話する時に、相手や状況に応じて「抽象度」を変えられる人は、Webエンジニアに向いていると思います。適用分野の担当者とコミュニケーションをとる際には、相手に合った抽象度で話すことが重要です。エンジニアではない人に専門用語を使って説明しても、伝わりません。私自身、相手が理解しやすい抽象度で話すことを意識していますが、まだざっくりしすぎていると思っています。活躍している先輩エンジニアの方々には、この点が非常にうまい人が多いですね。
新技術を習得する際も、大枠を把握する時と細かく挙動や仕組みを理解する時で抽象度を変えることができる人は、キャッチアップが早いし、高いレベルに成長しやすいと考えています。
私のおすすめガジェット
PFU キーボード HHKB Professional HYBRID Type-S 英語配列/雪
2年ほど前からリモートワークで利用しているキーボードです。よく打鍵性や静音性が高いと評価されていますが、私はMacBook Airとほぼ同じコンパクトなサイズも気に入っています。気分転換を兼ねてカフェに行く時、それほどテーブルが広くなくても、PCのキーボード部分に重ねて使用することができるので、快適に作業を進められます。
Shokz (ショックス) OpenFit Air オープンイヤーイヤホン 完全ワイヤレスイヤホン
仕事をしながら長時間つけていても耳が痛くなったり、蒸れたりしないイヤホンです。 1年ほど前から愛用しています。
まとめ
Webエンジニアとして活躍している方の仕事内容や今後イメージしているキャリアパスについてお伺いしました。
これまでにどのようなインプットを経て現職に辿り着いたのか、今の仕事で大変なことなど実際にエンジニアとして働いているからこそのリアルな声をシェアしていただきました。
未経験からエンジニアを目指している方や転職を考えている方にとって非常に貴重なインタビューでしたので、皆様の今後の活動の参考になれば幸いです。