取引先との会食における基本マナー【準備編】

取引先との会食における準備段階の基本マナーとして、以下が挙げられます。
- お店選び
- 服装選び
- 手土産
それぞれ詳しく見ていきましょう。
お店選び
お店選びは、会食の満足度に直結する大切な要素です。先方の好みやアレルギー有無、予算などを考慮し、最適なお店やコースを選びましょう。また、事前に先方の年齢構成を確認したり、決裁者に予算を確認したりすることも準備作業の一環です。
会食当日には独自技術や新規プロジェクトなど、機密性の高い話題が上がる場面もあるかもしれません。情報漏えいなどのリスクを下げるためにも、半個室または完全個室があるお店や席を予約することが理想です。静かで落ち着いた雰囲気の個室を選べば、取引先も話しやすくなります。
さらに、下表の項目も確認しておくようにしてください。
確認項目 | 内容 |
席数 | 会食の参加人数が快適に過ごせる席数を確保できるか |
アクセス | オフィスや駅からの距離を考慮し、先方に負担をかけない立地にあるか |
口コミ | 利用者の口コミを参考にし、重大な懸念事項がないか |
喫煙所の有無 | 喫煙所が近くにあるか ※喫煙所がなくても問題ないか聞いておく |
靴を脱ぐ必要性 | 靴を脱ぐ必要があるか ※特に冬の時期はブーツ着用の可能性も考慮すべき |
このように、お店選びは綿密なリサーチが大切です。
服装選び
会食の服装は、季節に合わせたビジネスフォーマルが基本です。男女ともにスーツやジャケットが無難ですが、派手すぎない配色やデザインを選びましょう。女性であればワンピースも選択肢に入りますが、スカート丈は短すぎないようにしてください。
会食における服装選びでは、自己主張よりも先方に配慮する意識が大切です。とはいえ、カジュアルな雰囲気の会食であれば、少しリラックスした服装でも許容されやすい可能性があります。服装を選ぶ際は、先方との関係性や会食の雰囲気に合わせるようにしましょう。
手土産
会食に参加するにあたっては、相手への心遣いとして手土産を用意しておくべきです。特に、先方に奢ってもらう場合は、感謝の気持ちを伝えるために手土産が役立ちます。
手土産を用意する際には、持ち帰りやすいものを選びましょう。たとえば、クッキーやゼリーなどの日持ちするものが喜ばれます。また、あまり高価すぎる手土産は、先方に気を遣わせてしまいます。高くても5,000円程度の予算で購入できるものを探し、先方が気軽に受け取れるものを選びましょう。
取引先との会食における基本マナー【当日編】

次に、会食当日における基本マナーについて、次の6項目に分けて解説します。下記に大まかなポイントを一覧にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
項目 | マナーの基本 |
座席 | ・先方に上座(入り口から遠い席)をゆずる ・先方よりも先にお店に到着した場合は待合スペースや外で待っておく ・お店に上着を預かってもらう段取りを行っておく |
お酒 | ・乾杯の際は両手でグラスを持ち、先方より低い位置を意識する |
食事 | ・お箸は正しい使い方を心がけ、握り箸や刺し箸などのマナー違反に注意 ・食べこぼしなど、一般的な食事のマナー違反はNG |
会話 | ・聞き上手を心がけ、相手が話しやすい雰囲気をつくる ・離席する場合は会話の区切りがついたタイミングを意識する |
会計 | ・先方に見えないところで会計を済ませる ・奢っていただく場合は感謝の気持ちを必ず伝える ・忘れ物の有無をチェックして最後にお店を出る |
帰宅 | ・会話のなかで帰宅方法をさりげなく確認しておく ・タクシーが必要な場合は事前に手配する |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
座席のマナー:上座は先方に譲る
座席のマナーは、相手への敬意を示すうえで重要です。基本的に、上座(入り口から遠い席)は先方に譲り、自分は下座(入り口に近い席)を選びましょう。ただし、掛け軸や景色の見える窓があれば、そこが上座となります。どの席が上座なのか判断が難しい場合は、お店の人に確認しましょう。
先方よりも先にお店に到着した場合は、待合スペースや店の外で待っておくのが無難です。そうすることで、先方が到着した際に席へとスムーズに案内できます。また、上着を預けられるお店では、先方の上着を預かってもらう段取りを行っておいてください。
お酒のマナー:目上の人から優先的にお酌に回る
お酒のマナーは、会食を円滑に進めるために重要です。乾杯の際にはグラスを両手で持ち、先方よりも低い位置でグラスを合わせましょう。グラスを強くぶつけると割れてしまう可能性があるので注意が必要です。
また、会食では丁寧なお酌で先方への心遣いを示しましょう。各人のお酒の残量をこまめにチェックし、残りが少なくなったタイミングでお酌を申し出ます。複数人のグラスが空いている場合は、先方のなかで一番目上の方を優先してお酌に回りましょう。ただし、お酒が苦手な方や健康に不安がある方もいるため、無理にお酒をすすめないように注意してください。
お酒を注ぐ際には、ビール瓶や徳利を両手で持ち、グラスの縁に注ぎ口をつけないようにしましょう。このとき、軽い会話をしながら親交を深めることを意識してください。
食事のマナー:箸使いと食べ方に注意する
先方が料理を満喫しやすいように、食事のマナーも押さえておきましょう。一般的な食事と同様に、お箸は正しい使い方を心がけ、握り箸や刺し箸といったマナー違反はNGです。口に食べ物を含んだままの会話や、食べこぼしにも注意しましょう。
また、食事の終盤にはお茶を頼むのがおすすめです。お茶によってリラックスした雰囲気になり、会話の区切りにもなります。自分が食事を楽しむだけでなく、先方が快適に食事を楽しめるように配慮することが大切です。
会話のマナー:聞き上手を意識する
会話のマナーは、先方が心地よく話せる雰囲気づくりのために欠かせません。ポイントは、聞き上手を意識することです。先方の話には相槌を打ちながら、しっかり耳を傾けましょう。気になる箇所があれば質問して、話を広げていきます。
会食の話題はビジネス方面を中心に、会話が盛り上がりそうなものを選びましょう。たとえば、相手の近況や業界の動向などについて話すのが効果的です。
また、離席するタイミングにも注意が必要です。重要な話の途中で席を立つことは避け、会話が一区切りついたタイミングや相手が話を終えた後に離席するとよいでしょう。
会計のマナー:見えないところで会計を済ませる
会計のマナーは、心遣いをアピールしやすいポイントといえます。おすすめは、相手に見えないところで会計を済ませることです。そうすることで気を遣わせずに済みます。このとき、会計はスムーズに済ませて内輪の割り勘で待たせるのは避けましょう。
また、関係性によっては先方に奢っていただくケースも考えられます。この場合は、必ず言葉で感謝の気持ちを伝えましょう。また、翌日にも「昨日はありがとうございました」などと口頭もしくは電話、メールで伝えることで好印象を与えられます。
会食終了後は忘れ物の有無をチェックし、先方がお店を出てから最後に退店しましょう。また、二次会の流れも想定しておくべきです。二次会への参加は各自の判断に委ね、先方や部下への無理強いは避けましょう。一次会ほどの準備は不要ですが、大まかによいお店を探しておくのがおすすめです。
帰宅のマナー:タクシーの手配は事前に行う
会食の大詰めとして、押さえておきたいのが帰宅のマナーです。先方の帰宅方法によっては、タクシーを手配する必要があります。会食の途中で、帰宅方法をさりげなく確認しましょう。タクシーが必要な場合は送迎アプリを活用して、事前に手配しておきます。
また、先方と別れる直前に用意しておいた手土産を渡しましょう。感謝の気持ちを言葉で伝えつつ、両手で渡すのがポイントです。
取引先との会食マナーにおけるポイント

取引先との会食で押さえておきたいポイントとして、以下が挙げられます。
- 事前のリサーチを綿密に行う
- 上司・部下の役割分担を決めておく
- お店のスタッフと事前に打ち合わせをする
- 会食後にお礼の電話やメールをする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
事前のリサーチを綿密に行う
会食の準備段階では、事前の綿密なリサーチが重要です。1つでも多くの情報を得ることで、会食当日の細かな心遣いにつながります。たとえば、喫煙所の場所を把握しておけば、先方を素早く案内することが可能です。
また、お店のアクセスや口コミ、先方の好み・事情(アレルギーや時間の都合)など、さまざまな情報を収集しておきましょう。どれだけ綿密にリサーチできるかによって、会食の質が変わるといっても過言ではありません。
上司・部下の役割分担を決めておく
会食当日をスムーズに進行するためにも、上司・部下を含む自社側メンバーの役割分担を事前に決めておきましょう。オーダー係や会話係、手土産を渡す係など、担当を明確にしておくことで、スムーズに動けるようになります。
特に、上司と部下が一緒に参加する場合は、それぞれの立場や経験を活かした役割分担が効果的です。たとえば、上司が挨拶や重要な話題を担当し、部下がサポート役に回るとよいでしょう。自社側のメンバーが上手く連携できていると、個人だけでなく会社全体に好印象を持ってもらえます。
お店のスタッフと事前に打ち合わせをする
会食を成功させるために、お店のスタッフと事前に打ち合わせを行うのがおすすめです。会食の趣旨や特別な事情(アレルギーや食事の好みなど)を伝え、スタッフと認識を合わせておきます。また、おすすめメニューや座席などの情報も聞いておきましょう。
お店のスタッフの協力を得ることで、会食当日の段取りがスムーズになるだけでなく、おもてなしの質を高められます。たとえば、先方の好みに合わせて料理の内容を調整したり、食事の進行に合わせて料理を出してもらったりすることも可能になります。
会食後にお礼の電話やメールをする
会食が終わった後の対応も、先方からの印象を大きく左右します。特に、会食後にはお礼の電話やメールを忘れずに行いましょう。もてなす側の場合は時間を割いてもらったことへの感謝、おもてなしを受ける側の場合は食事や心遣いへの感謝を伝えます。
電話やメールのタイミングは、会食の翌営業日までに行うことが望ましいです。あまりに間隔が空くと、記憶が薄れてしまいます。メールであれば当日でも構いませんが、電話は夜遅い時間だと迷惑になるため、後日連絡するようにしてください。
まとめ

会食は大きなビジネスチャンスですが、マナーを守らないと先方からの印象が悪くなってしまいます。準備段階から終了後までの適切な会食マナーを把握し、実践することが大切です。
適切なマナーによって細かな心遣いを示すことで、会食の成功につながります。会食を控えている方は、今回の内容をぜひ参考にしてください。